四神戦隊 メイデン・フォース

第13話 肉人形

「・・・ククク、邪水晶め、今宵はどのような余興を見せてくれるのか・・・」
 邪淫皇はそう言って好色な笑みを浮かべると、玉座に肘をつく。
 邪水晶から『珍しいペットを手に入れた』との報告を受けた邪淫皇はその意図するところを汲み、幹部妖魔を玉間に集めて、邪水晶の登場を待ち侘びていたの だった。 

 やがて、邪淫皇が待つことに飽き始めた頃、頃合いを見計らったかのように邪水晶が、
 チャリ
「邪淫皇様、お待たせ致しました・・・」
 暗闇の中から姿を現した。
「「おおぉ・・・」」
 鎖を手に、『ペット』を引き連れた邪水晶の姿に、居並ぶ幹部妖魔の間からどよめきとも感嘆とも取れぬ声が上がる。

 チャリ、チャリ
 彼女が手にした鎖の先には、メイデン・ブルーのコスチュームに身を包んだ蒼乃が居る。
 だが今の彼女は誇り高き『メイデン・フォース』の一員としてではなく、惨めに四つ這いとなり、邪水晶の『ペット』として隷従していた。
 そればかりか、彼女のアナルには現況を誇示するように、犬の尻尾を取り付けた極太のバイブが深々と突き刺さされ、歩く度に、
 フリ、フリ
 妖魔達へ媚びを売る かの如く、左右に振れる。
 そして股間の股布は大きく切り取られ、突きだした尻の合間から時折、その濡れた秘貝を覗かせていた。

 かつての敵に屈辱的な姿を晒す蒼乃だったが、
 ドロォ
 その秘所は潤み、
 ポタッ、ポタッ
 歩く後に、蛞蝓の這ったような軌跡を残してゆく。
 邪水晶に引かれながら蒼乃は、
『・・・ああ、こんな恥ずかしい格好を妖魔に見られてる・・・でも・・・んふぅ、感じちゃう・・・』
 その屈辱的なシチュエーションに興奮しているのだった。

「ククク、邪水晶、『ペット』とはコレのことか」
 邪淫皇は己の眼前まで引き連れられてきた蒼乃を見遣りながら、邪水晶にそう尋ねた。
 その顔には、かつての敵を侮蔑し、邪水晶の『余興』を愉しむ邪な笑みが浮かぶ。

 その邪淫皇の反応に満足した邪水晶は、
「・・・ふふふ、左様で御座います、邪淫皇様・・・ほら、邪淫皇様にご挨拶なさい」
 そう言い、
 ジャリッ
 手許の鎖を引き寄せる。
 それに蒼乃は、
「わ・・・わん・・・」
 人ならざる言葉を発し、がに股の姿勢をとるとそのまま脚を広げ、服従の姿勢を見せた。
 それは正に、犬がする『チンチン』と変わりないものだ。
「きゃ・・・うん・・・」
 蒼乃は己の最も大切な部位を晒す羞恥に頬を染め、邪淫皇から視線を逸らすがその露わとなった秘所は、
 ヌルゥ
 粘液質な泡を吐き出し、鮑のように淫らに蠢くのだった。

 その姿を環視する妖魔からは、
「グヒヒ、あのメイデン・ブルーが雌犬のように『チンチン』とは・・・惨めなものよ」
「真性のマゾに堕ちたという噂は本当だったようだな・・・」
 容赦のない侮蔑の言葉が浴びせかけられる。
 ビクッ、ビクッ
 その恥辱に蒼乃は、下肢を震わせながら辛うじて耐えるが心の底では、
『・・・ん、あぁ・・・』
 呵責ない言葉に愉悦を感じていた。
 その証拠に、
 トロッ、トロォッ
 一層潤みを増した秘所からは愛液が止めどなく零れ落ち、それは尻まで伝って、尻尾を淫らに濡らす。

 その蒼乃の姿に邪淫皇は、
「ククク、確かに浅ましい『ペット』のようだの・・・邪水晶、よう躾けた」
 そう言って笑うと、邪水晶に労いの言葉をかける。
 それに邪水晶は恭しく頭を垂れ、
「はっ、恐悦至極に御座います・・・ふふ、ですが邪淫皇様、『躾け』はこれだけでは御座いません・・・ほら、『芸』をお見せするのよ」
 そう感謝の言葉を述べると、
 グイッ
 鎖を再び引く。
 それを合図に蒼乃は、
「・・・わ、わん・・・んっ、ふぬぅっ・・・」
 弱々しく一鳴きすると、やおらいきみ始めた。
 ズ・・・ズヌッ
 それとともに、アナルに突き刺されたバイブが徐々に、肛外へと押し出されてゆく。

「んっ・・・んあぁっ!」
 だがそれは肛内を性器に改造された蒼乃にとって、耐え難い快楽をもたらすもの。
 蒼乃は辛うじて『チンチン』の姿勢を保とうとするが、
 ガクガクガク
 膝は揺れ、ややもすると崩れそうになる。

 ズルッ
 俄に、押し出す力が弱まった所為で、
 吐き出されつつあったバイブが再び、蒼乃の中へ戻り始める。
 それを見た邪水晶は冷酷な表情になり、
「・・・淫龍、もし邪淫皇様に『芸』をお見せできなければ・・・『罰』を与えるわよ」
 そう言うと、
 ヒュンッ、ビシィッ
 蒼乃に呵責なく鞭を呉れた。

 それに蒼乃は悶えながらも、
「ひぎぃっ!?・・・んんっ、ふうんっっ!」
 懸命に下腹に力を入れ、バイブの排出を再開する。
 『罰』−
 それは、被虐の悦びを与えられず、放置されること。
 マゾ奴隷である蒼乃にとってそれは、何よりも恐ろしい『罰』なのだ。

「くっ・・・くぅんっ」
 脂汗を浮かべながら蒼乃は懸命に、バイブをひり出してゆく。
 その姿は、メイデン・ブルーとしてだけではなく人としてすら、尊厳を否定するものだったが、
 ピチャッ、ピチャッ
 徐々に床に近づきつつある尻尾の先からは愛液が流れとなって、滴り落ちていた。
「ククク・・」
 邪淫皇は口の端を歪めながら、蒼乃の姿を愉快そうに眺める。
 『邪水晶め、プライドの高かったあのメイデン・ブルーをここまで堕落させるとは・・・ククク、げに恐ろしき女よ・・・』
 そして邪水晶の手管に、心中感嘆するのだった。
 
 蒼乃は、その邪淫皇の心中など思いはかる余裕もなくだたひたすらに、邪水晶の命令を果たそうと、脂汗を浮かべ、淫猥な作業に没頭する。
 やがて、
「んんっ・・・くぁあっ!」
 ズルッ、ベチャッ
 腸液と愛液に塗されたバイブが、粘液質な音を立てて床に落ちた。

 すると、蒼乃は体の向きを入れ替え、
「んっ、ふっ・・・きゃぅん・・・」
 邪淫皇に突き出すように尻を向けると、誘うように軽く尻を振る。
 その中心では、
 ヒクッ、ヒクッ
 桜色の蕾が、邪淫皇を誘うように蠢いている。
「・・・くぅん・・・」
 淫龍は、そう一鳴きすると、切なそうな視線を邪淫皇に向け情けを乞うかの如く、尻を一層突き出すのだった。

