四神戦隊メイデン・フォース

Bad End After_黒巫女(6)

 パカッ、パカッ
 摩耶は愛馬を駆り、皇都の『下町』エリアまでやってきていた。
 その後には、
 パカラッ、パカラッ
 彼女麾下の4騎が、整然と続いている。

 摩耶達は『守護騎士』として叙任されたことにより晴れて、『騎士見習い』から四天王に次ぐ地位を与えられた。
 葵と楓はそれぞれ、二番隊と三番隊の副長に、そして摩耶は、一番隊の第二分隊長を任されている。
 訓練や教練は隊全体で行うが、『巡視』は効率性を鑑みて、各分隊ごとに別れて行うこととなっていた。

「・・・しかし、この臭いは・・・なんとかならないの・・・」
 バチャッ、バチャッ
 汚水の腐敗臭が充満する路地の空気の悪さに摩耶は思わず、鼻を左手で覆う。

 まだここは、大通りから然程離れた場所ではない。
 しかし、そんな場所ですら、こんな有様なのだ。
 邪水晶の治世になってから『都市政策』らしきものが始まり、大分マシになったとは聞くが、摩耶がいた人間界とはインフラを比べるべくもない。
 それにこの辺りのエリアは、これまで回ったどのエリアよりも貧しいらしく、『住居』と呼ぶのも憚れるほど、貧相な小屋が建ち並んでいた。
 畢竟、治安もそれ相応のものとなる。

 案の定、
「・・・きゃあぁぁっ、許してぇっ!!」
「うるせぇっ、お前ぇは、俺達の言うことをきぃてればいいんだよっ!・・・このっ!」
 ボグッ
「ひぐぅっ!?」
 路地の先で、一人の肉奴隷が数匹の妖魔に暴行されているのを見つけると、
「・・・はぁっ!」
 摩耶は愛馬の鐙を蹴り、その現場へと駆ける。

 馬の蹄の音を聞いた妖魔達はそれだけで、
「・・・やべぇっ、騎士団だっ!」
「に、逃げろっ!」
 蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。

「・・・どうっ、どうっ」
 肉奴隷の元へ辿り着いた摩耶は馬を宥めながら目線で、2騎の騎士に彼等の後を追うように指示すると、
 トッ
 馬上から華麗に飛び降り、肉奴隷へと歩み寄る。

 しかし、
「ひいぃっ!?」
 散々妖魔どもに殴られ、痣だらけになった肉奴隷は恐慌をきたしているのか摩耶の姿を見て、震えながら後ずさった。
 彼女の顔は泥に汚れ、打撲で腫れ上がってはいるが、どこか上品な顔立ちをしている。
 恐らくここに囚われる前は、比較的良家の子女であったのだろう。

 そんな彼女に摩耶は、
「・・・大丈夫・・・貴女を傷つけたりしないわ」
 両手を広げ敵意がないことを示しつつ、荒ら屋の壁際に追い詰めると、
「・・・ちょっと、見せてね」
 手早く彼女の背後に回り込み、尻肉を確認した。
 そこには、
『C−00175』
 と、青墨の刻印が刻まれている。

 摩耶は、ふぅっ、と短い溜息を吐くと、
「・・・貴女、『ご主人様』は?」
 そう肉奴隷に尋ねるが、当の本人は、
「・・・っ!!」
 ふるふると、首を横に振るばかりだ。
『・・・脱走した『穴巫女』か・・・』
 摩耶はこの状況から彼女がそうであると断じる。

 このところ、邪界側に戦況が有利なのか、人間界から拉致された多くの『穴巫女』が、街に流入していた。
 だがこんな世界で『管理体制』が十分に機能する筈もなく、この少女の様に脱走しては暴行されたり、最悪は殺され、肉を貪られる者さえ出る有様だった。
 摩耶達『騎士』に『保護』された彼女などはまだ、『幸運』なほうであろう。

 摩耶は、
「・・・これを着て」
 身につけていたマントを脱ぐと、
 ファサッ
 穴巫女へ被せるように着せてやった。
 いずれにせよ、こんな治安の悪い場所に彼女を置いてゆくわけにはいかない。
 早々に立ち去ったほうが無難であろう。

「・・・さあ、行きましょう」
 そう言いながら、微笑を浮かべて手を差し出た摩耶に穴巫女は、未だ震えながらもその手を掴んで呉れた。
 摩耶は手を引き穴巫女を立たせると、
「・・・よっ、っと・・・」
 軽々と持ち上げ、鞍の後ろに座らせる。
 邪水晶の肉体改造と、淫魔達との性交で、摩耶の肉体は『強化』されているのだが、当人に自覚はない。

「んっ、ふぅっ・・・」
 マントを着せられたとはいえ、その下に穴巫女の『装束』のみを纏う少女は、馬の背の『感触』に悶えているようだった。
 摩耶は、つい先日まで彼女と全く同じであった己の境遇を思い出して苦笑を浮かべると、
 スッ
 懐中に忍ばせていた手巾を取り出して、
「・・・これを股に当てて・・・少しは違う筈だから」
 そう言いながら少女へ手渡す。

 少女は一瞬、手巾と摩耶の顔を見比べながらもやがて、おずおずと手巾を受け取ると、
「・・・ありがとう」
 小さな声で感謝の言葉を発し、
「・・・んっ・・・」
 股を浮かして、それを秘所に当てた。

 その様子に摩耶は微笑を浮かべると、
「・・・ふんっ」
 鐙に脚を乗せ、再び馬上の人となる。
 丁度その時、
 パカッ、パカッ
 追跡を命じていた2騎が、縄で縛られた3匹の妖魔を引き連れて帰ってきた。

 摩耶は少女に向けていた柔らかな微笑から一転、氷の様に冷たい表情を浮かべると、
「・・・この穴巫女は、お前達の所有物ですか?」
 チャッ
 剣を豚型妖魔に向け、そう詰問する。
「い、いやその・・・」
 だが当然に、彼等の答えは要領を得る筈もない。

「・・・」
 ヒュンッ
 摩耶が無言のまま、剣を一閃させると、
 ボタッ
「い、ギャァァッッ!!・・・お、俺の耳が!!」
 豚型妖魔の汚い左耳が斬れ落ちる。

 摩耶は、血に塗れたままの切っ先を、隣の牛型妖魔に向け直すと、
「・・・もう一度聞きます・・・この穴巫女は、お前達のものですか?」
 先程よりも一段冷たい声で再びそう、詰問した。

