四神戦隊メイデン・フォース

Bad End After_黒巫女(4)

「んっ・・・ふぅんっ!!」
 女達の呻き声とともに、
 ビュルッ、ビュルッ
 グラスを、青臭い粘液が満たしてゆく。
 
 『メイド服』姿で横一列に居並んだ摩耶達は、毎朝の恒例となった『ミルク・サーバー』としての務めを、従順にこなしていた。
 最初はあれほど抵抗していた楓も、
「・・・いっ・・・んっ!!」
 ドピュッ、ドピュッ
 今や逆らうことなく、淫魔どもの手淫に応じている。

 いくら抗ったところで『肉衣』がある以上、淫魔達には逆らえないのだ。
 それであれば、陵虐の時間は少しでも短いほうが良い−それが、摩耶達の達した結論である。
 しかし『妥協』という名の『屈服』は、彼女達の精神に深い澱となって染みこんでゆくが、それを当人達は自覚することは未だ無い−

「・・・うっ・・・ふっ・・・」
 漸く最後の淫魔に『ミルク』の給仕を終えた摩耶は、
 カサッ
 『メイド服』のポケットに仕舞ってあった『襤褸布』と呼ぶべき『ハンカチ』を使い、
「んっ・・・」
 『ミルク』に塗れた亀頭を慎重に拭く。

 射精で敏感になった亀頭は、
「うっ・・・くっ!・・・」
 ともすると暴発しそうになるが摩耶はどうにかそれを堪え、『ミルク』を綺麗に拭き取ると今度は、
 ニチャァ
 愛液で粘つく内股と股間を軽く拭き、
 ベチャッ
 湿った『ハンカチ』を手早く『メイド』のポケットに仕舞うと、流れる様に給仕へ戻った。

 淫魔の館に仕え始めて約一月。
 朝昼は淫魔の館に仕え時には同僚とセックスをし、夜は大抵、淫魔に性の奉仕をする−そんな爛れた生活も時間の経過とともに、『日常』へと変じつつある。
 皮肉なことに、元々優秀な『従者』である彼女達の順応は早かった。

 サクッ・・・カチャッ
 摩耶はデザートを切り分け、手際良く淫魔達の元にそれを置いてゆく。
 『主食』が『精』である淫魔達は元々、『小食』である。
 かつて人間であった者が大半であるため、その『時代』の名残と、『嗜好』の一環としてこの『食事会』は行われていると言っても過言では無い。

 カチャ
 摩耶が邪鳳の席にデザートを置いた時不意に、
「・・・有り難う、摩耶姉ぇ・・・そうだ、今日は私達と城下へ行ってみない?」
 そう切り出された。

 俄にその意図を図りかねた摩耶は、
「・・・外に?・・・」
 一言だけ言の葉を漏らすと、次の葉は詰まらせる。
 事実、『肉衣』で拘束されているとは言え、『虜囚』である自分達を『檻』の外へ出す意図が解らない。

 だがそれを肯定的な沈黙と取ったのか邪鳳は、
「うん・・・摩耶姉ぇ達にこの邪界をもっと知って欲しいんだ・・・だから、偶には一緒に外へ出てみたいな、って・・・葵姉ぇも楓姉ぇも一緒だよ」
 そう言うと、柔らかな笑みを摩耶に向けてきた。

 その無邪気とも言える表情から摩耶は、
「・・・」
 邪鳳の言葉が額面通りのものなのか否か、それ自体を掴むことはできなかったが、
『・・・外の状況がどうなっているのか、知っておくことは無駄ではないわね・・・』
 そう判断し、
「・・・はい、解りました・・・ご一緒させてください」
 承諾を、言葉と深々としたお辞儀で返す。

 それに邪鳳は、
「そう?・・・じゃあ、一時間後、厩舎の前に来て・・・格好はそのままで良いからね」
 嬉しそうにそう言って、ナプキンで手早く口許を拭くと足取りも軽やかに、席を立つのだった。 



 ブルルッ

 館の裏にある『厩舎』には、多くの『馬』が繋がれていた。
 ただ、『馬』といってもサラブレットに比べ一回り大きく、頭部には短い角が二本あるそれは、魔物の血を引くに違いない。
 『騎士』の『乗馬』たるそれを、オーク種の下魔が『馬匹』として世話をしている。

「・・・」
 その厩舎の脇を摩耶達は、好奇の視線を浴びながら歩いていた。
 皇宮の外に出ることもあり、『肉衣』を全面に纏うことを特別に『許されて』はいるが、
 ビチィッ
 肢体に貼り付いたそれは肉体の輪郭を際立たせ却って、『性』の臭いを強く放っている。

