聖天使セイント・ジュエル
第2話 懐胎
「・・・使徒、白洲晶よ・・・セイント・ジュエルの事は・・・知っておるな?」
「・・・はい・・・私めも・・・嘗てはそうでした」
ビルジ様が仰る『忌み名』―苦々しい思い出とともに、それを名乗っていた『過去』が蘇ってくる。
邪神とその悪辣な僕に騙され、一時は紫さえ失ってしまった―無知であったとは言え、愚かしすぎる『過去』だ。
「・・・奴らは儂等に仇なす存在・・・『敵』じゃ」
ビルジ様の仰るとおり、セイント・ジュエルはビルジ様の様な『聖者』にとって、これ以上ない脅威だろう。
ならばこの身命を賭しても討ち滅ぼすしか―だがビルジ様のお考えは、私の浅薄さが恥ずかしくなるほどのものであった。
「・・・じゃがお前と同じく、『改心』さえすれば・・・救われる可能性は十分にある」
「・・・っ!!」
そのお言葉に、私はセイント・ジュエルの二人の顔を思い浮かべた。彼女達そのものに罪は無い。
寧ろ可愛い後輩―そして哀れな犠牲者なのである。
ビルジ様の仰るとおり、『改心』さえすれば、きっと私と同じように彼女達も救われる―私は彼女達の先達、そしてネメシス様の『使徒』として、『正しい』道へ導いてあげたい―
「・・・ビルジ様・・・どうか私めに・・・彼女達を救うお役目をお与えくださいませっ!!」
私は心からそう思い、ビルジ様に平伏して懇願する。この『お役目』は私が果たすべきものだ。
それに、ビルジ様への恩に報いるため少しでも、お役に立ちたい―
「・・・キヒヒッ・・・良い心がけじゃ・・・ならば、お前に役目を与えてやろう・・・」
私の思いが通じたのかビルジ様は、そうお言葉をくださった。
「・・・有り難う御座いますっ、ビルジ様っ!!」
私は感激の余り、目の端から涙を溢れさせながら、床に額を擦りつける。
これでやっと私は、ビルジ様のお役に立てるのだ。
「・・・まず、お前の役目じゃが・・・その石が何か解るな?」
ビルジ様のお言葉に私は顔を上げ、ビルジ様が指差す先を見る。
その先には、邪神の祭壇そして、邪教徒達が『聖具』と呼ぶ杯に載せられた『聖玉』、があった。
「・・・はい、それは『聖』・・・『聖玉』に御座います」
穢らわしいそれに、『聖』の音を当てることすら少しの躊躇いを感じたが、他に呼び名が無いため仕方無く、邪教徒達と同じ『音』を発するしかない。
「・・・そうじゃ、それは邪教徒どもが『聖玉』と呼ぶもの・・・じゃが儂等のような『聖者』にとってそれは・・・害をなす『魔具』でしかない・・・そこで、じゃ・・・」
ビルジ様はそう仰ると、私の眼前までおいでになって、
「・・・お前に・・・『魔具』の『浄化』をして貰いたいのじゃ・・・できるか?」
そう『お役目』を与えてくださった。
確かに、私が紫に振るってしまった『聖槍』の様に、この穢らわしい『魔具』どもは、『聖なる者』を傷つけてしまう。
ビルジ様に『使徒』の体裁を整えては頂いたものの、『邪神』との忌々しい繋がりが残滓の様に残る私ならば―いや、私こそ果たせる『お役目』だろう―
「有り難き幸せ・・・是非、その『お役目』・・・私めにお命じください・・・」
だから私は一片の躊躇もなく、ビルジ様に平伏して『お役目』を懇願する。
「・・・キヒヒッ、そうか・・・じゃがお前が『浄化』を行うには・・・『準備』が必要じゃ・・・『使徒』藤代紫・・・」
私の返答に笑みを浮かべられたビルジ様が紫を呼ぶと、
「・・・はい・・・ビルジ様・・・」