「・・・い、痛ぇよぉっ!!」
 ボタボタと血を垂らしながら悶絶する豚型妖魔に代わり、牛型妖魔が慌てて、
「・・・ち、違いやす!・・・ただ、コイツがフラフラ歩いてたんで・・・」
 漸く答らしい回答を漏らす。

 その答えに一層表情を固くした摩耶は、
「・・・お前達、『触れ』の内容は知っていますね?」
 断罪のための問いを投げた。

 『触れ』−それは市中に在る『巫女』の取り扱いを定めたもので、
 1.『巫女』は決して殺さないこと
 2.『巫女』は修復不能となるまで損壊しないこと
 3.持ち主不明の『巫女』を発見した場合は、直ちに騎士団まで届け出ること
 4.『巫女』の基本的所有権は邪水晶にあり、『持ち主』は所有権を貸与されたに過ぎないこと
 5.この触れを破った者は、厳罰に処されること
 の、以上5点を定めている。

「・・・し、知ってやす・・・でも!!・・・」
 牛型妖魔は冷や汗を浮かべ、懸命に抗弁しようとするが摩耶は、
「・・・コイツらを、番所まで連れてゆけ・・・麻里と絵美も同行しなさい」
 汚物でも見るような視線を罪人どもに呉れながら、部下達にそう命じるのだった。

「・・・摩耶ちゃ・・・分隊長は、どうなさるのですか?」
 慌てて言い直した麻里の問いに摩耶は、
「私もこの穴巫女を送り届けたら、後で合流するわ・・・『裁判』は番所長に一任する、と伝えておいて」
 そう答えると、麻里は、
「了解っ!」
 そう元気に答え、罪人を引き連れる仲間の許へ駆けてゆく。 

 治安対策として城下に数カ所の『番所』を設け、そこで罪人の一時的収容と、『即決裁判』を行っていた。
 そこには騎士団隷下の『士卒』を詰めさせ、城下の治安維持を図っている。
 摩耶達騎士団には、どこでも『即決裁判』を行う権利があるが、こんな雑魚どもの処理を彼女達がするまでもない。

「・・・ゆ、許してくれぇっ!!」
 妖魔どもの見苦しい絶叫とともに、番所へ去ってゆく部下達を見送りながら摩耶は、
「・・・さあ、行きましょうか」
 背後に座す穴巫女にそう声を掛けると、再び馬の鐙を蹴った。



 パカッ、パカッ
「んっ・・・ふぅんっ・・・」
 馬が揺れる度、艶っぽい声を漏らす穴巫女に摩耶が、
「・・・少し辛いかもしれないけれど我慢してね・・・楽になりそうだったら、私に掴まってもいいから」 
 そう気遣いの声を掛けると彼女は、
「・・・ありがとう」
 謝意を述べ、手巾の時よりは遠慮無く、
 ギュッ
 摩耶の腰回りに抱きついてきた。

「ん・・・」
 背中に密着した穴巫女の体温と、
 コリッ
 勃起した乳首の感触が摩耶にはどこか、こそばゆい。
 邪鳳も自分がこうした時、同じ様な感覚だったのだろうか−
 そんな感傷に摩耶が浸っていた時、
「・・・ねえ・・・」
 不意に背後から声を掛けられた。

「・・・貴女、人間・・・なの?」
 素朴かつ根源的なその問いに摩耶は、
「・・・どうして・・・そう思うの?」 
 答えを直接返さず、そう反問する。 

 一瞬の間を置いて返ってきた答は矢張り、
「・・・だって貴女・・・翼が無いわ」
 根源的なものだった。

「・・・ええ、私は『人間』よ・・・」
 摩耶はどこか心がチリチリとするのを感じながらもそう、答える。
 しかしそんな摩耶の心情など、この穴巫女が推し量られようもない。

「・・・でも、貴女、女の人・・・よね?・・・オチンチンがついてる・・・」
 無邪気なまでにそう摩耶を問い詰める彼女は、
 サワッ
 恐る恐るながらも好奇心に負けたのか、ペニス・バンドから覘く亀頭に触れた。
 
 摩耶は、
「・・んっ・・・そこは敏感だから、触らないで・・・それよりも貴女、『元』のお名前は?」
 その微妙なタッチに身じろぎながらも自身への話題を転換すべく、そう尋ねる。
 それは何より、
 ザワッ
 彼女の心をざわつかせる穴巫女の言動に些か、『恐れ』を感じていたからだった。

「・・・愛理・・・福地、愛理(ふくちあいり)・・・」
 まだどこかあどけなさを残す穴巫女は、『名』を名乗ること自体久し振りなのか、確かめるようにそう告げる。
「・・・そう、愛理っていうの・・・素敵なお名前ね」
 摩耶は、愛理の反応から察し努めて優しく、彼女の『名』を褒めた。

 『穴巫女』に堕とされた巫女達は『宮奴』に上がらない限り、尻に刻印された『管理番号』で管理され、『元』の『名』すら奪われる。
 『ご主人様』の元から脱走するほどの状況下にあった彼女が、『名』で呼ばれていたのかは、極めて怪しいものだ。

「・・・愛理、貴女の『ご主人様』の名前は?」
 摩耶は、そんな愛理の境遇を慮りながらもそう、優しく尋ねるが、
 愛理は、
 ビクッ
 と、体を強ばらせると、それ以上言葉を発しなくなってしまう。

 ある意味当然の反応に摩耶は、愛理の境遇に確信を持ちながらも、
「・・・愛理、私が貴女の『ご主人様』のところへついていってあげる・・・そして、貴女を大切にするように言ってあげるわ・・・だから、ね、『ご主人様』の名前を教えて」
 そう、愛理を諭した。

 番所や騎士団が所有している『管理台帳』を調べれば少なくとも、『台帳上』の所有者は直ぐに解る。
 しかしそうではなく、愛理本人が少しでも得心して答えを得たほうが、今後の『生活』にもプラスとなるだろう。
 余程の事−四肢の切断−でもされない限り、『今の』『ご主人様』から穴巫女が『解放』されることはないのだから−

 だが愛理は、
「・・・嫌っ・・・帰りたくないっ・・・お願い、私を連れて逃げて!」
 そう叫ぶと、摩耶にしがみつく。
 摩耶は、苦渋に満ちた表情を浮かべると、
「・・・愛理、それはできないわ・・・大体、どこへ逃げる、というの?」
 なおも愛理を諭そうと試みた。