「ゲヘヘ・・・」
 好奇と言うよりも『好色』に変じた下衆な視線に摩耶達は、
「・・・っ!」
 サッ
 慌てて、股間と胸を手で押さえた。

 だが、肉体へ意識を強く遣ったことにより、
 ビチュッ、ニュルッ
「あっ・・・んっ・・・ふぅっ・・・」
 『慣れ』、普段は感じなくなっている筈である、『肉衣』内部に生えた繊毛の動きを、鋭敏に感じ取ってしまう。

 小走りに厩舎を抜け、どうにか馬匹達の死角に駆け込んだ摩耶達ではあったが、
「んっ・・・ふぅっ!」
 ニュ゛ル゛ンッ゛
 秘裂を『嘗めあげる』繊毛の蠢動に、
 ビクンッ、ビクンッ
「おっ・・・ふぅっ!?」
 治まりかけた肉棒の疼きを抑えきれず摩耶は、
「いっ・・・ひっ・・・ああっ!!」
 ドピュッ、ドピュッ
 射精してしまった。

 更に葵と楓もそれにつられたかの如く、
「・・・あっ・・・ひぃっ!?」
「うっ・・・ぎぃっ!?」
 ドピュッ、ドピュッ
 ドピュッ、ドピュッ
 だらしなくも、精を放つ。

「いっ、ひゃぁっ!・・・止まってぇっ!!」
 摩耶は懸命に肉棒を握り締め、尿道から溢れ続ける精を留めようとするが、
 ブクッ、ビュクゥッ
 それ如きでは、勢いを殺ぐことすら不可能だ。

 摩耶達は、
 ビチャッ、ビチャッ
 厩舎の壁に、立ち小便をするかの様に、精を放ち続ける。
 それは、
「うっ・・・ひっ・・・うふんっ!」
 ボチョッ、ボチョッ
 辺りが、青臭い臭いに包まれるまで、止むことはなかった。



「んっ・・・ふぅっ・・・」
 どうにか射精を終え、『肉衣』の疼きに耐えながらなおも進むとやがて、大きな空間が開けた。

「・・・来たね、摩耶姉ぇ、葵姉ぇ、楓姉ぇ・・・」
 そう言って笑みを浮かべる邪鳳達は、邪界の『騎士』らしく剣を帯び、胸甲などの装備も一式身につけている。
 馬上にある彼女達の姿は、一幅の絵画の如く、様になっていた。

「・・・さあ、摩耶姉ぇ」
 馬上から手を差し出した邪鳳は、摩耶の手を握ると、
 グッ
 彼女の後ろに設えられた摩耶用の『鞍』に、そのまま持ち上げる。

 見た目からは想像できない程の力強さで引き上げられた摩耶は、
 トスッ
 事も無く鞍に跨がった。 
 しかし、
「んっ・・・くっ・・・」
 彼女が跨がる『鞍』は薄く、馬のゴツゴツとした背骨が股に当たる。
 何かのなめし革で作られたそれは、馬の皮膚と摩耶の内股が擦れる事は防いでも、股への『違和感』を防ぐことはない。

 見れば、
「んっ・・・ふぅっ・・・」
「くっ・・・んんっ・・・」
 邪虎と邪亀の馬に跨がった葵と楓も、自分と同じ『違和感』に喘いでいる様だった。

 そして、
 ニュ゛ルゥ゛
「ひぃうぅっ!?」
 股に押し付けられた繊毛触手は、容赦なく摩耶を苛む。
 漸く治まりかけた『性』の火口が、
「んっ・・・くっ・・・」
 摩耶の全身を覆っていった。

 しかし、そんな摩耶の事など意に介さず、
「じゃあ、行こうか・・・摩耶姉ぇ・・・ハイッ!」
 矢張り笑顔のまま邪鳳は、『馬』に気合いをつけると城下に向けて駆け出してゆく−



 トッ、トッ、トッ
 邪鳳を先頭に、邪亀、邪虎、そして邪龍を殿に据えて、隊伍は並足で皇宮内を進んでいった。
 演武場と思しき広場を抜けると、雑多な下魔が住まう見窄らしい長屋が続く。
 淫魔達が『騎士』ならば、先程のオーク達などは『雑兵』なのだろう。
 彼等が住まうそこに、襤褸切れの様な汚い布や、得体の知れない肉を干した竿などが、妙な生活感を与えていた。