 その『躾』どおりの所作に邪水晶は満足気な笑みを漏らすと、
「ふふふ・・・邪淫皇様、ご賞味くださいませ・・・」
 そう言って、
 ジャリ
 手にした鎖を邪淫皇の手に握らせ、
 『さあ』
 と、無言で目配せをする。

 邪淫皇はそれに、
「・・・ククク、よかろう」
 一層、口の端を歪めると、
 ジャリンッ
 手中の鎖を手繰り寄せる。
 グイッ
「きゃうんっ!?」
 急に邪淫皇に引き寄せられた蒼乃は首を締められる形になるが、
「・・・わん・・・」
 どうにか四つ這いになると、犬のように邪淫皇の許へ歩み寄った。
 そして、
「・・・くぅん」
 再び服従を示すように、チンチンの姿勢を取ると、不安と期待の入り交じった視線で邪淫皇を見上げる。
 だが不安と期待、いずれかが勝るかは、
 グチュゥ
 その晒された肉壺が、何よりも雄弁に物語っていた。

 邪淫皇はメイデン・ブルーの『雌犬』ぶりに満足しながらも、更なる恥辱を与えるべく、
「・・・ククク、浅ましい雌犬め・・・どれ、貴様の穢れた穴をもう一度見せてみよ」
 そう命じた。

「わん・・・」
 蒼乃は弱々しくそう一鳴きすると、邪淫皇に命じられるまま体勢を入れ替え、献上するかの如く、その白桃のような尻を突き出す。
 その中心では一層、潤みを増した肉壺が邪淫皇を誘うように蠢いている。
「ククク・・・」
 邪淫皇はその差し出された美尻を一撫でだけすると立ち上がり、
 ズヌヌヌッ!
 その剛直を、一気に蒼乃の中へと叩き込んだ。

「ん、はぁああっ!」
 ビクンッビクンッ
 蒼乃はそれだけで、軽い絶頂に達してしまう。 
 だがそれに構わず邪淫皇は、
 ズヌッズヌッズヌッ
 蒼乃の体が砕けんばかりに荒々しく抽送を続け、更には、
 ジャリンッ
「ぐむふぅっ!?」
 鎖を更に手繰り寄せ、己の上に蒼乃を跨らせるような姿勢にさせた。

 その姿勢は必然的に、
「むぐっ・・・ふぐぅっ!」
 蒼乃の首を絞めることとなるが、
 ズンッズンッズンッ
 邪淫皇は下からの突き上げを緩めることはない。
「ククク・・・締まりが良くなったぞ、淫らな雌犬め」
 寧ろ、嘗ての仇敵メイデン・ブルーを蹂躙する悦びに、その抽送を早めてゆく。

 一方、蒼乃は苦悶の表情を浮かべながらも、
 『んんっ、苦しいっ・・・でも・・・邪淫皇様に滅茶苦茶にされて・・・感じ、ちゃう・・・』
 邪淫皇の陵虐に深い愉悦を感じ、
 グッ、グヌゥッ
 深い悦楽を得ようと無意識のうちに、その淫猥な肉壺で邪淫皇のモノを扱き上げる。
「・・・んっ・・・はぁあっ・・・もっとぉ・・・」
 いつしか蒼乃の表情は苦悶から、愉悦を貪る浅ましい雌のものへと変じていた。

 その光景に邪水晶は、
 『ふふふ、すっかり雌犬ぶりが板についたようね。それに・・・』
 笑みを浮かべつつ、居並ぶ幹部妖魔の表情を窺い見た。
「・・・」
 既に過半が邪水晶の一派となってはいるが、いずれも驚愕の表情を隠せずただ、邪淫皇の陵虐を見守るばかりだ。
 それも無理からぬことであろう。
 メイデン・フォースの中で最もプライドが高く理知的だったメイデン・ブルーが、畜生の如く敵に媚び、尻穴を犯され狂喜しているのだ。
「・・・っ!」
 邪漢に至っては、額に青筋を浮かべ、湯気が出そうな憤怒の表情を浮かべている。
 妖魔のくせに『正義感』溢れるこの男は、仇敵が姦計で無様な姿を曝していることが許せないのだろう。

 『ふふふ・・・』
 それを見た邪水晶は、邪漢とは対照的にほくそ笑む。
 邪漢が怒りに震えれば震えるほど、己の姦計が首尾良く運んでいる証なのだ。
 怒りに震える領袖の傍らで、前を膨らませる上魔の姿に邪水晶は、口の端を一層吊り上げた。

「・・・んっ、はぁっ・・・んぁあっ!」
 尻穴を荒々しく犯され首輪をきつく締められつつも蒼乃は、邪水晶の『躾け』どおり、人語を吐くことなく邪淫皇のなすがままとなっていた。
 ブルンッブルンッ
 その豊かな胸は邪淫皇の突き上げによってゴム鞠のように弾み、
 ビタンッビタンッ
 白磁のような尻肉は、邪淫皇の腰骨に歪められる。
 ズチュッズチュッズチュッ
 そして、肛内を裂かんばかりに埋め尽くす凶器の蹂躙に蒼乃のアナルは、
『あっ、はぁあっ・・・もうダメェヘ・・・イッちゃう・・・妖魔の皆様に見られながら、イッちゃうよほぉ・・・』
 共に絶頂へと誘うように邪淫皇の肉棒を、
 キュウゥッ
 きつく絞り出すように締め付けた。

 邪淫皇は蒼乃の昂ぶりを己の中心に感じながら、
『ククク、完全に肉人形と化したか・・・ならば、トドメをさしてやろうかの』
 そうほくそ笑み、
「ククク、淫らな雌犬よ・・・褒美ぞ、我が精をとくと味わうが良い」
 そう蒼乃に宣告すると、
 ズンッ
 ギュウゥ
 腰を突き上げるのと同時に、蒼乃の乳房を握り潰さんばかりに絞り上げた。

 それが引き金となり、
「ひゃあぁっ!?」
 蒼乃は絶頂へと追い遣られる。
 ドクンッ
 邪淫皇の込み上げる迸りをアヌスで感じながら蒼乃は、
『ひゃぁんっ・・・邪淫皇様の、来るぅっ』
 襲い来る魔悦を期待し、頬を紅潮させる。
 そしてその期待は直ぐに、
「ひぁあっっ!」
 ブビュッ、ドクッドクッドクッ
 マグマのように熱い塊によって結実した。

「ククク、どうだ、我が精の味は?」
 邪淫皇は蒼乃の中に放ちながら、
 ジャリンッ
 一層手許の鎖を引いてそう尋ねる。
 邪淫皇の魔液を肛内一杯に注がれつつ、気道を塞がれながらも蒼乃は、
「・・・ひぐぅっ・・・わ、わんっ!・・・わんっ!」
 壊れたように吠えては、
 グニッグニッ
 悦びを表すかのように、邪淫皇の上で腰を振り舞い踊る。
 だらしなく舌を垂らし涎を撒き散らすその姿は正に、褒美を貰った飼犬のようであった。