ズリュリュッ
紫は体を撓らせ、『肩』を私と並べるところまで伸ばし、深々とビルジ様に頭を垂れた。
「・・・『使徒』白洲晶よ・・・お前が『浄化』を執り行うためには、『洗礼』が必要なのじゃ・・・そのためには、『使徒』藤代紫・・・いや『使徒バフォメット』の助力が必要じゃ」
ビルジ様はそう仰ると、紫に視線を滑らせ、
「・・・『使徒バフォメット』は見ての通り・・・ネメシス様の『洗礼』を受け、『聖肉』を受肉しておる・・・」
と、言葉を継がれた。
『使徒バフォメット』―その響きに私は、尊敬さえ覚える。そうか紫は、私よりも『高み』に居るのだ。
そんな憧憬と羨望の眼差しで紫と見つめる私にビルジ様は、
「・・・そこで、じゃ・・・『使徒』白洲晶よ・・・お前はここで『受肉』し、『洗礼』を受けるのじゃ・・・」
トンッ
『聖刻』の少し上を指でお触れになる―
「・・・あんっ♡・・・ここで・・・『受肉』を・・・」
ビルジ様に触れていただくだけで、ビリッと電流が走った。
その尊い指先の向こう―私の子宮に『受肉』する―その意味は、私如きに推し量れる筈も無い。
だけどビルジ様は、
「・・・何・・・簡単なことじゃ・・・『使徒バフォメット』の『聖肉』を・・・お前の子宮と同化させる・・・ヒヒッ、どうじゃ・・・『友』と一つになり、『洗礼』を受ける・・・これ程素晴らしきことはないじゃろうて・・・ヒヒヒッ!!」
実に素晴らしい道を私に示してくださるのだった―
『・・・キヒヒッ!!・・・『受肉』とは、我ながら良く言うたものじゃ・・・』
『受肉』―それは『紫』の触手で晶の子宮を『改造』し、おぞましき『魔具』へと変質させること―紫の『肉体』を使った実験で、『聖天使』達は臓腑を媒介に『聖力』を収集し、高揚させている、と推察はできていた。
命の源たる子宮を、邪悪な魔力の『精製機』とすれば如何に『聖なる』ものであろうとも、闇に染まるに違いない―この『牝』にとっては或る意味、闇の『洗礼』とも言えるだろう。
「・・・ヒヒッ・・・じゃがこの『受肉』を受ければ・・・お前は二度と、人の子は孕めぬぞ?・・・」
ビルジは真意を邪悪な笑みの下に隠したまま、晶の本意を悪辣に問う。
その返答など解っている筈なのに―果たして、
「・・・そのような事・・・ネメシス様の使徒、そして・・・ビルジ様の僕となった時から、この身は全て捧げております・・・この肉一片たりとも、ご随意にお使いくださいませ・・・」
晶は深々と平伏して、更なる堕落へと、自らを貶めるのだった―
「・・・キヒヒッ・・・お前の覚悟は良く解った・・・『使徒バフォメット』よ・・・『洗礼』の準備をせよ・・・ヒヒッ・・・」
ビルジは尤もらしく頷くと、『使徒バフォメット』へそう命じる。
「・・・はい・・・ビルジ様・・・」
『使徒バフォメット』―『紫』は、
ズルルッ・・・グニュゥッ
触手の『聖肉』を変形させ、晶が座すに相応しい『祭壇』を整えた。
その形は先程ビルジが晶を『浄化』したものとは異なり、『椅子』に近い。
「・・・さあ、始めるのじゃ・・・従順なネメシス神の『使徒』どもよ・・・キヒヒッ!!・・・」
ビルジの甲高い嗤い声とともに、哀れな少女達の悍ましき『儀式』が始まる―
「・・・お願い、『紫』・・・いえ、お願い致します・・・『使徒バフォメット』様・・・」
私は己の身分を顧みながら言い直し、胸の前で手を組んで、『使徒バフォメット』様に膝を折る。今の彼女は、私の『聖女様』なのだ―