 『保護』した穴巫女達とのこんな遣り取りは、一度や二度のことではない。
 確かに、性奴隷としての惨めさは摩耶自身、身をもって知っている。
 しかし、ここから脱出する手段がない以上、『巫女達』に取り得る最善の選択肢を『提供』することこそ、己が果たす役目、と摩耶は考えていた。

 しかし、
「・・・貴女、元は『巫女』なんでしょう?・・・だったらなんで、妖魔の味方になんかっ!!」
 愛理の激情は止まず、摩耶の背越しに感じる体温も上昇してゆく。
 そんな彼女に摩耶は、
「・・・貴女に見せたいものがあるの・・・一緒に来て」
 そう寂し気に告げると再び、馬を前に進めるのだった。



 巡視前に叩き込んだ地図を頭中で再生しながら、
「・・・」
 摩耶達は、路地の奥へ奥へと進む。
 徐々に『街並み』と呼ぶのも憚れるほど、貧しく汚い襤褸家が並ぶ通りへと変じ、ドブすら整備されていない道は、
 ヌチャッ、ヌチャッ
 汚水でぬかるむ泥田の様なものとなった。

 その中を進むとやがて、
 プーン
 汚水と糞尿の臭いが強烈に漂う一角に辿り着く−

 その光景に、
「・・・っ!!」
 摩耶の後ろで息を飲む気配がする。
 それも無理はない。
 摩耶もこれを初めて見た時は、同じ反応をしたのだから−

 摩耶と愛理の視線の先には、尻を突き出すような形で固定され、首を鎖で繋がれた『便所巫女』の姿があった。
 糞尿に塗れ、黒豚の様に汚れた彼女は、
 ビチャッ、ピチャッ
 正に家畜の如く首を伸ばし、石張りの便所の床に零れた汚水を啜っている。

『便所巫女』は味覚や消化器を改造され、妖魔の精液や汚物のみ与えられる最底辺の『奴隷』である。
 そんな彼女の背後に、怒張をパンパンに張った犬狼型の妖魔が近付くと、『便所巫女』の秘所に、
 ズブズブズブッ
 怒張をねじ込み、
 シャアァァッ
 放尿した。

「・・・おっ、おほぉっ!」
 当の『便所巫女』は、アヘ顔をさらし、便所の床にその顔を擦り付けながら、刹那の快楽に身を浸す。
 今やこれだけが、彼女に許された唯一の『喜び』なのだ。

 『巫女』のなれの果ての姿に愛理は、
「・・・」
 震えながらただ、それをみつめるだけである。
 『便所巫女』の哀れな末路を摩耶が見せる理由など、妖魔に陵辱を受け続けた彼女の体が一番よく知っていた。

 それから暫く『放尿』シーンを見せつけられた愛理は、少しだけの間を置いて摩耶に、彼女の主人の名と、その居場所を告げたのだった。



「・・・それでは、愛理を大事にするのですよ」
「・・・へ、へいっ!」
 『ご主人様』の許に愛理を送り届けた摩耶は、『愛理』を大切に扱うよう、厳しく彼に命じていた。
 毛むくじゃらのゴリラの様な妖魔は、その巨体を地べたに擦りつけるようにして、摩耶に平伏している。
 彼も『騎士』の恐ろしさは、この街でも戦場でも、十二分に承知しているのだ。
 
『これだけ脅せば、愛理に無体なこともしないだろう−』
 摩耶はそう思い、微笑を浮かべて、愛理に向き直る。
 しかし−
 『ご主人様』の後ろに佇む愛理が瞳に湛えていたのは感謝などではなく−失望、羨望、そして絶望が混在した、『憎悪』にも近いものだ。
 その瞳の余りに暗い色に摩耶は、
「・・・」
 思わず絶句する。

 確かに彼女にとって、『最高』の結果ではなかろうが、今この世界で取り得る『最良』の結果を与えた筈だ。
 だがその思いとは裏腹の反応−
「・・・はぁっ!」
 摩耶は、馬の腹を蹴り逃げ出すかのように駆け出すと、平伏する妖魔と、その横で死んだ様に佇む愛理には目もくれず、その場を後にしたのだった。



 ピチャンッ、ピチャンッ
 天井から滴り落ちる水の滴が、摩耶の肌を叩く。
 しかし彼女は、
「・・・」
 先程から眼前の鏡に向かったまま、微動だにしない。

 巡視を終えた第二分隊は皆で、入浴していた。
 入浴に湯を使える−この邪界では最高級の贅沢とその解放感から、普段は和気藹々と過ぎるこの時間も今日だけは、重苦しいものになっている。

「・・・摩耶ちゃん・・・」
 心配した麻里が、摩耶に歩み寄ろうとするが、首を振る分隊の仲間に連れられ、
 カラッ・・・カタンッ
 浴場を去っていった。

『・・・私のしてきたことは、間違い、だったの?』
 摩耶は湯気で霞む己の顔をぼんやりとみつめながら、自問自答を繰り返している。
 人間界へ逃亡する手段を持ち得ない以上、この世界で『最良』の選択肢を『巫女達』に選び与えることが『守護巫女』であった自分の役目−
 彼女はこれまでそう信じ、『巫女達』に接してきたのだ。
 しかし、愛理が摩耶に放った視線が、摩耶の脳裏からどうしても離れない。

『この世界で自分は−』
 摩耶が、苦悩の極致−自己存在の否定−に達しようかという刹那、
 カラッ
 浴場の扉が開いた。

「・・・邪鳳・・・様・・・」
 摩耶はその人物に向かって頭を下げようとする。
 だが邪鳳は、
「いいよ、二人の時は『朱美』で・・・それより、隣、いいかな?」
 手でそれを制すると、摩耶の隣の椅子を指し示した。

 騎士団の中では互いを『邪鳳様』『摩耶』と呼び、隊内では一定のけじめをつけている。
 しかし二人きりの場合邪鳳は相変わらず、『摩耶姉ぇ』と摩耶を呼び、ベッドの中では自分を『朱美』と呼ばせていた。

 摩耶が、
「・・・ええ・・・」
 そうとだけ答えると、タオルを胸に当てただけの『朱美』は、
「ありがと・・・よいしょっ、と」
 摩耶の隣の風呂椅子に腰を掛け、タオルを鏡台の上に乗せると、邪界では贅沢品のシャンプーに手を伸ばす。
 そしてそれを手で伸ばしながら髪に馴染ませると、
 シャカシャカシャカ
 頭を洗い始めた。