 グリッグリッ
 己が腰を振ったことにより、邪淫皇の剛直が腸壁を抉る形となった蒼乃は、一層背を仰け反らせると
『ひぁあっ、もうダメ、我慢できない・・・んんっ、イっちゃふぅっ!』
 プシュッ、シャアァッ
 盛大に潮を吹きながら、絶頂に達した。
 そして、捲れあがった乳頭の先から、
 ビュッ、ビュッ、
 雌牛のように母乳を飛び散らせると、
「ん・・はあぁっ・・・」
 至福の表情を浮かべて、邪淫皇の胸へ全てを預けるように眠りへとついた。



「ククク、邪水晶よ、存分に楽しませてもらったぞ」
 ピチャ、ピチャ
「・・・んっ、ふぅっ・・・」
 邪淫皇は、肉棒にこびり付く交合の残滓を蒼乃に舐め取らせながら、邪水晶に労いの言葉をかける。
 その顔には言葉どおり、満足気な笑みが浮かんでいた。

 邪水晶はその邪淫皇の反応に頬を緩ませると、
「邪淫皇様にお喜び頂けることが何よりの幸せに御座います・・・」
 そう言って深々と頭を垂れ、膝をつく。
 絶大な成果を挙げてもなお、絶対服従を誓うその姿は何よりも、邪淫皇を喜ばせるものである。
 邪水晶はそれを十二分に理解している。

 邪淫皇は邪水晶の心配りを承知しているがそれでも、
「ククク、殊勝な事を言う・・・これでメイデン・フォースもあと一人・・・邪水晶、レッドへの策は如何様ぞ?」
 鷹揚に玉座に肘をつくと、上機嫌にそう尋ねた。 

「・・・むふっ、ちゅぅっ」
 依然として、夢中になり邪淫皇のモノに奉仕する蒼乃に目を遣りながら邪水晶は、
「はっ、万事抜かりなく、進めております・・・やがてはこの者のように、邪淫皇様へ献上する日も近いかと」
 そう言うと、自信に満ちた笑みを邪淫皇に返す。
 そして、
「しかし、まずは貴奴らの組織そのものを陥落させることが先決・・・メイデン・フォースの全てを献上することが目的なれば、レッドはその仕上げに過ぎませ ぬ」
 そう言葉を継ぐと、邪淫皇に訴えかけるように、主君の顔を窺い見るのだった。

 それに邪淫皇は、
「ククク、レッドすら過程の一つであると?・・・ククク、面白い・・・邪水晶、全ては貴様に任せる。メイデン・フォースの全て、我に差し出して見せよ」
 そう答えると、ペットをあやすかのように蒼乃の下顎を、野太い指で撫でつけた。

 邪水晶は邪淫皇の許諾が得られたことに口の端を歪めると、
「・・・はっ、必ずやメイデン・フォースを邪淫皇様の御前に・・・」
 そう、頭を垂れる。

 その眼前では雌奴隷に墜ちた蒼乃がうっとりと、邪淫皇の肉棒を飲み込んでいた。



 タタタタタッ!
 乾いた音と共に、暖色の光跡が闇の中へ吸い込まれてゆく。
 その光の先では、
「グエエッ!」
 獣の様な断末魔が響き渡った。 

「・・・α1、α2、左翼へ展開。残敵を掃討せよ」
 首まで全身を覆う黒衣を纏い、バイザーで顔を覆った女性がインカムにそう短く命じると、
『α1了解』『α2了解』
 スピーカーから、矢張り短い回答が返ってくる。
 その数瞬後、
 ・・・タタタタタッ!
 再び乾いた音がすると、一帯は静寂に包まれた。

 『残敵は・・・全て消えたわね』
 一色琴美(いっしきことみ)はバイザーの表示から、敵を示す赤い光点が消えるのを確認して、ほっと安堵の溜息をつく。
 周辺の状況から考えても、敵の増援が現れることはないだろう。
 そう結論づけた琴美は、
「・・・全α隊員に告ぐ。ミッション・コンプリート。撤退準備にかかれ」 
 インカムにそう伝達すると、手にした銃をホルスターに納めた。

 琴美の眼前では、撤退準備の命を受けた黒衣の隊員達が妖魔達の死体を回収し始めていた。
 警備部の隊員は、メイデン・フォースの装備をベースに開発された汎用品を装備しているがその中でも女性隊員は、漆黒に空色のラインが入ったボ ディー・スーツを首元まで纏い、儀式済みの特殊弾を込めた自動小銃で武装している。
 このボディー・スーツは先日、技術部が開発し実戦投入されたものだ。

「琴美、お疲れさん」
 琴美の傍らにやって来た女性がそう言って、ポン、と肩を叩く。
「桜子」
 振り返った琴美の視界に、人懐こそうな笑顔が映る。
 彼女の名は伊集院桜子(いじゅういんさくらこ)。
 部隊の副隊長を務める桜子は、可憐そうなその名前とは裏腹に、180cmを越える大柄な女性だ。
 『女ランボー』の異名を持つ彼女は、中東でのPKO活動の際、武装ゲリラに襲われた部隊を、「衛生兵」の身ながら単身で救った実績を持つ猛者でもある。
 琴美の部隊では信頼できる突撃隊長として、確固たる地位を占めていた。

 琴美は、バイザーを外しながら、
「・・・戦果はどうだったの?」
 桜子にそう尋ねた。
 それに桜子は腕に装着されたコンソールを操作すると、
「・・・今確認できるところでは、中魔3、下魔18を撃破・・・中魔1、下魔4が撤退、ってとこだね」
 そう、笑顔を崩さずに答えた。

「そう・・・」
 それに琴美はそう、独りごちる。
 桜子が報告した成果は、数字的には悪くない、というよりもかなり好成績だ。
 自然と琴美にも微笑が浮かぶ。
 だがそれも一瞬、再びキッと表情を引き締めると琴美は、
「βチームは?」
 そう桜子に尋ねた。
「ん〜・・・無線の様子だとウチらの7割強、ってとこじゃないかな?」
 その桜子の答えに、
「そう・・・」
 先程とは意味合いの異なる相槌を打ち、口の端を緩ませるのだった。

 その琴美の素直な反応に桜子は、
「なんだ、隊長殿、嬉しそうじゃないか」
 そう言うと、意地悪そうな笑みを浮かべた。
 琴美はそれを軽く受け流しながら、
「まあ、ね。嬉しくないと言ったら嘘になるかしら?」
 そう切り返し、今度は大きな笑みを浮かべる。 

 警備部の実戦部隊には琴美が隊長を務め、女性隊員からなるαチームと、外人部隊上がりの奥村兵衛(おくむらひょうえ)が隊長を務め、男性隊員から なるβチームがある。
 防衛省と警察からの出向者が主力を占めるαチームに対し、βチームは主に外人部隊経験者から構成されている。
 戦場ではお互いのプライドを賭けその実力を競い 合っており、四半期ごとの実績によって、「α」と「β」の入れ替えもある。 
 しかし、実戦経験が豊富な奥村のチームに、実戦経験が乏しい琴美のチームが後れを取る事が多く、奥村に小馬鹿にされ、悔しい思いをずっとしてきた。
 それは琴美にとって屈辱以外の何者でもないが、実績で劣る、その事実がある以上、強く言い返すこともできずにいたのだった。
 いつか見返してやる−
 そう琴美は強く思い続けていたのだがこのところ、琴美のチームが奥村のチームを上回る実績を上げるようになっていた。