 しかし、
「んっ・・・ふっ・・・」
 摩耶はそんな景色を楽しむ余裕もなく、馬上で悶え苦しんでいる。
 股座から込み上げる感覚に悶え、鞍から落ちそうになった摩耶は、
 グッ
 鞍に設えられた鐙へ通した脚で踏ん張り、それを堪えようとするが、
 ゴリュウッ
「あひぃっ!?」
 木馬にでも跨がったかの様な苛烈な感覚に思わず、
 ギュッ
 邪鳳にしがみついてしまった。

「摩耶姉ぇ?・・・ふふっ、いいよ、私に掴まって」
 それを邪鳳は嬉しそうに受け容れる。
「んっ・・・くっ・・・」
 邪鳳にしがみつきながら、股座に『負担』がかからない姿勢をどうにか探り当てた時、
 ギィッイッ
 重々しい音を響かせ、城門が開いた。

 ビュオォォッ
 門が開くのと同時に、埃混じりの強い風が吹き抜ける。
「・・・!!」
 摩耶は思わず、
 ギュゥッ
 邪鳳の腰回りに強く抱きつき、背に顔を埋めてそれを遣り過ごそうとした。

 その刹那、
 フワァッ 
 花の様でどこか甘い芳香が、摩耶の鼻をくすぐる。
 その香りは香水なのか、それとも邪鳳自身のものによるものなのかは知れないが、
『・・・良い香り・・・』
 摩耶に安堵感を与えるものだった。

 摩耶の心が落ち着くのを見計らったかの様に、風は収まり、
「・・・摩耶姉ぇ、もう大丈夫だよ・・・見てごらん」 
 そう邪鳳に声を掛けられた摩耶は、邪鳳の背から顔を上げる。
 そして視界に飛び込んできた風景に、
「・・・」
 思わず息を飲んだ。

 くすんだ彩りに覆われた街並みは嫌がおうにも、摩耶の住んでいた世界と違うことを実感させる。
 皇宮から伸びる大通り沿いには、石造りの建物も見られるが、小高い丘の上に建つ皇宮から離れるほど、粗末で小さなバラック様の建物が建ち並んでいた。
 そしてそれらが尽きた先は、灌木と草が斑に色彩を添えるのみの、荒涼とした大地が広がるばかりである。
 仮にも彼女が住まう皇宮とは天と地とも懸け離れた『貧困』と『荒廃』が、そこには厳然と存在していた。

 『機を見て皇宮から逃亡する』
 微かな可能性として残していたそれも、この状況を見る限り自殺行為でしかないだろう。

「・・・」
「・・・じゃあ、行こうか摩耶姉ぇ」
 失望を飲み込むための沈黙をどう解釈したのかは解らないが邪鳳は、そう摩耶に声を掛けると、更に馬を進めた。



「買った、買った!・・・今なら安くするよ!」
「上物だよ!・・・ここでしか手に入らないよ!」
 城門から数分程度進むと、繁華街と思しきエリアまでやってきた。
 
 道の両側には簡易な商店と露天が建ち並び、摩耶が見たことの無い果物や、道具などを売り買いしている。
 そこには雑多な種族の妖魔が行き交い、市場の様な活気を呈していた。

 しかし、
 ザッ
 邪鳳が進む先は、見えない剣で切り裂いたかの如く、一筋の空間が開いてゆく。
 隊伍の前に居た妖魔は皆、慌てて道の脇へ避けるのだ。
 彼等から、そして沿道から邪鳳達に向けられる視線は皆同じ−畏怖、そのものである。
 戦場での勇名だけではなく憲兵としての恐ろしさも、城下に住む者であれば皆、身をもって知っているのだ。

 摩耶は、
「・・・」
 手綱を取り進む邪鳳の横顔を、そっと窺い見る。
 無邪気に上機嫌な笑顔を浮かべる彼女の表情の中にはどこか、誇りの様なものを感じ取れた。
 妖魔達の畏怖は当然、摩耶達に向けられたものではないが、『被支配者』達の『視線』は、
 ゾクゾクッ
 彼女を自然と、高揚させる。

 更にそれは、
 ヌリュッ
「んふっ・・・」
 性悦と結合し、摩耶の脳内に甘美な『麻薬』を発生させるのだった。
 蓄積されてゆく『麻薬』によって無意識のうちに、擬勢にも等しき『誇り』を、その表情に秘め始めた摩耶は、
「・・・!!」
 それに水を浴びせ掛ける−相反する衝撃的なものを、目にしてしまう。