 暫しの間、
 ピチャンッ、ピチャンッ
 天井から落ちる水滴の音と、朱美の髪を洗う音だけが、浴場を支配する。
 だがそんな状況を、
「・・・ねぇ、摩耶姉ぇ・・・」
 朱美が破った。

「・・・きっと、摩耶姉ぇは悪くないよ」
 朱美のその言葉に摩耶は、はっと息を飲み、朱美へと顔を向けると、
「・・・貴女・・・どこまで知っているの?」
 絞り出す様な声でそう、朱美に尋ねる。

 それに、
 ジャバァッ
 手桶で髪を流しながら朱美は、
「・・・う〜ん、ちょとだけしか知らないよ?・・・隊のみんなから、掻い摘まんでは聞いているけれど・・・摩耶姉ぇ、肝心なところは一人だったでしょ?」
 そう答えてから、
「・・・でもね」
 言葉を一度切ると、真剣な表情で摩耶に向かい合った。

「きっと悪いのはみんな私・・・摩耶姉ぇがこんな辛い思いをする場所に送り込んだのは私なんだから・・・ごめん・・・」
 そう謝罪の言葉を摩耶に掛けると、心の底から申し訳なさそうに、頭を垂れる。

『それは違う−』
 例えどんな場所に派遣されたのだとしても、己に確固たる信念があれば何も問題はない。
『瑠璃と、神凪の家、そして巫女達を護る−』
 そう決めた筈なのに、こんなに心が傷つき、揺れるのは、信念そのものが偽りではないのか− 
「・・・違うっ、悪いのはっ・・・」
 再び呵責の念に囚われた摩耶がそう言葉を詰まらせた時、
 ギュッ
「・・・いい、もういいよ摩耶姉ぇ・・・悪いのは全部私・・・それでいいんだ・・・摩耶姉ぇはちっとも悪くないんだよ・・・」
 朱美はそう言いながら、摩耶を抱き締めた。

「・・・うっ、わあぁぁっっ!!」
 摩耶はその優しさに堪えられず号泣し、朱美の胸に泣き崩れる。
 この邪界に来て、ずっと彼女を苛んでいたもの−守護巫女としての役割や、他の巫女を守るべき義務−重くのしかかりはすれども、決して満足には果たせぬ義務と、その不甲斐ない結果に対する自責の念は、責任感の強い摩耶をずっと苛んでいたのだった。
 それを許し、受け容れる−その一言をずっと彼女は待っていたのかもしれない。

「うっ、ううっっ・・・」
 幼い少女の様に、泣きじゃくる摩耶を胸に朱美は、
「・・・」
 慈母の如き表情を浮かべ、優しく摩耶の髪をなでながらいつまでも、抱き締め続けていた−
 


「・・・うっ・・・ぐすっ・・・」
「・・・落ち着いた、摩耶姉ぇ?」
 暫くして、どうにか落ち着いた摩耶に朱美は、赤子をあやす様に背を優しく、ポン、ポン、と叩きながら、そう尋ねた。

「・・・有り難う・・・みっともないところ、見せちゃったわね・・・」
 摩耶は泣き腫らして赤くなった目尻を拭いながら、朱美に、苦笑を向ける。
 年齢から言えば年下の、更に言えば嘗ての弟子の胸でみっともなくも泣き腫らした自分−その姿を鏡で見た摩耶は、俄に恥ずかしくなり、頬を紅く染めた。

 しかし、
「ううん、そんなことない・・・摩耶姉ぇのこんなところを見れて私、嬉しいな・・・」
 そんな摩耶の言葉も朱美は、全面的に受け容れてくれる。
 今の摩耶には愚直なまでの朱美の好意がただ、嬉しい。

 だから、
「摩耶姉ぇ、やっと笑ってくれた・・・ね、摩耶姉ぇ・・・エッチ・・・しよ?」
 朱美のそんな誘いにも、素直に頷いてしまうのだった。



 ザバァッ
 湯殿に二人で入り、互いに向かい合う。
 膝がぶつかり合うほどまでに近付いた互いの体は、湯越しにではあるが、詳らかに見ることができた。
 水の玉が滑り落ちる艶めかしい肌、湯に浮かぶ大きな胸、そして湯の中にあってもその存在を少しも霞ませない、滾りきった肉塔−

 互いの裸など、ベッドの中で見飽きている筈なのだがこうやって向かい合うと、湯の温度のせいもあるのか、頬が熱い。
「・・・なんだか、恥ずかしいね・・・」
 朱美も、自分と同じなのか珍しく照れた表情を浮かべている。

「くすっ・・・」
 これまで何度も肌を重ねている朱美のそんな初心な反応が、なんだか可笑しい。
「・・・あ、笑ったな・・・えいっ!」
 バシャッ
 思わず笑った摩耶を、どこか嬉しそうに朱美は、湯を掛けて戯れる。

「きゃっ・・・!」
 それに摩耶は体勢を崩し、尻餅をつくように湯殿の中へ倒れた。
 自然と、
 チャプッ
 肉塔が浮上したかの様に、水面に顔を出す。

「・・・うふふ、摩耶姉ぇのオチンチン・・・可愛い♡」 
 朱美は、潤んだ瞳でそう呟くと、
「ちゅっ・・・んっ・・・んぐっ」
 亀頭にキスをし、喉奥まで一気に、摩耶の竿を飲み込んでいった。

「んんっっ!・・・はぁあっ!!」
 湯で暖まっているからなのか朱美の喉肉はまるで、膣肉のような熱を持って摩耶の肉棒を包み込む。
 そればかりでなく、
 ジュプッ、ジュプッ
 いきなりの激しいストロークは忽ち、
「んっ・・・ああっっ!!」
 ドピュッ、ドピュッ
 摩耶を追い詰めた。

 朱美は己の喉奥に放たれた摩耶の滴を、
「んぐっ・・・んぐっ・・・んぐっ」
 喉全体で味わうかの如く、
 ブルッ、ブルッ
 喉肉を振るわせ、摩耶を更に窮地へと追い詰める。

「いっ、はぁっ・・・イクぅっ!!」
 摩耶は射精に射精を重ねるように、
 ドブッ、ドブッ、ドブッ
 濃い牡液を、朱美の奥底へ放つのだった。

「はぁっ、はぁっ・・・」
 強烈な悦楽で、眦に涙を浮かべて噎ぶ摩耶の姿に、朱美は満足そうな表情を浮かべると、
「んぶっ・・・んふっ・・・ふっ・・・んむぅ」
 摩耶の肉棒をゆっくり吐き出し、唾液で塗れたそれを、
「ちゅっ・・・れろっ・・・んふっ」
 愛おしそうに嘗めあげる。