「しっかし、新装備サマサマだねぇ」
 桜子は、そう言ってボディー・スーツを叩くが琴美はそれに、
「まあ、そう言われると、私としては複雑だけどね・・・」
 苦笑を浮かべてそう、答える。
 実力で見返したい、そう思っていた琴美にとって、新装備の配備が逆転の決め手となっている−
 その事実は余り面白いものではなかった。
 だが、プライドを取り戻しつつある部下の様子を見ていると、悪い気がしないのも確かではあった。
 
『それにしても・・・』
 琴美は、まじまじと己の姿を見つめた。
 闇を溶かしたような漆黒のボディー・スーツは、肌に吸い付くかの如くぴったりと貼り付き、琴美のスレンダーな体の線を浮き立たせるばかりか、乳首や尻の ラインまでも、くっきりわかるほどである。
 当初この装備はこの『一体感』から、隊員には極めて不評であった。
 だが実戦でその機能性や耐久性が発揮されるにつれ、その声は小さくなっていった代物なのだ。
 自分も今では『装備品』としては高く評価しているが改めて見つめてしまうと、未だに気恥ずかしさが湧いてくる。
『本当はこれなしで結果を出したいんだけどな・・・』
 琴美は心の中でそう一人ごちると、指先で恨めしそうに、スーツを軽く持ち上げた。

 桜子はそんな琴美の複雑な気持ちを払い落とすように、
 バンッ
 琴美の背を大げさに叩くと、 
「まあ、細かいことはいいじゃないか。成果もバッチリ、ボーナスもバッチリ!・・・後始末が終わったら、飲みにでも行こうよ」
 そう言って、似合わないウインクした。
 彼女のこういうところに、琴美は大いに救われる。
「クスッ、桜子らしい・・・そうね、そうしましょ」
 信頼できる部下であり、無二の親友でもある彼女の誘いを素直に、琴美は受けることにした。



「桜子が休み?」
「はい、風邪、とのことですが・・・」
「・・・桜子が風邪、ねぇ・・・」
 桜子が分隊長を務める分隊員から報告を受けた琴美はそう言うと、訝しげに頬杖をついた。

 ここ1月ばかり、隊員の病欠が急増している。
 風邪、インフルエンザ、腹痛・・・
 いずれも軽度のもので、2、3日もすれば皆復帰してくる。
 風邪など殴り飛ばしでもしてしまいそうな桜子の病欠により遂に、病欠していないのは自分だけになってしまった。
 『馬鹿は風邪を引かない』とは言うが、私自身『馬鹿』ということなのだろうか?
 そう思った琴美は、思わず苦笑した。
 だがそれも一瞬、小隊長の顔になると琴美は、
「わかったわ。桜子には早く体調を整えて復帰するよう伝えて頂戴。それと彼女が休みの間は、私が直接分隊の指揮をとるわ」
 分隊員にそう伝達し、職務に復帰するよう命じた。

「はっ、了解しました。失礼します」
 琴美の命に敬礼で答えた分隊員は踵を返すと、琴美の執務室から退いてゆく。
 だがその口の端に酷薄な笑みが浮かんでいることに、琴美は気付くことはなかった。



「・・・はあっ・・・」
 琴美は、ロッカー・ルームのベンチに腰掛けながらそう溜息をつき、項垂れる。
 今日は下級妖魔ばかりの出現で相手としては楽だったものの、桜子の分まで任務を果たさねばならず、負担のかかる一日だった。
 普段は疲れた素振りさえ見せない琴美だったが今日ばかりは、その疲れに身を浸したい気分だ。

 今、彼女の周りには誰も居ない。
 残務処理も二人分であるために、遅くなってしまったのだ。
「桜子、この借りはちゃんと返してもらうわよ・・・」
 琴美は、ここには居ない親友に、そう恨み言を言うと、伏せていた顔を上げた。 

 ジイイィッ
 前についた細いファスナーを下ろすと、
 プルン
 形の良い、小振りな乳房が弾けるように飛び出す。

「・・・やだ、またこんなになってる・・・」
 琴美は、ツン、と勃った乳首を見て、そう赤面した。
 このボディー・スーツを着用した後は必ずと言って良い程、体が火照ってしまう。
 誰も居ないことは解っているが、琴美は慌てて胸を腕で覆い隠すと、周囲を見回した。
 その時、
 ツン
「んっ!・・・」
 乳首の先に腕が触れ、電撃のような感覚が走った。
「・・・んんっ・・・」 
 琴美は思わず己の体を抱き込み、その感覚が去るのを待つ。

 やがて疼きが収まった琴美は、
「・・・はあっ・・・本当に、どうなってるのかしら・・・」
 そう言いながら脱ぎかけたボディー・スーツを睨むと、肩口に開いたそれを忌々しげに、
 ヌッ・・・ヌルンッ!
 足下まで引き下げた。

 透明で粘液質なジェルが琴美の全身を覆い、照明の光を浴びてヌラヌラと光り輝く。
 ボディー・スーツの内側にはジェル状の薬液が塗布されており、スーツを脱ぐとこのようになってしまうのだ。
 これを開発した皐月の話では、スーツの人工筋肉としての能力を高めること、それと、スーツを着やすくするためにこの薬液が塗布されているということで あったが、
「・・・これも、どうにかならないのかしら」
 琴美には馴染めないスーツの特性だった。
 いやらしく火照った体が照明を浴びて濡れ光る淫靡な様に琴美は、
「・・・はあっ・・・シャワー、浴びよ・・・」
 何かを振り払う様に頭を振ると、シャワー室へ移動した。

 シャァァッ
 シャワーの蛇口を捻ると、少し熱めの湯が勢い良く、琴美の肢体を洗い流してゆく。
「はあっ・・・」
 琴美はシャワー室の壁タイルに手を突きながら、そう安堵の溜息をついた。
 ゴポッ、ゴポッ
 肢体に絡み付いたジェルも、少し生臭い臭気を放ちながら、排水口へ次々と消えていった。

「んっ・・・」
 琴美はおかしな気分を洗い去るように、目を閉じたまま顔をシャワーに向ける。
 それとともに、綺麗に刈りそろえられたショートヘアが水勢で、後方へ流れていった。
 ピタンッ
「ん?」
 熱い湯に混じって、ゴムのような感触が琴美の頬に触れる。
 琴美がその感触に目を開こうとした時、
 ゴパァッ
 黒い『何か』が、シャワー口から飛び出した。
 ビュルビュルビュルッ
 それは瞬く間に琴美の全身を覆う。

「んっ、んんっ〜!!」
 琴美は『それ』に抗おうとするが、全身がゴムに覆われたかの如く、自由に体を動かすことができない。
 やがて視界も『それ』に塞がれてしまったが同時に、
「んふふ〜、可愛い娘げっとぉ・・・んふふ、引き締まって良い体ねぇ」
 そう、若い女のくぐもった声が耳朶から流れ込んできた。
 そして己の肌に貼り付いたそれは、
 ムニッ、ムニッ
 胸を撫で回すように、蠢動する。