 それは、薄汚れた襤褸布を纏い、家畜の様に鎖付きの首輪で繋がれた少女の姿であった。
 この世界の文字が書かれたプラカードを首からぶら下げられた彼女は、鎖の端を豚型の妖魔に持たれ、生気のない瞳で通りを見つめている。
「・・・!!」
 そして豚型の妖魔に怒鳴られた少女は、
 ビクッ
 怯えた色を浮かべると、
「・・・」
 小さな声で何か呟いた後、
 パサッ・・・クッ
 襤褸布を捲ると、M字に脚を開き黒ずんだ秘所を、通りへ見せつける様に突き出した。
 まるでこの市で売られる『商品』の様に−
 
 摩耶はその姿に思わず、
「・・・っ!・・・待って!」
 声を上げる。

「どうっ!・・・どうしたの、摩耶姉ぇ?」
 その声に邪鳳は、馬の手綱を引き、摩耶へ向き直った。
「あれは何っ?どういうことなのっ!?」
 摩耶はそう邪鳳に詰め寄るが、邪鳳は、
「・・・ああ、アレは『穴巫女』だよ・・・摩耶姉ぇ達みたいに霊力が強くない巫女は犯されて、妖魔の肉奴隷になるんだ・・・横に居る妖魔が、あの奴隷の『ご主人様』じゃないかな」
 と、さも当然の如く答えると、
「まあ、見ててみなよ・・・あ、ほら」
 そう言葉を継ぐ。

 彼女の言葉の通り、少女の前にミノタウルス型の妖魔が立ったかと思うと、豚型妖魔の前に置かれた容器の中へ何かを投げ入れ、少女へと覆い被さる。
 少女は最初、妖魔に蹂躙されるだけであったが直ぐに、妖魔の腰に脚を絡め積極的に、体を揺さぶり始めた。
 その少女達の脇を通り過ぎる妖魔達の視線は、邪鳳達に向けるものと相反して、『侮蔑』そのものである。
 少女にしてみれば、妖魔への反抗など、恐怖と無為の意味しか持たないのだ。
 それならば、一時の快楽に身を任せてしまったほうが良い−それは少女にとって当然の結論ではあるが今の摩耶に、それが解ろう筈も無い。

『助けなくちゃ・・・でも・・・』
 少女を助けよう、という意思は沸き起こるがその一方で、自分を拘束する『肉衣』がそれを許さない筈、という『理性』、それに、先程から潜在的に感じている『誇り』と表裏をなす『優越感』が、摩耶の行動を鈍らせた。 

「・・・」
 快楽に澱んだ表情を浮かべ始めた少女へただ、言葉を詰まらせる摩耶に邪鳳は、
「・・・大丈夫だよ・・・摩耶姉ぇ達はあんなことにはならないから・・・それより・・・」
 そう言の葉を切ると、
 シュルッ・・・ギュッ
「あうっ!?」
 尻尾で摩耶の逸物を縛り上げる。

 そして、
「さっきから、背中に固いのが当たってるよ・・・ふふっ、興奮しちゃった?」
 そう継ぎ、
 シュコシュコシュコッ
 巻き付いた尻尾で、摩耶のいきり起つ肉棒を扱き始めた。

「・・・ち・・・がっ・・・あんっ!」
 『尾淫』とも言うべき邪鳳の淫技に摩耶は、
 グラッ
 思わず体勢を崩しかけ反射的に、
 ギュッ
 邪鳳へしがみつく。
 だが邪鳳と密着したことにより、
 ヌルンッ、ニュルンッ
 邪鳳の背に肉棒を擦り付け、自慰をするかの様な体勢を取ってしまった。

 それを邪鳳は、
「あはっ、くすぐったいよ摩耶姉ぇ・・・」
 子供の悪戯の如く受け止め、
「・・・摩耶姉ぇは、私が全力で守るから・・・だから全部、私に任せて・・・」
 そう囁くと、
 シュゴシュゴシュゴォッ
 摩耶のモノを一気に扱き上げる。

 それに摩耶は、
「いっ・・・はぁんっ!!」
 妖魔に射精され、アヘ顔で果てる少女を視界の隅に捉えながら、
 ドブッ、ドブッ、ドブンッ
 青臭い欲望の迸りを邪鳳の背へ放つしかなかった。
 


 ギィィッ
 邪鳳が門兵に手を上げると、重厚な音を響かせ、城門が開く。

 少女の陵辱シーンを見せつけた後、邪鳳達は踵を返し、皇宮に戻ってきていた。
 意気揚々と胸を張り帰還する騎士淫魔に相反して、
「・・・」
 彼女達の後ろに座す巫女どもの表情は、いずれも暗い。

 彼女達の希望であった『逃亡』の選択肢が失われただけではなく、この憎き淫魔達の庇護下を離れてしまえば、『巫女』であることすら許されないのだ。
 それに、自分達が纏わされている『肉衣』の所為にせよ、仲間である筈の『巫女』を助けることすらできない−
 その無力感が、彼女達を重く覆っていたのだった。