 それに摩耶は堪らず、
「んっ・・・!」
 ブピュッ、ピュッ
 湯殿に精を吐き、湯を白く染めていった。

 そんな摩耶に、
「・・・摩耶姉ぇ・・・気持ち良い?」
 朱美はそう言うと、優しい笑みを向ける。
 
 キゥュッ
 そのどこまでも摩耶を愛し気遣う笑顔に、摩耶の胸は締め付けられた。
 だから摩耶は、
「・・・ええ、とっても気持ち良いわ」
 素直に本心を吐露してしまう。

 どこか儚げだが、心からの笑顔−
 この世界で初めて見せた愛する人の表情に朱美も、
「・・・っっ・・・ん〜んっっ!!」
 琴線を触れられたことは間違いない。

「・・・摩耶姉ぇっ♡」
 朱美は堪らず摩耶に飛び掛かると、湯殿から掬い上げるように摩耶を抱きかかえ、
「ちょっと、朱美・・・んんっ・・・ふぅんっ・・・」
 唇を塞ぎ、舌を侵入させてくる。

「れろっ・・・んっ・・・ちゅぅっ」
 そんな朱美の我が儘にも、今日の摩耶は素直に応じることができた。
 それに、
「んふっ、んふっ・・・」
『甘い−』
 朱美が送り込んでくる唾液がいつになく、甘い。
 淫魔である彼女の体液はどれも強力な媚薬効果を持つがこの唾液の味は、摩耶がこれまで味わったどの『体液』よりも、甘く、脳を痺れさせる味がした。

「んっ・・・ふっ・・・ぬっ・・・」
 先に唇を離した朱美との間に、
 ツゥゥ
 唾液の糸が垂れる。
 摩耶は思わず、舌を窄めてそれを舐め取ろうとした。

 熱っぽい視線で互いを見つめ合う中、
 ポチャッ
 唾液の糸が、湯面に落ちる。
 そこから広がる波紋が、
 ピチャッ
 彼女達の肌に触れた時、
「・・・摩耶姉ぇ、好き、大好きっ♡」
 遂に堪えきれなくなった朱美は、
 ズヌッ、ヌヌヌッ
 摩耶を引き寄せ、肢体を密着させながら一気に腰を落とした。

「・・・あっ、はっ・・・摩耶姉ぇの、いつもより熱くて、固くて、おっきい♡」
 朱美は、いつもより遙かに『怒張』した摩耶のモノの逞しさに、蕩けた表情を浮かべる。
 その一方で、
「・・・んっ、ふぅっ・・・朱美の中も、凄く熱くて、ギチギチいってりゅぅっ♡」
 攻めて居る筈の摩耶も、マグマの様に熱く肉棒を締め付ける朱美の『名器』ぶりに、陶酔した表情を浮かべていた。
 そして自然に、
「んっ・・・ふっ・・・ふんっ」
 ヌ゛ブッ、ヌ゛ブッ、ヌ゛ブッ
 熱き肉のマグマ口に、己の分身を突き入れる。

「あんっ、摩耶姉ぇ、激しっ♡・・・もっと、もっと、朱美を滅茶苦茶に犯してぇ♡」 
 いつもは、『犯される』側でしかない摩耶が積極的に自分を『犯して』くれる−そのことが朱美にとっては何よりも嬉しい。 
 その『献身』に応えるかの様に朱美は、
 ヌッ・・・コリュッ、コリュッ
 下腹に力を込め、子宮口で摩耶を扱く。

 それは、淫魔の性技に『慣れて』いる筈の摩耶ですら、
「・・・いっ!?・・・いひゃぁっ!?」
 ドグッ
 射精寸前まで追い詰めるには十二分な『愛撫』であり、
『・・・あっ・・・はぁっ・・・気持ち良い♡』
 その蟲毒の如く甘美な淫技に酔いしれる。

 これまでも肉欲に負けて絶頂を得たことなら数えきれぬほどあるが、『性交』がこれほど気持ちの良いものだと感じたのは、これが初めてだ。
 何故なら、淫魔、それもかつての『弟子』との『性交』には、一方ならぬ抵抗を感じていたのである。
 しかし、
「・・・んっ・・・摩耶姉ぇ♡」
 蕩けた表情で己を受け容れ、全てを許す眼前の存在を『心』から『愛おしい』と感じる−『体』ではなく『心』を許した今、『性交』は単なる『肉の交わり』ではない。

 だから摩耶は素直に、
「・・・あ・・・はっ・・・イっちゃう・・・朱美のしきゅーに、せーえき、いっぱいだしちゃうっ♡」
 自身も蕩けた表情でそう、内心を吐露するのだった。

 それに朱美は、
「あはっ、嬉しい摩耶姉ぇ・・・摩耶姉ぇの赤ちゃん、孕ませて♡」
 満面の笑みで応え、
 グプッ・・・グプヌンッ
 子宮の中へ、子種の吐出口を迎え入れる。
 
 そして、摩耶の耳許に口を寄せると、
「・・・摩耶姉ぇの赤ちゃん汁・・・いっぱい頂戴♡」
 そう囁き、
 ギュウゥゥッ
 子宮口を一気に締めた。

 摩耶はそれに堪らず、
「うっ・・・ぐひいぃぃっ!?」
 獣の様な咆吼を上げると、
 ブビュッ、ブルビュブゥッ、ブビュゥッ
 朱美の子袋へ、ドロドロの子種汁をぶちまける。

 朱美は、
「あはっ、きたぁっ!・・・摩耶姉ぇのせーし、あたしの中でビチビチいってりゅぅっ!!」
 ボコッ、ボコッ
 子宮を膨らませながら、注がれた生命の迸りを全身で受け止めた。

 その一方で摩耶は、
「・・・おっ、ほぉおぉっ!」
 ブビュッ、ブビュッ
 朱美の中へ放ちながら、射精だけではない『解放感』に漬っていた。
 人に心を許し、己の身を全て委ねる−それがどれだけ心地良いものかを、『全身』で感じているのだ。

 朱美は、
 ドクンッ、ドクンッ
 子宮で摩耶の精液を飲み干しながら、
「・・・摩耶姉ぇ・・・大好き♡」
 そう言って摩耶に抱きつき、
「ちゅっ・・・んっ・・・ぬふぅっ」
 再び唇を奪って、淫猥な舌を摩耶の中で蠢かせた。