「んふふ〜、張りが良くて良い触り心地ぃ〜」
「・・・む〜、むぅっ!」
 視界がブラック・アウトした中で肉体を恣にされる状況は、琴美にただならぬ恐怖心を抱かせた。
 懸命に逃れようとする者のくぐもった悲鳴がシャワー室の壁に響く中、
「・・・流禍様・・・素体を傷つけられては困ります」
 今度はどこかで聞いたのある別の女の声が、『それ』を諫めた。

 『それ』は一瞬、蠢動を止めたが、琴美が息をつく間もなく、
「・・・はぁい。もっと遊びたかったんだけどなぁ・・・じゃあ、下準備しちゃうねぇ♪」
 そう言うと、
 ズルズルズルッ
『ひぐぅっっ!・・・あだしのながに、なにががはいっでぐるぅう゛っ!』
 耳道以外の、口、鼻腔、膣孔、乳頭に至るまで、孔という孔から琴美の内部へと『それ』は浸入し、
 ボコンッ、ボコンッ
 潜り込んだ先で、沸騰した水のように暴れ回る。
『あがががぁっ!』
 それは例えようもない激痛を琴美に与えた。 

 ブチンッ、ブチンッ
『ひぎぃぃっ!?・・・わだじのがらだぁっ!』
 琴美は激痛の中で、己の肉体が別の『何か』に変化させられるのを本能的に感じ取っていた。
『やべてぇっ!わだじのがらだがぁっ!』
 琴美は自由に発声することもできないが、必死になってそう『抗弁』する。
 しかし、
 ブチンッ、ブチンッ
 『それ』の動きが止まることはない。

 やがて、
『ひぎぃっ、もうゆるじでぇ・・・』
 激痛と絶望に、意識の糸を切ろうとした時、『それ』が、
「んふふ、貴女の中、とってもいい感じよぉ♪・・・痛いのもぉ、あとちょっとだからね・・・んふふ、貴女きっと、とっても良い『ドール』になれるわよぉ ♪」
 そう、琴美の中で上機嫌に震えるのを感じた。
『・・・あがっ・・・だめへぇっ・・・』
 そこで、
 ブツンッ
 最後の糸が焼き切れるかのように、琴美の意識は途切れた。

 ぐったりとシャワー室の床に崩れ落ちる琴美の股の間から、
 ズルッ
 先程潜り込んだ黒い何かが、流れとなって這い出し始める。
 『それ』はやがて、女の姿となって、琴美の傍らに立った。

「んふふ〜、準備完了ぉ♪・・・大分私の体を使っちゃったけどね〜」
 『それ』は、嬉しそうにゆらゆらと揺らめきながら、眼前の女にそう告げた。
「流禍様、お疲れ様で御座います・・・ふふ、これでこの女も『ドール』にできますわ」
 その女は、流禍に一礼すると、やはり嬉しそうに、笑みを零した。
 


「・・・痛っ・・・」
 琴美は、背中に走る痛みに、目を覚ました。
 反射的に、背中へ手を伸ばそうとするが、
「・・・くっ!?・・・」
 それは叶わない。
 琴美は、人型に窪んだ、金属製の手術台の上に全裸で、手足を拘束されていたのだった。

「ここは・・・」
 どこかぼんやりとする頭をどうにか働かせて、琴美は周囲を確認する。
 薄暗い、岩肌が露出した空間には、見たこともない機器が雑多に置かれていた。
 床には円形の金属板が弧状に並んでおり、一つずつ数えるように視線を滑らせてゆくと、近頃見慣れた衣装に身を包んだ女性が、直立した水槽のような物の中 に浮かんでいるのが見えた。
「あれは・・・」
 彼女は頭にヘッド・セットを、そして胸と股間には怪しい器具を填め込まれ、その先からはコードが水槽の上面に伸びていた。
 その女性の顔上半分はヘッド・セットに隠れて窺うことができない。
 だがそれは、琴美が見紛う筈がない人物のもの。
 それは、
「桜子っ!」 
 琴美の親友、桜子であった。

 ピクリともせず、水槽の中で水草のように漂う桜子。
「桜子っ!・・・えいっ、くそっ!」
 琴美は桜子の元へ行こうと足掻くが、先程と同様に、拘束具は外れることはない。
「外れろっ、このぉっ!・・・畜生!・・・」
 ガチャガチャと拘束具を鳴らしつつ、琴美が二度目の悪態をついた時、
「・・・ふふふ、邪界へようこそ、メイデン・フォースの戦闘隊長さん」
 女妖魔が琴美の眼前に現れた。

 琴美は憤怒に顔を歪ませながらその女妖魔に、
「貴様ぁ、桜子に何をしているっ!直ぐに解放しろっ!」
 そう怒鳴りつけた。
 だがその女妖魔は、涼しげにそれを受け流すと、
「ふふふ、威勢の良い娘ね・・・貴女みたいなタイプ、好きよ」
 サワッ
 琴美の内腿に触れる。
 その女妖魔が触れただけで、雷撃のような悦楽が走り琴美は、
「ひゃぁあんっ!?」
 図らずも甲高い声を上げてしまった。
 そして、その女妖魔は、
「ふふふ、特上の素体のようね・・・ここの具合も・・・」
 クチュ
 琴美の秘所に指を突き入れる。
「はぁんっ!」
 ビクンッ、ビクンッ
 それだけで琴美は、軽い絶頂に達してしまう。

 女妖魔は琴美の様子を楽し気に見つめつつ、秘所から指を引き抜くと、琴美の滴に濡れた指先を含み、
「チュッ・・・んふふ、貴女のジュース、とっても美味しいわ」
 そう微笑んだ。
「・・・邪水晶様、如何で御座いましょうか?」
 その彼女の背後から、白衣の女性が現れ、邪水晶、と呼ばれた女妖魔は、
「ええ、良い仕上がりよ、皐月、礼菜」
 そう言ってその女に微笑みかける。

 琴美は、
「んんっ、はぁっ・・・貴女は・・・蘇我さんっ!・・・それに藤崎さんまで・・・」
 邪水晶の指技の余韻に震えながらも、『同僚』である蘇我皐月ばかりか、藤崎礼菜まで姿を現したことに驚愕の表情を隠せない。
 二人とも本部に居る時のような白衣に身を包んではいるが、
「「ふふふ・・・」」
 琴美に向けるその酷薄な笑みは、
 ゾクリ
 薄ら寒いものを感じさせる。

 その琴美の感覚を理解したように礼菜は、
 ニイッ
 と口の端を吊り上げ歪めると、
「・・・うふふ、一色さん、光栄なことよ・・・貴女は邪水晶様の『ドール』になるの・・・ふふっ、ふふふ・・・」
 そう、琴美には理解できぬ単語を吐く。 
 琴美はそれにやや気圧されながらも、
「・・・ドール?」
 その言葉の意味を図りかねてそう尋ねるが、自分が口にしたその言葉は、存外に不気味な響きがした。