「・・・よっ、と・・・到着・・・お疲れ様、みんな」
 邪鳳は、近寄ってきたオークの馬匹に手綱を渡すとそう、周囲に声を掛けた。
 そして、
 タンッ
 と華麗に馬上から飛び降りると、
「・・・はい、摩耶姉ぇ」
 そう言いながら笑顔で、摩耶に手を差し出す。

「・・・」
 摩耶はそれにおずおずと手を伸べると、
 グイッ
 行きと同じく力強い腕で、
 トンッ
 邪鳳の胸に抱かれるかの様に引き寄せられる。

 見れば葵と楓も摩耶と同じく、馬上から降ろされていた。 
 そして邪龍達に手を引かれ、館の方へ力なく歩いてゆく。
 きっと今夜も、彼女達への『奉仕』が待っているのだろう。

 摩耶も重い気分のまま、邪鳳に身を委ねていたが、
「・・・摩耶姉ぇ・・・私達は別に寄るところがあるんだ・・・ちょっとつきあって呉れるかな?」
 邪鳳の口からは予想外の言葉が漏れた。

「・・・どこへ?」
 それに摩耶は力なくそう尋ねる。
 邪鳳が連れてゆく場所など、自分に絶望を与える場所でしかないだろう。
 無力感に打ち拉がれる彼女にとって最早行き先など、どうでも良いこと。
 この質問は、反射的に生じてしまったものに過ぎない。

 そんな摩耶の反応に邪鳳は、
「・・・まあまあ、そんなに暗い顔しないで・・・きっと摩耶姉ぇは喜んで呉れると思うよ・・・さあ、行こう」
 苦笑を浮かべつつも摩耶の手を引き、歩き出した。



 カツカツ
 回廊にヒールの音を響かせながら摩耶達は、摩耶が『館』へ連れてこられた時とは逆方向−皇宮の方角へ向かう。
 邪界に囚われて約一月−
 神凪の家で采配を振るっていた頃が、遠い昔の様に感じられる。
 自分達が住まう見窄らしい居住区から、華やかな皇宮へ歩みを進めてゆくと尚更、それは現実感を持たない。

 ふわりとした感覚のまま、暫く皇宮内を進むと邪鳳が、
「・・・ここだよ」
 そう短い言の葉を漏らした。

 辿り着いた場所は、前面に和風の庭園を配した、小さな離宮の様な場所−
「ふふっ、この奥に、摩耶姉ぇの会いたい『お方』がいらっしゃるよ・・・私はここに居るから、存分に逢瀬を愉しんできて」
 邪鳳はそう言葉で摩耶の背中を押すと、庭園に置かれた椅子に腰を掛ける。

 『会いたいお方』
 そのフレーズに摩耶は、濃霧の様な気分から、それを一気に晴れさせる。
 自分が『会いたい』と思う対象など、一人しか居ない−そのことは、邪鳳も十分承知している筈だ。
 『会いたい』−その気持ちが彼女を逸らせる。
 しかしその一方で、
 『何かの罠かも知れない』
 そうも感じてしまうのも無理は無い。

「・・・」
 幾ばくか逡巡した後摩耶は、『主に会いたい』−その気持ちを優先させる。 
 ギュッ
 そして胸の前で掌を握ると彼女は、離宮の中へ歩みを進めるのだった。

 

 離宮の中は、しん、と静まりかえり、
 ヒタヒタ
 摩耶の足音だけが響く。

 外観と同じく、館の内部も和風に纏められていた。
 邪鳳が言った通り、『会いたいお方』が住まう館として、それなりの配慮がなされているのだろう。
 庭に面した廊下をなおも進むと、木戸が開かれた部屋が奥に見えた。

 摩耶は再び、
 ギュッ
 掌を握り返すと、意を決してその部屋の中へ進む−

 入った部屋は畳敷きで、奥に御簾が設えられている。
 何かの香でも焚かれているのか、微かに花の様な良い香りが感じられた。
 その御簾の向こうから、
「・・・誰か・・・そこに居るのですか?」
 女性の涼やかな声が聞こえる。

 それに摩耶は、
「・・・っ・・・」
 思わず顔色を無くしてしまった。
 その声を間違える筈も無い。
「・・・瑠璃様・・・」
 彼女の真なる『主』の名を漏らしながら摩耶は、溢れそうになる涙を堪え、御簾へと近付いていった。
 