 それに摩耶も、
「んっ・・・ふっ・・・んふぅっ」
 舌で応え、
 クチュッ、クチュッ
 返礼とばかりに朱美の中を蹂躙する。

 いつしか二人はどちらから求めるでもなく、熱く抱擁し、湯殿をミルク色に染めながら幾度も、互いの『愛』を確かめあうのだった。 



 コンコン
 摩耶は浴場で朱美と散々に愛し合った後、朱美から麻里の様子を聞き、彼女の部屋を訪れていた。
 セックスと風呂で火照る体とは相反して、麻里の心中を思う摩耶の心は重い。

 果たして、
 カチャリ
「・・・摩耶・・・ちゃん?」
 扉から恐る恐る、といった体で顔を覗かせた麻里の顔は、普段の彼女からは想像できぬほど、暗いものであった。
 その表情を裏打ちするかの様に、扉を押さえる小さな手も、微かに震えている。

 普段、向日葵の様な笑顔を振りまく彼女にこんな顔させてしまった−それに摩耶は、
「・・・っ」
 チクリ、と胸を痛ませる。

 そんな彼女に摩耶は思わず、
「・・・ごめんね・・・」
 そう謝罪の言葉を漏らすと、
 サワッ
 麻里の頭を優しく撫でた。

「ん・・・」
 麻里は一瞬身を固くしたが直ぐにそれを受け容れ、ちょっとくすぐったそうな表情を浮かべる一方、
 ギュッ
 摩耶の常服の端を掴む。
 その力は殊の外強く、彼女の不安の大きさが窺い知れるのだった。

「・・・ねぇ、摩耶ちゃん・・・」
 摩耶の胸に顔を埋めながらそう囁く麻里に、
「・・・ん?・・・なぁに?」
 摩耶は、頭を撫でながら殊更、優しく尋ねる。
 それに麻里は、
「・・・ぎゅっ、て・・・して?」
 『年相応』の願いを告げるのだった。

 摩耶はそのささやかな願いに応えるべく、
「うん・・・」
 ギュッ
 優しく包み込むように、しかし力強く、麻里を抱き締める。
 すると、彼女の熱がほんのりと染み込むように、摩耶へ伝わってきた。
 更には、トクン、トクン、という、生命の確かな鼓動が、薄い肌越しに感じ取れる。
 それに摩耶は、朱美とは別種の『愛しさ』−朱美への感情が『熱』ならば、『温もり』というべきもの−を感じ自然と、己の心を『昂ぶらせた』。
 
 摩耶に包まれ、その存在を確かめる様にじっとしていた麻里であったが、
「・・・摩耶ちゃん、邪鳳様の臭いがする・・・それに・・・おチンチン・・・とってもピクピクしてるよ・・・」
 摩耶のいきりたった肉棒を小さな胸の辺りに収め、摩耶の豊満な胸に顔を押し付けながらくぐもった声でそう、訴える。

「・・・っ!!」
 あれほど朱美の中へ放ったのに、猶も昂ぶる己の浅ましさに摩耶は赤面し、慌てて麻里から離れようとするが、
 ギュッ
 麻里は摩耶の手を強く握り締め、
「・・・私も・・・摩耶ちゃんと・・・エッチ・・・したいな・・・」
 さきほどよりも一層強くそう、訴えかけるのだった。



 パタンッ
 麻里に誘われるままに入った部屋は、『少女』の部屋としては飾り気の無い、ともすれば殺風景な場所であった。
 食料にすら困窮するこの邪界が人間界ほど、消費財に富むはずもない。
 だが、市で手に入れたものなのか、民芸品風の人形と、粗末な『花瓶』に挿された野花が、この部屋の主が『少女』であることをいじましげに主張していた。
 そして、鏡台の前へ大事に置かれた、小さなペンダントに目がとまる。
 古ぼけ、決して上等とは言えぬが、麻里にとって大切であろうそれは、室内の灯りを照り返して、鈍い輝きを放っていた。

 キシッ
 いつの間にか摩耶から離れていた麻里は、ベッドに腰掛け、
「・・・摩耶ちゃん・・・来て・・・」
 潤んだ瞳を摩耶に向けながら、両手を広げて摩耶を誘う。

 ヒクッ、ヒクッ
 麻里の物欲しげにひくつく秘所からは、
 トプッ、トプッ
 その容姿からは想像もできぬほど、求愛の徴が零れ落ちていた。
 彼女も確かに、『牝』であり、『淫魔』なのだ。

 摩耶はそのアンバランスな麻里の姿に、
 ゴクリ
 思わず唾を飲み込むと、蜜に引き寄せられる蝶の如く、ベッドへと歩み寄る。

 摩耶が麻里の脇に両手を置き、四つん這いで覆い被さると、
 キシィッ
 ベッドが一際大きな軋みを上げた。

 向かい合った麻里の顔は上気し、桜貝の如き口からは、熱っぽい溜息とともに、
「・・・うれしいな・・・ずっと、摩耶ちゃんとエッチしたかったんだ・・・麻里のおまた、さっきからすっごくムズムズしてる・・・」
 摩耶の理性を溶かす、魔性の言葉が漏れる。

 その言葉に、
「・・・麻里・・・」
 ビクンッ、ビクンッ
 摩耶の性槍も硬度を増した。

 摩耶は自然に、
 ピトッ
 麻里の秘貝にそれを宛がうと、
「・・・麻里・・・きつかったら、言ってね・・・」
 そう声を掛けるが麻里は、
「・・・大丈夫だよ・・・麻里の中に・・・摩耶ちゃんをちょうだい・・・」
 そうはにかんで、摩耶の腰に手を回した。

「・・・」
 そんな健気な彼女に摩耶も腹を決める。
 ツプッ
 麻里の小さな秘泉に己が肉筒の先を埋めた摩耶は、
「・・・んっ」
 ヌブッ・・・ヌブブッ
 麻里へゆっくり体重を掛ける様に、奥へ進んでいった。

 しかし、
 「・・・んっ・・・はぁっ・・・きっつ、ぅ・・・」
 ミチ゛ッ、ミチ゛ッ
 彼女の年相応の通り、きつく狭い麻里の膣穴は、肉を裂くかの如き感覚を、摩耶の分身へ伝えてくる。