「・・・解りました・・・『使徒』白洲晶・・・貴女にこれから『洗礼』を施します・・・さあ、こちらへ・・・」
ニュルッ
『使徒バフォメット』様は触手で、私が在るべき先をお示しになる。
「・・・はい・・・失礼致します・・・」
それに私は恭しく一礼し、『聖肉』で作られた『祭壇』へと昇るのだ―
私が着いた『祭壇』は、私の体にぴったりと合わせて作られた、『リクライニング・チェア』に近い形状をしていたが、
これから執り行われる『洗礼』に適するために、私の脚が大きくM字に開き、アソコが『使徒バフォメット』様にしっかり見えるよう設えられている。
更に、私の視点からも、子宮やアソコが良く見えるよう、上半身を起こす姿勢がとられていた。
「・・・キヒヒッ・・・『使徒』白洲晶よ・・・お前の目出度き『洗礼の儀』じゃ・・・この子細、しかとその目に焼き付けよ・・・ヒヒッ」
「・・・はい、有り難きお心遣い・・・『使徒』白洲晶は終生、この日の事を忘れませね・・・」
漸く、漸く・・・『洗礼』を得られる―私の心は喜びに満ちている。私は自身の過ちで、紫の生来の肉体を失わせてしまったのだ。
その彼女から『聖肉』を得て『洗礼』を受ける―紫と一つになる―これほど素晴らしき贖罪は無いだろう。
こんな最高の機会を与えてくださったビルジ様それに、我が神―ネメシス様には感謝仕切れない―
「・・・」
ググッ
バフォメット様は、聖肉の触手を撚り合わせる様に、一つの触手―男根状の巨大な触手を作り上げる。瘤が浮いたビルジ様のモノとは違い、
ビジュッ、ブジュッ
粘液を吐きながらそそり立つそれはそれだけで、一つの生物のようだ。そして遂に、私の昇華と、贖罪の時が訪れる―
ビトォッ・・・グニィッ
「・・・では、行きますよ・・・『使徒』白洲晶・・・」
バフォメット様の、濡れた聖肉の感触を、秘肉一杯で感じながら私は、
「・・・お願い致します、『使徒バフォメット様』・・・私めに、貴女様の『洗礼』を・・・」
微笑んで、聖女様にお願いする。その瞬間―
グニュグギブチブチブィッ
私の秘門をこじ開け侵入する、圧倒的な肉の暴風―それに私は、
「ひぎあぁあぅぁぁっぎひぃいっ!!」
獣の如き、絶叫を上げてしまった。
私の膣より遙かに大きい、バフォメット様の『聖肉』は、
ブジュッ、ヌリュッ・・・ミリッメリィッ
粘液と血を潤滑油にして膣肉を引き裂き、
ボゴッ、ボゴンッ
その上にある薄皮を、自身の存在感を誇示するが如く盛り上げる。
その様はまるで、肉の杭を体の中心に打たれているようだ―だけど私は、
「・・・んふぅっ・・・んぎっ・・・んぐぎひぃぃっ!!」
『祭壇』を握り潰すほど掴み、両脚はめり込むほどに踏ん張って、その苛烈な衝撃に耐えていた。
だってこんなもの、
『ボキッ、ボキィッ』『グチャッ、グチャッ』
骨を噛み砕かれ、臓腑を咀嚼された紫の痛みに比べたら、どうってことは無い。
それに私は『失う』のではなく、『得る』、のだから―
ミジメリメリッ・・・ズミジィッ
『聖肉』が子宮口まで達したところで、肉の侵掠が止まる。
ボゴンッ
晶の下腹はその下にある肉の形に変形し、秘肉は捲り上げられ、
ボタッ、ボタッ
触手の粘液とともに滴る鮮血が、肉の『床』を濡らしていた。
「・・・『使徒』白洲晶・・・ここまで良く耐えましたね・・・全ては貴女の・・・『信仰』の賜物です」
『神々しい』柔らかな笑みでその元凶―『使徒バフォメット』は、腕代わりの触手で晶の膨らんだ下腹を撫でる。