 それに皐月は、
「・・・ふふ、今の貴女では、『ドール』が何か知るはずはないわね・・・そうね、まずは『先輩』の姿を見たほうが良いかしら?」
 そう言って
 パチン
 指を鳴らした。
 それと同時に、
 ウィィィン
 機械音がし、
 ゴポゴポゴポッ!
 水槽の中の桜子が激しく体を痙攣させる。
 見れば、股間に填められた器具が、激しく振動していた。

「やめろぉっ!」
 親友への陵虐に琴美はあらん限り、抗議の叫び声を上げる。
 だが皐月は、
「大丈夫よ・・・直ぐに『調整』は終わるから」
 そう短く、涼しげに答えるだけだ。

 その皐月の言葉通り、
 ゴボッ
 桜子の口から一際大きな泡が吐き出されると、機械は停止した。
 それとともに、桜子の首がカクン、と項垂れる。
 やがて水槽のガラス部分が開くと、 
 ザバァー
 水槽の充填液が流れ出し、桜子はゆっくりと、台座へ膝をつくような体勢になった。
 バチンッ
 それとともに、被せられていたヘッド・セットやコード類がパージされ、桜子は虜囚から解放されたのだった。

「桜子!」
 琴美は桜子にそう呼び掛けるが、桜子の体はピクリとも動かない。
 だが、
「・・・さあ、起きなさい、『1号』」
 皐月がそう桜子に命じると、
 ビクンッ
 電気が走ったように体を震わせ、
「・・・はい、皐月様・・・」
 桜子は、ゆっくりと立ち上がった。

「ふふ、気分はどう・・・『1号』?」
 礼菜のその問いに、
「はい、礼菜様、とても良い気分です」
 桜子はその言葉通り、微笑を浮かべてそう答える。
「そう・・・調整はうまくいったようね」
 礼菜はその反応にそう返すと、やはり笑みを浮かべるのだった。

 その二人の遣り取りに琴美は、
 『何かがおかしい・・・』
 そう感じながらも、
「桜子、貴女、大丈夫なの!?」
 友の身を案じてそう叫んだ。
 それに桜子は漸く琴美の方を向くと、
「・・・ええ、大丈夫よ、『0号』」
 そう答え、悠然と笑みを返す。
 その瞳には、妖しい光が宿っていた。 

「・・・『0号』って、何よ・・・私の事がわからないの桜子っ!?」
 琴美は、嫌な予感が的中しつつあることを半ば確信しながらも、桜子にそう叫びかける。
 だが桜子は、
「うふふ、わかっているわよ・・・十分にね、『0号』」
 琴美の不安を一層煽るように、彼女の名ではない『名称』で再び、己を呼ぶ。

「・・・ふふ、1号・・・お前の新たな姿を『上司』に見せてやりなさい」
 桜子はその命に、
「はい、皐月様・・・モード・スレイヴ」
 そう答えると、
 ニヤリ
 と邪な笑みを浮かべた。
 そしてそれを合図にしたかのように、
 ビュルビュルビュルゥッ
 桜子の手から肉色の触手が伸び、琴美に殺到する。

「ひぃぃぃっ!?」
 醜い肉の華を、拘束されたまま視界一杯に受ける琴美。
 それを本能的に避けようとし、拘束された箇所に『激痛』が走り血が滲むが、恐怖で麻痺した彼女の脳はそれすら認知することができない。

 シュルシュルシュルッ・・・ニュルルゥッ
 琴美の体を貫かんばかりに殺到した桜子の触手は、花弁のように開きながら粘液を吐き、琴美の裸体にまとわりつく。
 細く分裂した触手はミミズのようにのたくり、琴美の肌に粘液を塗りたくる。
 それに琴美は、
「ひぃぃぃっ・・・桜子・・・お、お願いやめ・・・んんっ・・・はぁあっ!」
 生理的嫌悪感を露わにしながらも、肉の愉悦を感じてしまうのだった。
 一方の桜子も、
「ああっ、0号の体、プリプリしてて気持ち良いっ・・・」
 親友の肌を陵辱する悦びに震える。

 二人の痴態を楽し気に眺めていた皐月は、
「・・・ふふ、肉体の淫乱化は良好のようね・・・これなら、第二段階に進んでもいいかしら・・・そうね、1号・・・『種』をその女に植え付けてやりなさ い」
 そう、桜子に命じた。
 桜子は歓喜の表情を浮かべながら、
「・・・んあっ、はい、皐月様・・・」
 そう言うと、股間の間に、
 ズルッ
 一本の触手を生やす。
 ブルンッ
 細いイソギンチャクのような触手の先端は、喘ぐように開閉を繰り返し、
 トプットプッ
 透明な粘液を吐き出し続ける。
 そしてその根本は正に、『種』を埋め込んだかの如く、歪に膨れ上がっていた。

 ヒタ、ヒタ
 邪で不気味な笑みをその顔に貼り付かせながら、桜子が琴美に迫る。
 琴美は懸命に、
「桜子っ、目を覚ましてっ!」
 そう諭すが、桜子は、
「うふふ、『琴美』、貴女もこれで『私達』の仲間よ・・・」
 初めて琴美の名を呼ぶと、覆い被さり、醜い触手を琴美の膣口に当てた。

「ひぃぃっ!?」
 琴美は短い悲鳴を上げるが、
 ビクッ、ビクッ
 触手は止まることなく脈動しながら、
 ズヌッズヌヌッ
 秘肉を割り広げ、琴美の奥へ奥へと侵入を始める。

「ひっ、いっ・・・」
 触手の肉感だけではなく、何かへ変えられてしまう恐怖に戦く琴美とは対照的に、
「んっ、はあぁっ・・・琴美の中とっても気持ち良い・・・」
 桜子は恍惚とした表情で、
 グチュッ、グチュッ、
 触手を律動させる。

「・・・ぐっ、うあぁっ・・・」
 琴美は恐怖に囚われながらも、
 ギュッ、ギュッ
 股を辛うじて締め、桜子の侵入を防ごうとする。
 だがその刹那、
「・・・んふ、琴美・・・力を抜いて・・・」
 桜子がそう言うと、
 ビュルッ
 触手の先端から粘液質な何かが一吹き、琴美の膣内に吐き出された。

 ドクッ、ドクッ
 膣内に広がる生暖かい感触と、沸き上がる生理的嫌悪感に琴美は眉根を歪め、
「い、嫌ぁ・・・」
 そう喘ぐ。
 だが、
 ドクンッ
「!?」
 膣壁が一瞬熱くなったかと思うと、
「んっ、はっ、はあぁぁっ!」
 子宮が引きずり出される様な、圧倒的な快楽の波が下腹部全体に広がった。

 それと同時に、琴美から力が抜けたのを感じた桜子は、
「んふふ、琴美・・・もっと感じて・・・」
 グチュグチュグチュ
 琴美の肉壁へ蟲毒を塗りつける様に、触手の動きをねっとりとしたものへ変化させる。
  
 絶え間なく送り込まれる快楽に琴美はほんの一瞬、
「・・・あっ、ああんっ!」
 理性の手綱を手放しかけてしまった。
 それとともに、子宮口も僅かに緩む。

 桜子は琴美の奥深くへ突き刺していた触手からそれを感じ、目を血走らせながら
「くふふ、琴美・・・今、『種』を植え付けてあげるからね・・・」
 そう酷薄な笑みを浮かべると、
 ゴプ
 友を外道に堕とす『種』をその子宮口に突き当てた。