 その感覚を視覚化するかの様に、
 メリッ、ボゴッ
 摩耶の分身が麻里の奥へ進む度、彼女のセルロイドの如き滑やかな肌が、摩耶の形へ盛り上がっていった。
「・・・麻・・・里・・・大丈・・・夫っ?」
 肉棒を麻里に絞め殺されそうになりながらも摩耶は、小さな愛人に気遣いの声を掛ける。

「・・・んっ・・・だい・・・じょうぶっ・・・きもちいい・・・よっ、摩耶ちゃん・・・麻里のしきゅー・・・ずんっ、てして・・・」
 麻里は摩耶の心中を慮ったのかそう言うと健気にも、儚げな微笑を浮かべた。

 キュッ
 それに摩耶の胸は、甘く締め付けられ、
 ムクッ
 彼女の怒張はより、腫れを増す。

 そのまま欲望に任せて麻里を犯してしまいそうになるが、
「・・・んっ・・・はぁっ・・・」
 己の下で、蛙の如く股関節を広げ、油汗を浮かべる彼女の姿に摩耶は、
「んっ・・・」
 ギュッ
 麻里を抱き締め、ゆっくりと引き起こすと、対面座位の姿勢を取った。
 ヌッ・・・コツッ
 すると自然に、摩耶の肉棒は麻里の子宮をノックしたところで止まる。

 摩耶はそこで麻里への侵入を止め、
 サワッ
 麻里の頭を撫でながら、彼女の体を優しく抱き締めた。

 麻里はそれにくすぐったそうな表情を浮かべるが直ぐに、
「・・・やっぱり、摩耶ちゃんはやさしーね・・・もうだいじょーぶ・・・麻里も・・・気持ち良く、なりたいな・・・」
 淫欲に濡れた瞳で摩耶に先を促す。
 矢張り彼女も、淫魔なのである。

 摩耶はそれに、
「・・・うん・・・いくよ・・・」
 そうとだけ答えると、
 ユサッ
 麻里の願望を叶えるべく、だが慎重に、腰を揺らした。

「・・・んっ・・ぎひぃっ・・・」
 しかし、麻里を一突きする度、
 ギュッ、ギュムゥッ
 肉棒を食い千切られそうなまでの締め付けに、摩耶は苦悶する。
 その一方で、
 ニュルッ、ニ゛ュルンッ
 挿入者を悦ばせるために設えられた麻里の肉襞一つ一つが、
「・・・い゛っ・・・は゛ぁっ・・・」
 摩耶の肉棒を隈無く、愛撫した。

 だが『責めて』いる筈の麻里も、
「・・・はぁんっ・・・摩耶、ちゃんの・・・おっきくて・・・気持ちイイ♡・・・もっとズンズンしてぇ♡」
 淫魔としての本能に飲み込まれ、
 ズクッ、ズクッ
 腰を自ら動かし、摩耶の肉棒に喰らいつくのだった。

 その苛烈な責めに、
「・・・いっ・・・ひっ・・・くひぃっ!?」
 摩耶はどうにか正気を保とうとするが、
 ビュッ、ビュッ
 常服の内側では乳頭が安全弁の如く、母性の徴を噴きだし続ける。 

 大量に噴き出し続ける母乳に、
 ビュルッ・・・ビチャァッ
 元来、被覆面積の少ない常服は直ぐに機能を失って、
 ヌルゥッ
 溢れ出した母乳は白い筋となって、黒革に彩りを添えた。

「・・・んあっ・・・摩耶ちゃんのミルク・・・おいしそう♡・・・れろっ・・・んっ・・・」
 麻里はその甘い臭いに浮かされるように、零れた母乳を舐め取ってゆく。

 黒革越しに感じる、麻里の舌の鈍い感覚は却って、
「・・・ひっ・・・ああっ・・・麻里ぃ・・・」
 むず痒い様な性悦を摩耶に与え、至悦への焦燥感を煽った。

 グチュッ、グチュッ
 水っぽい音を上げ、揺れる腰の上では、
「・・・んはっ・・・んちゅっ・・・」
 麻里が摩耶のミルクを赤子の如く嘗め続けている。

 まるで、我が子を犯しているかの様な倒錯的な光景に、
「・・・んっ・・・はぁっ・・・麻里ぃ・・・」
 グブッ、グブッ
 浅ましき摩耶の本能はその欲望のたけを、幼き肉体へ叩き付けた。

「いっ・・・ひゃぁっ・・・摩耶、ちゃん・・・はげしい・・・よっ・・・」
 荒々しい性の応酬を受けた麻里は、堪えきれずに、
 ギュゥゥッ
 摩耶の分身をきつく締め上げる。

「ひゃあぁぁあっ!?・・・麻里ぃっ、麻里ぃっ!!」
 既に限界を迎えていた摩耶は、
 ギュリリッ
 肉棒を絞り上げる麻里の責め苦には耐えられず、愛しい人の名を叫ぶと、
 ドグンッ、ドグンッ、ドグンッ
 小さな母性の器へ、牡の限りを流し込んだ。

 牡汁が幼き胎を満たす度、
 ボゴンッ、ボゴンッ
 その薄い肌は風船の如く膨らみ、
 ビクンッ、ビグンッ
 小さな腰は、陸に上がった魚の如く、大きく跳ね上がる。
 
 しかし、そんな熾烈な状況下にあっても麻里は、
「お゛、ほおお゛っ!!」
 その顔に不相応なまでのアヘ顔を曝しながら、獣の咆吼をあげ、
 ビクンッ、ビクンッ
 痙攣しつつもその極悦を『全身で』愉しもうと、
 ギュリッ、ギュリッ
 摩耶の肉棒を更に締め上げる。

「お゛お゛お゛お゛お゛っっ!!」
 それには摩耶も堪らず、
 ビュクッ、ビュクッ
 極限にまで膨らんだ胎へ更に、子種の限りを叩き込むのだった。

 ビキッ、ビキッ
 麻里の腹に血管が浮かび、破裂せんばかりに膨らんだところで漸く、
 ビュッ、ビュッ
 摩耶の射精が終わる。

 ビキィッ
 青筋が浮かび極限まで膨らんだ麻里の腹を見て摩耶は、
「・・・んっ・・・」
 肉棒を抜き、彼女の負担を除こうとするが、
「や・・・まだ摩耶ちゃんと、『いっしょ』にいたい・・・」
 麻里は摩耶に抱きつき、それを許さない。