「・・・ひゅぎひぃっ・・・んぐっ・・・ありがとう・・・ごじゃいましゅっ・・・バフォ・・・メット・・・様ぁ・・・あひっ・・・」
串刺しの動物が如く、無様に股関節をひしゃげ、股座から血を滴らせながら晶は、どうにか息を飲み込み、不出来な微笑を浮かべて、『使徒バフォメット』に感謝の念を述べた。
『使徒』として洗脳された彼女に、後悔の念は無い―
ミチッ、ミジッ
「・・・ん゙̈おっ・・・゙おっ・・・」
バフォメット様の『聖肉』に体の重みをかけ漸く、その全てを納めるだけの私に、お優しいお言葉を掛けてくださる聖女様―私はそのお慈悲の深さに感激の念を感じざるを得ない。
でもこれでまだ半分―紫の苦しみの半分だけを贖ったに過ぎないのだ。だから、
「・・・『使徒』白洲晶・・・これから貴女に、新しい『生』を授けます・・・ネメシス様に感謝の念を捧げ、共に昇りましょう・・・」
バフォメット様にそうお言葉を頂いた私は、
「・・・はい・・・」
ネメシス様に心からの祈りを捧げながら、胸の前で手を組む。これからの『半分』―新しい『生』に期待して―しかし、
「・・・ふふっ・・・良い心がけです・・・では、『使徒』白洲晶・・・生まれ変わりなさいっ!!」
バフォメット様の宣告とともに、
ズンッ・・・ズブブリュブリュゥッ!
子宮を一突きされ、その中へ暴流となって放たれる『聖肉』の圧倒的な波に、
「・・・ぎぃいああぁぁっ!!」
一瞬にして『信仰』すら忘れ、頭の中を真っ白にしてしまうのだった―
ブボリュッ、ブリュゥゥッ
子宮口から繊毛状になった『聖肉』―触手は、晶の子宮壁に辿りつくと、
ビチュッ、ブチュッ
泡立ちながら彼女の細胞と癒着し、同化してゆく。それはまるで癌細胞の様に―
ズリュッ、ズリュッ
しかもその『聖肉』の『波』は、晶の膣口から絶え間なく送り込まれ、彼女の子宮を溢れさせんばかりに満たしていった。
『・・・グヒヒッ、遂にはじまったのぉ・・・これでこ奴も『人間』では無くなるわっ・・・キヒヒッ!・・・』
晶の中へ送り込まれる『聖肉』―紫の触手は子宮を細胞レベルから、『魔』を胎むための『魔具』へと改造し、『魔力』を生む穢れた『精製機』と化す。
それに加えて、悪魔の子を孕む悍ましき『子宮』にも変じさせてしまうのだ。その存在は最早、『人間』、などとは呼べぬであろう。
「・・・ぎぐひぃぃっ!!・・・ひあぁぁぐわぁぁっ!!」
絶叫を上げ、『洗礼』に耐えようとする愚かな『使徒』を殊更愉快げに、ビルジは見つめていたのである―
「・・・ぐひぃぃっ!?・・・ひぃいいんっ!!」
私はあられもなく、豚の様な悲鳴を上げただ、『聖肉』の奔流に流されてしまった。
ビルジ様の『浄化』が『灼ける』、ということであればバフォメット様の『洗礼』は、『喰われる』、という表現が相応しいかもしれない。
それは、
ビチュッ、ブチュッ
子宮に『聖肉』が当たる度、私の子宮壁の細胞が一つ一つ、変えられてゆくのを感じるからだ。
ボゴッ、ボゴンッ
際限なく子宮へと流れ込む『聖肉』は、そこを膨らませるだけではなく、時折、
ギュルッ、ニュジュルゥッ
連なったソーセージの様な形となり、
ボグッ、ボゴグッ・・・グリュン、グリュンッ
その形に私のお腹を変形させながら、子宮の中を攪拌している。
私の中を『変える』だけではなく、『旧弊』を洗浄する―自身が根本から『生』を得ていることを実感していた。