 弾力に富み、ゴム鞠のような感触を女の奥底に知覚した琴美は、
「ひぃぃっ・・・桜子、それだけはやめてぇっ!」
 全てが変えられてしまう危険性を本能的に感じ、桜子にそう哀願する。
 だがそれに桜子は、
「・・・ひひっ、きひひぃっ!」
 獣のような咆哮を上げると、
 グブッ、グブブゥッ
 『種』を琴美の奥へとねじ込むのだった。

 子宮に潜り込んだ『種』は住処を得た悦びを表すかのように、
 ビキッ・・・ビキビキビキィッ!
 琴美の子宮と急速に、同化を始めた。
「ひぎぃぃぃっ!?」
 ボゴンッ、ボゴンッ
 琴美の下腹部は波立つように膨れ、血管が葉脈の如く浮き立ち始める。

「・・・ふふふ、『発芽』は順調のようね・・・」
 悶え苦しむ琴美を見下ろしながら礼菜はそう微笑み、
「・・・では、『成長剤』を与えてあげましょうか・・・」
 ビュッ
 毒々しい薬液で満たされた注射器を手に、琴美の元へ歩み寄る。

 その傍らで皐月は、
「・・・ふふ、じゃあこちらは、『心の処理』をしようかしら・・・」 
 そう言いながら、桜子に装着されていたものと同じヘッド・セットを、捧げ持つようにして琴美の元へやって来た。

「い、嫌ぁ・・・」
 全ての終局を悟った琴美は、思わず救いを求めようとして桜子の方へ顔を向ける。
 が、桜子は、
「うふふ、大丈夫よ琴美・・・直ぐにこの素晴らしさが解るようになるから・・・何も恐れることはないわ」
 そう言うと、駄々をこねる幼子をあやすが如く、脈動を繰り返す琴美の腹をゆっくりと撫でつけるのだった。
「桜子・・・」
 その反応に琴美は、桜子の人格は一片も残さず別の『何か』に変じていることを確信し、絶望の念に覆われる。  

「ふふ、部下もああ言ってるわよ?・・・さあ、上司なんだから潔く覚悟を決めなさい・・・うふふふ・・・」
 皐月はそう言うと、ヘッド・セットをゆっくり琴美に被せようとする。
「・・・い、嫌だぁっ!」
 琴美は必死になってそう抵抗するが、ヘッド・セットが触れるや否や、
 ヒュゥンッ・・・カチッ
 両脇から伸びたアームが貼り付くように延び、琴美の鼻から上は、すっぽりと覆われてしまった。

 ヘッド・セットが装着されたことにより、視界と聴覚を外界から遮断された、琴美。
 それは、琴美の恐怖心を一層煽る。
 琴美はそれに負けじと、
「お願い、取ってぇっ!・・・私は、私は化け物になんてなりたくないっ!」
 そう叫び、抵抗を続けた。
 
 ガンッ、ガンッ
 抵抗の頑強さを主張するかの如く、琴美はヘッド・セットを手術台に打ち付けては、手足が千切れんばかりに四肢に力を込める。
 それに皐月は少しウンザリした表情を浮かべながら、
「もう、五月蠅いわねぇ・・・頭は人間のまま残すから、下手に舌でも噛まれたら困るし・・・そうねぇ、これでも噛んでなさい」 
 そう言うと、白いギャグ・ボールを、叫び続ける琴美の口に押し込む。
 それと同時に、
 ヒュンッ・・・ギュゥゥッ
 固定具がボールの脇から飛び出し、琴美の首に巻き付いた。

「ふぐぅっ、ぐぅっ!?」 
 二つの感覚を封じられる中、口内に異物を押し込まれた琴美は、混乱する。
 異物に歯を立て、噛み砕こうとするが、僅かに変形したその異物の中から、
 ブチュッ
 粘液質な液体が染み出し、琴美の口内へとその臭いを振りまいた。
 その気色の悪い液体を琴美は、
『うげぇっ、生臭い・・・おえぇぇっ』
 吐き出そうとするが、ギャグ・ボールが栓となって吐き出すことができない。

 礼菜は注射器を手にしつつ腕を組みながら、
「ふふ、だめよ、吐き出そうとしちゃぁ・・・それは貴女をとっても気持ち良くしてくれる『お薬』なんだから・・・」
 陸に上がった魚のように、バタバタと藻掻く琴美の様子を可笑しそうに眺める。
 そして微笑みを浮かべながら、
「・・・皐月、『調教具』で大人しくさせて頂戴。成長剤が打てないわ」 
 皐月にそう、促した。

 それに皐月は、
「わかったわ、礼菜。うふふ・・・」
 ビクンッ、ビクンッ
 極太の肉触手を二本取り出すと、手術台の溝に沿って、
 ズヌヌヌッ
 琴美の秘所とアヌスに挿入した。
 そしてその肉触手は、
 ズルッ、ズルルッ
 意志を持つかのように、琴美の奥深くへと潜り込み始める。

「ふごっ、ふごごぉっ!?」
 口ばかりではなく、肉体の中心に最も近い二つの孔に、肉の楔を打ち込まれた琴美は、声にならぬ悲鳴を上げた。
 だが皐月はそれに応えることなく邪な笑みを浮かべたまま、
「うふふ・・・」
 手術台の脇にあるコンソールの、赤いボタンを押す。
 すると琴美が横たえられた窪みの中に、
 ドプッ、ドプッ
 タールのように黒い液体が、注ぎ込まれ始める。
 それは琴美の肢体を包むように纏わりつき、やがて、ボディー・スーツの形を取った。

 ドクンッ、ドクンッ
『嫌ぁっ、熱いっ・・・熱くて灼けちゃうよぉっ!』
 頭部以外の、ボディー・スーツが触れる全ての場所から、文字通り身を焦がすような『熱』が、琴美を襲う。
 それから琴美は逃れようとするが、感じる感覚とは正反対に凍り付いたかの如く、指先一つ動かすことはできない。

 首から下は、ピクリとも動かなくなった琴美を見下ろしつつ礼菜は、
「漸く大人しくなったわね・・・ふふ、これが最後の『投薬』よ」
 そう言うと、ボディー・スーツの上から、ぷっくりと浮き出たクリトリスに、
 プスッ
 毒液の針を突き立てた。 

『ひぐぅっ!?』
 最も敏感な器官に、肌を灼くものとは別の熱源が生じるのを感じ琴美は、くぐもった呻き声を上げた。
 だが本人の意志とは別に、
 ブクッ、ブクッ
 水風船を膨らます様に、毒液が琴美の中へ中へと送り込まれてゆく。
 
 親指大までクリトリスが膨らんだところで漸く、
「・・・ふふ、これでいいわ」
 ツッ
 礼菜は琴美から針を引き抜いた。
 それと同時に、
 ドクンッドクンッ
 一際大きく、琴美の下腹が脈動する。