「・・・麻里・・・貴女、大丈夫なの?」
 摩耶は、麻里の腹をさすりながらそう心配の声をあげるが当の麻里は、
「・・・ん・・・だいじょうぶ・・・摩耶ちゃんのせーえき、あったかくて気持ち良いもん・・・なんか、摩耶ちゃんの赤ちゃんが、中にいるみたい・・・」
 幸せそうな表情でそう微笑むのだった。

「・・・わかった・・・麻里がそう言うなら・・・」
 摩耶はそう言うと微笑み返し、少しでも痛みを和らげようと、麻里の頭を撫でる。

 それに麻里は、
「・・・えへへ・・・私、今、とってもしあわせ・・・」
 本当に嬉しそうに頬を緩めるとそう言って、摩耶へしなだれかかる様に抱きついた。
 摩耶はそんな彼女をただ、優しく撫で続ける。

 麻里はそれに目を細めるが一転、真顔になると摩耶の耳許へ口を寄せ、
「・・・摩耶ちゃん・・・私の・・・話を聞いてくれるかな?」
 彼女の昔話を訥訥と語り出した。



 麻里の故郷は、とある田舎町の小さな社−
 決して豊かとは言えないが氏子達の支えもあり、姉と両親の4人、慎ましやかな生活を送っていたそうだ。
 だが、2年前のこと−
 虚栄心の強い彼女の両親は自分達の立身出世のために、彼女の姉を『戦巫女』として神凪の地方支部へ奉公させる−

「・・・麻里、お姉ちゃんそろそろ行かないと・・・ねっ、いい子だから・・・」
「ヤダっ!・・・絶対にヤ!」
「困ったなぁ・・・」
 既に出発の時間は来ていたが、ぐずる麻里に袖を掴まれた姉は、それを振り払うこともできずただ、苦笑いを浮かべるだけだった。

「・・・何やってるの!早くしなさい!」
 そんな姉妹の姿を見ながらも、車に乗った彼女の母親は怒声で彼女達を引き裂こうとする。
 その怒声に困窮を極めた姉は、
「・・・!!」
 何か思いついたらしく、首の後ろに手を回した。

「・・・ねぇ、麻里、これをあげる」
「?」
 麻里の眼前に差し出されたのは、小さく古ぼけたペンダント−
「・・・おねぇちゃん・・・コレ・・・」
 そのペンダントを麻里は反射的に、両手で捧げ持つ様に受け取る。
 他界した祖母から譲り受けたそれは、姉の大切な宝物なのだから。

 だがそんな大事なものを与えた姉は、飛びきり優しい笑顔を浮かべただ、麻里の頭を撫でる。
「・・・麻里にあげる・・・それをお姉ちゃんだと思って、大事にしてね」
 そしてそう言うと、ペンダントで両手が塞がった麻里を振り切るように、車へ駆けていった。

「お姉ちゃん!!」
 ペンダントを零さぬように両の掌で包んだまま麻里は、姉の乗った車を追いかけるが無情にも、
 ブロロッ
 無粋なエンジン音を残し、車は社を去ってゆく。
 去り際に、窓から見えた姉の頬には、光る筋が走っていた。

−それが、麻里が姉を見た最後の光景だった。
 妖魔との戦闘に参陣した彼女の姉は行方知れずとなり、未だ生死さえわからない。

 本来であれば、悲しい物語はここで幕を閉じる筈である。
 しかし、麻里の強欲な両親はあろうことか幼い妹まで、神凪の一党に差し出したのだ。
 そして奉公に上がって間もなく妖魔の一隊に襲撃され、邪界の虜囚となり、今や淫魔としてここに居る−

 そこまで語った麻里は、
「・・・でもね」 
 と言葉を切る。
 そして、柔らかな微笑みを浮かべると、
「わたし、今とっても幸せなんだ・・・」
 そう言って、摩耶に抱きついた。

「・・・どうして?」
 摩耶は、努めて穏やかにそう尋ねる。
 その心中では、彼女の両親に対する怒りや、彼女の様な存在を戦いへ駆り立てた『神凪』としての自責の念が渦巻いていた。
 だが、麻里の過去に感情をぶつけることができるのは、麻里自身の権利の筈−
 だから摩耶は、己の感情を顕すことなく、全てを麻里に委ねることにしたのだった。

 麻里は、そんな摩耶の『心』を感じ取ったかの様に、
「・・・お姉ちゃんとはもう会えないかもしれないけど・・・今の私には『お姉ちゃん』がいっぱいいる・・・」
 そう再び言葉を切ると、
「・・・だから、ちっとも寂しくないんだ・・・それに、大好きな摩耶ちゃんとこうして気持ち良いことができるんだもん・・・すっごい幸せだよ」
 向日葵の様な笑顔を摩耶に向ける。

 その笑顔に摩耶は、
 キュゥッ
 心臓を握られたかの如く強く、胸を締め付けられた。

「・・・麻里っ!」
 そして抑えていた感情全てをぶつける様に、
 ギュウゥゥッ
 強く麻里を抱き締める。

 摩耶はこの儚く愛おしい存在を、
 『護りたい』
 ただ、そう思った。
 麻里が摩耶に向ける感情は、彼女の姉に対する感情の代償行為なのかもしれない。
 しかし例えそうだとしても、彼女を護る役割は今、己しか果たせないだろう。

「・・・摩耶ちゃん、痛いよ・・・」
 そんな摩耶の強すぎる想いに耐えかねたかの様に麻里がそう、声を上げた。
「・・・ごめんなさい!」
 それに摩耶は慌てて麻里から腕を離す。

 心配顔の摩耶に麻里は、
「・・・あははっ、摩耶ちゃんも結構、『情熱的』なんだね・・・ちょっと、嬉しいかな・・・」
 そう言って、はにかんだ笑顔を摩耶に向ける。
 それに摩耶の胸は、先程までとは別の意味で跳ね上がった。

「・・・んっ・・・摩耶ちゃん、の・・・またおっきくなった」
 その変化を体で受け止めた麻里は、摩耶と繫がったまま、摩耶の膝上で身じろぎする。
 彼女の腹は吸精が進んだのか、ほぼ元通りに戻っていた。

「麻里・・・」
 羞恥に頬を染め、俯く摩耶に麻里は、
「・・・摩耶ちゃん・・・もう1回・・・シよ?」
 悪戯っぽい笑顔を向けると、
「・・・うん・・・ちゅっ・・・」
 摩耶は麻里にキスをし、ゆっくりと、腰を振り始めるのだった。

Bad End After_黒巫女(6) おわり

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