「・・・ぐおっ・・・゙お゙お゙おっ!!」
私はその凄まじい感覚に、四肢を踏ん張って耐えようとしたが、
「・・・んっ、んんっ・・・ああっ!!」
ショオォォォッ
力み過ぎたせいか、失禁の恥辱を犯してしまう。
尿道から溢れ出した黄金色の汚水をあろうことか、
ジョオォォッ
バフォメット様の尊いお体に浴びせてしまった。
「・・・もうしっ・・・ぐひぃっ!?・・・もうひわけありましぇん、ばふぉめっとしゃままぁっ!!」
私は懸命に謝罪しようとするけれど、流れ込む鼻水や溢れる涎のせいで、上手く言葉を紡ぐことができない。でも、
「・・・ふふっ、良いのです・・・それよりも、貴女の全てを晒しなさい、『使徒』・・・いえ・・・『晶』・・・」
バフォメット様は私の『名』で優しくそう、慰めてくださるのだ。
「・・・ありがとう・・・ごじゃいまひゅうっ・・・ばふぉめっと・・・しゃまぁ♡」
私はそんな聖女様のお優しさに恍惚となって、お礼の言葉を言上する。
「・・・うふふっ・・・今は『紫』、でいいよ、晶・・・私も・・・一緒になれて嬉しい・・・」
「・・・んぐっ・・・紫ぃ・・・私も・・・嬉しいっ・・・」
私は鼻水を啜って、私の眼前まで来てくれた『紫』の顔に、くしゃくしゃの笑顔を向けた。
どれ程、どれ程この時が来ればと―紫を『失って』からの私は、『空っぽ』だった―『邪神』を信じ、偽りの救いを他者に与えながら偽善に生きる日々だったのだ―それも、もう少しで終わる―
「・・・晶・・・ちゅっ・・・んっ」
「・・・紫ぃ・・・んっ・・・んんっ♡」
上体を伸ばし、唇を重ねてきた紫に私は、
ギュチュッ
彼女の『背中』に手を伸ばし、抱き締めた。
それに紫も、
「・・・んっ・・・ふっ・・・んろぉ・・・」
舌を差し入れ、私の舌に絡めるだけではなく、
ニュルルゥッ・・・ニュルンッ、チュルンッ
喉の奥から繊毛様の触手を伸ばして、私の口腔全体を愛撫してくれる。
『・・・はぁっ・・・紫・・・紫ぃっ♡』
私は、頭の中を全部、紫の色に染められながら、愛の口づけに耽溺した。
ボギュンッ、ボギュンッ
その気持ちの昂ぶりに呼応するかの如く、子宮の『新生』も最高潮を迎えて―
「・・・ちゅぱっ・・・んふふっ、晶・・・さあ、私と一つになりましょう・・・」
「・・・んふっ・・・うん、紫ぃ・・・私達は・・・ずっと一緒だよ・・・」
私達は唇を離し、互いを見つめ合いながら『手』を繋ぐ。
「・・・有り難う、晶」
紫かそう微笑んだ瞬間、
「・・・うっ・・・ごほおぉぉっ!!」
ボゴンッ・・・グンッ
私の子宮が大きく爆ぜ、急速に収束していった―
シュオォォォッ
「・・・ああっ!!・・・ひぁぁんっ♡」
子宮が落ち着くにつれ、膨大な『力』の迸りと例えようの無い快楽が私の中を、ビリビリと電流のように走る。
それとともに、
ジュウゥゥッ
『聖刻』が漆黒の、そしてより複雑な紋様へと変化していった。
やがて、
シュウンッ
肉体、『聖刻』の変化が止んだ刹那、
ドクンッ、ドクンッ
子宮の中に、鼓動の様な『波動』を感じる。
私はそれに確信した。
私は、『生まれ変わった』のだ、と―
「・・・有り難う、紫・・・」
「・・・おめでとう、晶・・・」
私達は短くそう微笑み合うと、短いキスをして、体を離す。
すると紫は、
ズリュッ
「・・・あんっ♡」
私の中から『聖肉』を抜いて文字通り、体を離してくれた。
その瞬間、
ベチャッ