「摩耶・・・」
 そう言いながら布団の上で上半身を起こす瑠璃は、上品なレースの夜着に身を包んでは居るが、その下の裸身は余すことなく透けている。
 そして、大きく膨らんだ腹の中心には、紫色の呪刻が浮かんでいた。

「摩耶・・・貴女にも辛い思いをさせてしまったようですね・・・本当に・・・ごめんなさい・・・」
 摩耶の姿を見た瑠璃は、悲しそうな顔でそう、謝罪の言葉を漏らす。
 己の未熟さ故に、その『結果』を受けるべきではない従者にまで等しく、残酷な『結果』を強いてしまっている−その事実に瑠璃の胸は張り裂けそうになるのだった。

 自分以上の陵虐を受けながらなおも、従者を気遣う言葉に摩耶は、涙を浮かべ首を振りながら、
「いいえ、私など・・・瑠璃様こそ、そのお体は・・・」
 布団の脇に膝をついて、『主』の手を取る。

 コォッ
 その瑠璃の掌からは、強い神気が冷気の様に、摩耶の掌へ伝わってくる。
 処女を奪われ、孕まされてなお感じる神気−その意味を摩耶は、直感的に感じ取っていた。
 この子は紛れもなく、『神凪』の『神子』だ、と−
 禁忌の術として、処女を奪われた巫女が女児を孕み、己が神気を伝承したその子の力を使う、というものがある。
 この状況下から導き出される推論は、最も忌むべきそれしかないだろう。

 果たして瑠璃は、夜着の上から腹をさすりながら、
「・・・これは・・・姉様の子なの・・・」
 そう言って複雑な表情を浮かべた。
 おぞましい淫魔の子ではあるがそれは同時に、彼女の『姉』の子でもあるのだ。
 神凪の当主である一方で、妖魔の頭領の妹−その立場が、瑠璃を苛み続けている。

 その心中を慮った摩耶は、
「・・・瑠璃様・・・」
 そう一言だけ漏らして、言葉を詰まらせた。
 その刹那、
「うっ・・・くぅっ・・・」
 瑠璃は突然体を折り、腹を押さえて呻きだす。

 突然の異変に摩耶は、
「瑠璃様っ!・・・」
 脂汗を浮かべ苦悶する『主』の肩へ手を置いた。

 それに瑠璃は、
「・・・摩耶・・・大丈夫よ・・・」
 苦悶の中にも健気に、『従者』の献身に対して微笑を向けようとするが、
「んっ・・・くぅっ・・・」
 更に激しい痛みに耐えられず再び、顔を伏せた。

 なおも続く『主』の気遣いに、
「瑠璃様・・・しっかり・・・」
 摩耶は眦の端に涙を浮かべながらも、瑠璃の背中をさすり、少しでも気を紛らわせようと介添えする。

 しかし、それも効かずただ苦悶し続けていた瑠璃ではあったが、
 ビクンッ
 電撃にでも打たれたかの如く、一度だけ体を震わせると、その動きを止めた。

「・・・瑠璃、様?」
 摩耶は背中をさする手を止め、瑠璃へそう言葉を掛ける。
 その瞬間、
 ドロォッ
 水の底から染み出す澱の如く濃密な『瘴気』が、彼女から溢れ出した。

「・・・!!」
 思わず背からを手を離した摩耶に瑠璃は、
「・・・うふふっ・・・摩耶ぁ・・・」
 先程の声とは打って変わり甘い声音で向き直る。
 とろん、と溶けるような瞳に、だらしなく緩んだ口の端−その表情はまるで、『淫魔』の如きものであった。

 『主』の豹変ぶりに摩耶は、
「・・・瑠璃様・・・どうなされたのですか?」
 微かに怯えの色を瞳に浮かべながらもそう尋ねる。

 だが瑠璃は、そんな摩耶の恐れを体現させるかの様に、
「どうもしないわ・・・ねえ摩耶・・・この子が・・・貴女の『ミルク』を欲しがっているの・・・うふっ・・・だからぁ・・・」
 ギュムッ
「あひぃっ!?」
 猛る肉の塔を掴んだ。

「んっ!!・・・ふぅっ・・・」
 摩耶は咄嗟に下腹に力を込め、『主』へ『ミルク』が暴発することをどうにか防ぐが、
 ビクッ、ビクンッ
「・・・ぎっ・・・ひぐぅっ・・・」
 馬上での射精で敏感になった筒先は、痙攣しつつ、
 ピュルッ、ピュルッ
 先走りの汁を溢れさせる。