大きく開いた秘裂から、私へ『第二の生』を与えてくれた、小さな欠片が溢れ落ちる。
ぽっかりと開いたそこは、肉が裂け血に塗れていたのが嘘のように、綺麗な薄桃に色づいていた。
「・・・」
私は『聖肉』の欠片を拾うと、
クチャッ
膣の中へ指で押し込んでみる。
すると、
「・・・んっ♡」
クチュッ、グチュッ
膣肉はまるでそれを飲み込むように、『同化』してゆくのだった―
「・・・」
私は改めて、自分の体を見回してみる。
つい先程まで、あんなに暴れ回っていた『聖肉』は嘘の様に鎮まり、何もなかったのかと錯覚させるほどだ。
だけど、皮膚の上からそこに触れると、
スッ
「・・・んあぁっ♡」
ドクンッ、ドクンッ
ピリピリするような快楽と、これまで感じた事の無い、大きな『力』の存在を感じる。
そしてその下、『聖刻』のある場所に視線を滑らせた。
そこにあるのは、
シュウゥ
紋様の上からも微かに『力』を感じる『聖なる徴』―漆黒に色を変じ、元の面影を残しながらも、より複雑で『神々しい』象形を顕すそれは、己の存在自身が『変化』したことを示しているのだろう。
だから、
「・・・これ、『使徒』白洲晶よ・・・こちらへ来るのじゃ・・・『祝福』を与えてやるぞ・・・キヒヒッ」
ビルジ様のお召しに私は、
「・・・畏まりました、ビルジ様・・・」
誇りを持ってお答えすることができるのだ―
『・・・グヒヒッ!・・・大成功じゃわい・・・ここにおっても、魔力をビンビン感じるわ・・・ヒヒッ・・・この『牝』の門出に、相応しい褒美を呉れてやらねばのぉ・・・』
ビルジは、そうほくそ笑む。
『浄化』で我が物とした奴隷が、『洗礼』で魔の眷属に堕ちる―これ以上ない愉悦にビルジは、狂喜していた。
グニッ
『紫』は晶が進む度、まるでバージン・ロードが開く様に、体を階段状に変える。
そこを晶も、新婦が如く、晴れやかな表情で進んでゆく。
『堕天』―彼女は今まさに、『天』から『地獄』へと堕ちようとしているのに―
「・・・『使徒』白洲晶よ・・・ここへ跪け・・・」
『祭壇』から降りた私にビルジ様は、そうお命じになった。
「・・・はい、ビルジ様・・・」
私は手を組み、祈りの姿勢を取りながら跪く。
「・・・『使徒』白洲晶よ・・・汝は、ネメシス神に全てを捧げ、仕えることを誓うか?」
「・・・はい・・・未来永劫・・・誓います・・・」
ビルジ様のお言葉に誓いを立てると、
ドクンッ
「・・・あんっ♡」
私の子宮が敏感に反応する。
「・・・うふふっ・・・貴方も喜んでいるのね・・・」
私は頭を垂れつつも『聖刻』を撫で、微笑を浮かべた。
そんな満ち足りた私に、
ファサッ
真っ黒なヴェールが被される―これで私は名実ともに『使徒』となれるのだ―そう思うと自然に、垂れる頭は深くなる―
「・・・『使徒』白洲晶よ・・・汝に『使徒ベリアル』の真名を与える・・・神の前では、その真名を名乗るが良い・・・」
ビルジは、頭を垂れる晶に皺だらけの手を載せ、そう厳かに偽りの『洗礼』を与えると、
「・・・そして、これは儂からの『祝い』じゃ・・・キヒヒッ・・・」
晶の前に屈み、
プスッ、プスッ
双丘の頂―乳首に、リング・ピアスを通す。
ツゥ
そこからは、処女を犯された如く、二筋の鮮血が流れた。
「・・・っ!?」
その痛みに驚き、顔を上げようとする晶を、
「・・・まだ『儀式』は終わっておらぬ・・・顔を上げるな・・・」
ビルジは言葉で制し、
「・・・申し訳御座いませんっ・・・」
再び頭を垂れさせると、彼女の額に手を載せ、