 その摩耶の反応に瑠璃は、
「くすっ・・・」
 妖しい笑みを浮かべると、
「貴女も私とセックスしたいんでしょう?・・・だって、ココをこんなにガチガチにしているじゃない・・・ふふっ、私のイヤらしい姿を見て、興奮しちゃったの?・・・本当にいけない従者ねぇ」
 そう言って摩耶へにじり寄った。

 瑠璃の瞳は妖魔の如く紅く光り、腹に浮かぶ紋様も妖しい燐光を放っている。
 彼女の孕む子は神凪の『神子』である一方で、邪水晶の『御子』でもある以上、『淫魔』に違いない。
  瑠璃は、己が孕む子である『淫魔』の力により、その身と心を『淫魔』と化しているのだ。

「瑠璃様、いけません!・・・お気を確かにっ!!・・・」
 摩耶は必死にそう叫び瑠璃を押し退けようとするが、
「ふふっ、私は至って正気よ?・・・『主』の命がきけないのかしら?」
 瑠璃のその言葉に、
 ビクンッ
 摩耶の肉体は『肉衣』によって、自由を奪われる。

 瑠璃は、
 ニチャァ
 既に粘つく脚をM字に開くと、
「・・・さあ、ココに貴女の『ミルク』を、一杯注いで頂戴」
 そう言って摩耶を誘った。
 
 その彼女の秘所からは、
 ドロォ
 期待の淫汁がとめどなく溢れ、布団をしとどに濡らす。

「くっ・・・あっ・・・」
 摩耶はどうにか抗おうとするが、それは叶わず、
 トサッ
『主』をゆっくり組み敷いていった。
 そして、
「摩耶・・・うふふっ、私を愛して」
 瑠璃がそう言葉を漏らし、摩耶の背へ手を回すのと同時に、
 ズグッ
 一気に彼女の中へ侵入する。

「はぁんっ!・・・素敵よ摩耶ぁ・・・貴女のぶっといチンポで、もっと私を犯してぇっ!!」 
 瑠璃はそう歓喜の声を上げると、
 ギュゥウッ
 摩耶の腰に己の脚を絡みつかせ、
 ユサッ、ユサッ
 更なる愉悦を要求するかの如く、激しく腰を振った。

「ひぎぐぅっ!?・・・ぐぅ・・・ひぃぃっ!?」
 摩耶はその苛烈な刺激を堪えようとするが、
 グヌヌッ・・・ヌリュンッ
 まるで摩耶のモノを飲み込み扱こうとする瑠璃の膣肉の蠢動には抗することができず、
「いっ・・・ぐぅっ!?」
 ドプンッ、ドププンッ
 溜まりきった牡の欲望を、瑠璃の中へ吐き出してしまうのだった。

 人としての形は保っているが、邪水晶自らによる徹底的な陵辱と、その精を浴び続けたことにより瑠璃の肉体は、最上級の淫魔すら凌駕するほどの淫らさを持つまでに変容している。
 淫魔の館で調教されている摩耶とて、それに抗う術などある筈も無い。

「いいわぁっ、摩耶ぁっ!・・・貴女の穢れきったチンポミルク、この子も喜んでりゅぅっ!・・・もっと、もっといっぱい飲ましてぇっ!!」
 瑠璃は涎を垂らしそう哀願すると、
 ヌブリュッ、ヌブンッ・・・ヌググンッ
 膣肉で摩耶を扱き、
 ドブンッ、ドグンッ・・・ヌロォンッ
 子宮口で『ミルク』を飲み干そうと、摩耶の亀頭を『嘗めあげる』。

『瑠璃様の中に私ぃっ・・・』
 摩耶は『主』の中へ放ってしまった罪悪感と絶望感に、
「ひぐぅっ・・・ぐひぃっ」
 涙と鼻水を垂らし、無様に泣きじゃくるが、
 ドブッ、ドブンッ
 彼女の半身はそんなことなど構い無く、その欲求のままに、精を吐き続けるのだった。



 ドピュッ、ピュッ
 漸くして摩耶が精を吐き終えると瑠璃は、
「うふふ、摩耶・・・ご馳走様♡」
 ペロリと舌で唇を嘗めながら摩耶に巻き付かせた脚をゆっくりと、組解く。

 永遠に続くかと思われた肉獄から、漸く解放された摩耶は、
「くっ、はぁっ・・・」
 ヌプンッ・・・ビュクッ、ビュクッ
 未だ飛沫を放つ己の半身を、瑠璃から抜き放った。