ボォッ
魔力を込めた。すると、
キィンッ
「・・・ひぃんっ♡」
乳首のピアスが鈍く光り、『聖刻』も、
シュゥッ
僅かにその形を変える―
「・・・キヒヒッ・・・もう顔を上げて良いぞ・・・」
全ての反応が沈静化したところで漸くビルジは、晶に許しを与えた。
晶は、再び形が変化した『聖刻』に触れ、
「・・・ビルジ様・・・これは?・・・んんっ・・・ああんっ♡」
そう尋ねるが、先程よりも格段に増した淫悦に、喘ぎ声を上げてしまう。
それもそこだけではなく、
プルッ、プルッ
揺れるリング・ピアスからも悦びを感じるのだ―
「・・・グヒヒッ・・・ネメシス様に、よりお仕えできるよう、『祝福』を与えてやったのじゃ・・・ホレ、ここが堪らんじゃろう?」
グニィッ、グニィッ
私の問いにビルジ様は、両乳首のリング・ピアスに指を入れそう、お答えになる。
その刹那、
「・・・ひぁあぁっ!・・・何か・・・何かでりゅぅっ!!」
ビュッルッ、ビュルゥゥッ
まるで射精でもしたかの様に、乳首から白い粘液が盛大に飛び散った。
捲り上がった乳頭を母性の徴が通る度、
「・・・おほっ・・・ほぉっ♡」
ビクッ、ビクンッ
私は理性を飛ばし、無様な顔を晒して、絶頂に達してしまう。
だから、
「・・・キヒヒッ・・・乳首を引かれただけで母乳を噴き出すとは・・・想像以上に淫乱になったのぉ・・・」
ビルジ様のお言葉も、よく解らない―
ビルジが施した『祝福』―それは、『淫堕の母胎』と呼ばれる『呪い』である。
この『呪い』は施された者の肉体を、『悪魔の苗床』に最適化させるためのものだ。
その象徴として、晶に刻まれた『淫刻』の一部―卵巣を象った部分―に、『鎖』―悪魔のみを孕む呪刻が付加されている。
これで晶は、『邪神』の『使徒』となっただけではなく、『悪魔』の『肉奴隷』、更には、『苗床』へと堕してしまったのだ―
「・・・グヒヒッ・・・これだけ出れば、問題ないじゃろうて・・・」
散々に晶の乳首を弄んだビルジは、ピアス・リングから手を離し、
「・・・ひぁっ・・・お乳、まだ出てりゅ♡」
ピュクッ、ピュクッ
噴乳の余韻に浸る淫らな『使徒』の前で威儀を正す。
そして、
「・・・これ、『使徒ベリアル』よ・・・お前に改めて命じる・・・」
ビルジがそう、言葉を切ると、
「・・・はい、ビルジしゃま♡」
淫悦で未だ呂律が回らぬ晶は、
ニチャッ、ニチャッ
絶頂で淫汁に濡れる股を擦り合わせ、
ピュッ、ピュッ
母乳を双丘から垂れ流しつつも跪き、手を組んで、ビルジの言葉を待つ。
その表情は、ビルジの『餌』に溺れる、従順な『雌犬』に他ならない。
「・・・キヒヒッ、『使徒ベリアル』よ・・・改めてお前に命じる・・・セイント・ジュエルどもを『改心』させ、我らが神―ネメシス様の・・・従順な使徒とするのじゃ・・・」
ビルジはその従順な『雌犬』に含めるが如く、言葉を重ねながらそう、命じた。
この『雌犬』―『使徒』が己の望む答えを吐くと確信して―
「・・・はい・・・畏まりました、ビルジ様・・・セイント・ジュエルどもを必ずや、ネメシス様の御許に・・・従順な『使徒』として、御覧に入れます・・・」
ビルジの確信通り、そう邪悪に微笑む晶の瞳は、
ゴロゴロゴロォッ
青白い雷光に照らされ、妖しい紅の色を放っていた―
こうして白洲晶は『使徒ベリアル』―『堕天使ベリアル』へと堕ちたのである。
その魔手が迫りつつあることを少女達は、未だ知らない―