 ドロォッ
 秘裂から溢れる二人のミックス・ジュースを瑠璃は、
「・・・あら、勿体ない・・・んふっ・・・くちゅっ」
 指先で掬い取ると、口許に運び、
「くちゅっ・・・くちゅっ」
 口内で転がす様に、その味を愉しむ。
 そして恍惚とした表情で、
「ふふっ・・・とぉっても・・・穢れた巫女の味がするわ・・・美味しい♡」
 そう言いながら摩耶に、爛れた視線を向けるのだった。

 摩耶は、
「ひぐうっ・・・ぐぅっ・・・」
 言葉すら返すことができずただ、泣き続ける。

 彼女が泣き続ける理由は、ただ『主』を犯した罪悪感と絶望感だけではなく、
「んっ・・・ふぅ・・・」
 『主』を犯した自分が確実に、感じてしまっている、という事実もあった。

 そんな摩耶に瑠璃は再びにじり寄ると、
「・・・摩耶、泣かないで」
 そう言って指先で優しく涙を拭い去る。
 摩耶は、
「瑠璃様・・・」
 正気に戻ったかと思われる『主』の優しさに、縋る様な視線を向けるが、
「うふっ、私が慰めてあげる・・・んふっ・・・んぐっ」
 その想いは、摩耶の口淫によって裏切られた。

「にちゃっ、ぬちゅっ・・・」
 瑠璃の蛇の如く伸びた舌は摩耶の歯茎を嬲り、
「んふっ・・・んぐっ・・・」
 唾液腺から止めどなく溢れ出す粘液は、摩耶の口内へ次々と注ぎ込まれてゆく。
「・・・んっ・・・ふぅんっ!?」
 摩耶はその巧みな技に為す術も無く、流されるだけであった。

「はぁっ・・・ちゅぱっ・・・それにしても摩耶のミルク、本当に美味しいわぁ・・・この子だけじゃなく、私にも味あわせて頂戴♡・・・んふっ・・・ちゅくっ」
 摩耶の口の味を存分に愉しんだ瑠璃は、惚けた表情でそう言うと今度は口で、摩耶の肉槍を飲み込む。

「くぅっ・・・ひぃっ!?」
 摩耶は己の股座で揺れる、『主』の美しい黒髪を眺めながら、
『こんなの・・・こんなのってないよぉ・・・』
 底の知れない絶望感に打ち拉がれていた。

 敬愛し、己の身以上に案じていていた存在を犯し犯される−優しいながらも凜々しさを持つ名君が今では、淫蕩で浅ましい牝に変じ、摩耶に襲いかかっているのだ。
 泥濘の様な地獄の中で、己をを強く支えていたものの一つがぐずぐずに崩れてゆくのを、ただ甘受するしかない−
 余りの無力感に摩耶は、ぼろぼろと涙を零すが、
 ドピュッ、ドピュッ
 彼女の肉体はそれを嘲笑うかの如く欲望のたけを、最も大事な存在の中へ無慈悲に放つのだった。



「んくっ・・・んくっ・・・ぷはぁっ」
 瑠璃は口内に吐き出された精を飲み干すと、恍惚とした表情を浮かべ、
「くちゅっ・・・くちゅっ・・・あはぁっ♡」
 口内に残った精を、名残惜しそうに舌先で転がし始める。

 丁度その時、
「うふふっ、お楽しみのようね・・・」
 邪水晶が姿を現した。
 そしてそのまま、瑠璃の横へ腰掛けると、
「・・・ふふっ、瑠璃ったら、幸せそうな顔をして・・・『二人』とも、本当に摩耶が好きなのね」
 レロォッ
 瑠璃の頬を舐め、右手では、
 クチュッ、クチュッ
 瑠璃の秘所を弄ぶ。
 そんな彼女の腹も瑠璃と同じく膨らみ、孕んでいることは明らかだった。

「あんっ!・・・姉様ぁ・・・」
 姉に弄ばれ悶える孕み巫女を摩耶は、床にへたりこんで眺めていた。
 かつて忠誠の対象であったはずの『二人』はおぞましくも孕み、淫戯に溺れている。
 剰え己の肉体は、
 ビュクッ、ビュクッ
 淫蕩なものに成り果ててしまっているのだ− 

 邪水晶は、呆然と見つめる摩耶に、
「ちゅっ・・・本当に摩耶のミルクは美味しいわね・・・それにとっても穢れた味・・・ふふっ、摩耶、お前を、この子の『乳母』にしてあげる」
 そう宣告すると、瑠璃の腹をさすりながら、
「お前の『ミルク』をたくさん飲めば、この子もさぞかし邪悪な巫女淫魔になれるわね・・・うふふっ、本当に楽しみだわ」
 邪悪な笑みを摩耶に向けるのだった。

Bad End After_黒巫女(4) おわり

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