 それを見た皐月が、
「ふふふ・・・それじゃ、さようなら『一色琴美』さん」
 そう言ってコンソールのボタンを押すと、琴美の寝かされた手術台の下方にある金属製の蓋が、
 カシャンッ
 乾いた音を立て、口を開いた。
 それと連動して、
 ウィイイン
 手術台が傾き始める。
 ズルッ
 琴美の体が重力でずり動きそうになった瞬間、
 ガシャンッ 
 彼女を固く拘束していた枷が、全てパージされた。

『!!』
 そのまま琴美の体は、魔物の口のように開いた床の穴へ、吸い込まれるように落ちてゆく。
 琴美の全てがその穴の中へ消えた時、
 ドプンッ
 粘り気のある落下音がし、再び蓋は、
 ガシャンッ
 冷たい音を立ててその口を閉じたのだった。

『苦しいっ!!』
 ガボガボガボッ!
 地の底の穴−『培養槽』に落とされた琴美は、そこから逃れようと両手をばたつかせる。
 だが彼女の抵抗も虚しく、鼻腔と口腔が吸入口となって、肺の中に水槽内の液体が、津波のように押し寄せてきた。
 ズルッ・・・ズルルッ
 粘液質なそれは、粘膜を撫でるように伝いながら、忽ちのうちに琴美の肺を満たす。

「・・・!」
 窒息する、そう感じた琴美は動かぬ体を強張らせるが不思議なことに、息苦しさはない。
 ただ感じるのは、
 トプットプッ 
 肉体の内外から浮かぶ様な感覚。
 そしてその液体は肌から染みこむかのように、肉体の奥へ奥へと浸透してくるのだった。

 それに琴美は、
『・・・何この感覚・・・』
 体の芯から暖かくなる様な、感覚を得た。
 それとともに、
『ん・・・あ・・・』
 母の胸に抱かれたような安堵感を感じ始める。
 さほどの時を置くことなく彼女は、全身を弛緩させ、だらり、と腕を下ろした。

「ふふ、準備は良いようね・・・」
 モニターに映し出されたバイタルをチェックしていた皐月はそう呟くと、
 カチ
 培養槽のコンソール・ボタンを押した。
 すると、
 ガコンッ・・・ゴゴゴ
 先程琴美が消えた『穴』がせり出し、桜子が囚われていたものと同じ『水槽』が姿を現す。

 その中に浮かぶ琴美は桜子の時と同じ様に、川藻の如くゆらゆらと、力なく漂うばかりだ。
 それを楽しげに見つめながら皐月は、
「・・・ふふ、楽しい『授業』の時間よ、『0号』」
 そう言い、コンソールのボタンを押す。
 それとともに、
 ヴウゥン
『ん・・・はぁっ!?』
 妖魔の世界観や価値観を示す映像が怒濤の如く、琴美の視界一杯に流れてゆく。
 そして、
『・・・』
 小さくて判別できないが囁くような声音が、ヘッド・フォンから漏れ始めた。
 更には、 
 ビクッビクッ
 ボディー・スーツからは微かな振動が、琴美の肌を撫でるかの如く伝い始める。
『・・・ん・・・あぁ・・・』
 いつしか琴美の口元には、安堵感だけではない表情が浮かび始めた。

「んふふ、『娘』達の調子も良いみたいねぇ」
「これは流禍様・・・ええ、御陰様で隊員達の淫乱化も順調です」
 皐月は、傍らに現れた、蒼乃と『共生』する流禍にそう頭を垂れながら、笑みを零した。

 琴美達に支給された『新型』ボディー・スーツは、流禍の肉体組成を元に作られており、内部に塗布された液体も流禍の体液とほぼ同じもの。
 琴美達戦闘隊員はかつての蒼乃と同様に、知らず知らずの内に肉体改造を施されていたのだった。
 そして直接琴美の肉体に直接『受肉』させることにより彼女の肉体は、流禍と類似したものへ変化しつつある。
 正しく流禍の言う通り、琴美の肉体は流禍の『娘』になろうとしている− 



「はあっ、はあっ・・・」
 琴美は荒野の中を一人、息を切らしながら走っていた。

 力が全てを支配する世界。
 下魔に襲われ、命からがら逃げ出した彼女は、武器を全て失い、ボディー・スーツもぼろ切れのように切り裂かれた惨めな姿だった。
 部隊は陵虐の犠牲となるか、逃散してしまい、琴美の周囲には荒涼とした風景がただ広がるばかりだ。

「はあっ、はあっ・・・」
 後ろを振り返り、どうにか追っ手を振り切った、そう思った瞬間、
 ボゴッ!
 土中から、複数の触手が伸び、琴美に襲いかかった。

「きゃあっ!?」
 琴美の肢体に絡み付いた触手は、
 ボグッ
 叩き付けるように、琴美を引き摺り倒す。

 ボゴンッ
 土の中からは下魔の中でも下等な、巨大なミミズ様の妖魔が姿を現した。
 その妖魔はニョロニョロと、己の子のような触手を生やし、琴美の穴という穴にそれをねじ込み始める。
「ぐぼぇっ・・・おえぇっ!」
 口腔にも触手をねじ込まれ、強烈な吐き気を感じながらも必死に抵抗しようとする琴美。
 だが、装備もなく、人間である彼女に抵抗する術はない。

 やがて下魔は、琴美の中にその身を突っ込みながら、
 ビュルルッ
 粘液を体表から吐き出した。
 すると、
 ズブチュッ
 一つの触手が蠢動したかと思うと、
 ズチュッ、ズチュッ
 全ての触手を律動させ始める。

「ん、はぶぁっ・・・ぶぁっ!・・・ん、ぶあぁっ!」
 鼻から、逆流した胃液を吐きながらも、下腹部から来る強烈な快楽に琴美は翻弄される。
 絶え間ない苦痛と快楽に琴美の意識は、直ぐに朦朧とし始めた。

 この下魔は、強力な媚薬を獲物に与え、体液の全てを貪り取るタイプだったはず。
『んっ、はあぁっ!・・・ああ、私、このまま殺されちゃうんだ・・・』
 ズチュッ、ズチュッ
 半ば空蝉のようになった体を下魔に預けながら琴美は、ぼんやりと周囲を見遣った。
「んんっ、はああっ!」
「おぶぇぇっ!」
 見ればいつの間にか、散り散りになっていたはずの仲間が自分と同じ様に陵虐され、悶えている姿が目に入る。
  
 かつては妖魔を圧倒し、絶対的な力を持っていたはずの自分達も、一枚皮を剥がれてしまえばこんなに無力なのだ。
 琴美は悔しさよりも、無力感に囚われ、感情の無い目でその光景をぼんやりと見つめた。
 その琴美の傍らで、一瞬何者かの気配が感じられた瞬間、
 ザシュッ
 彼女を拘束していた触手が断たれ霧散する。
 解放された琴美が物憂げに見上げると、剣を携えた女妖魔の後ろ姿がその瞳に映った。
 漆黒の翼を持ち、黒革の衣装から覗かせる背中は、力強くも女性らしい線を携えている。
 琴美はぼんやりとその姿を見つめながらも心のどこかに、安堵感を感じ始めていた。

 その女妖魔は琴美に振り返ると、柔らかな笑みを浮かべながら彼女の元へ歩み寄った。
『彼女は・・・』
 この女妖魔の姿をどこかで見た気がするが、琴美には思い出すことができない。
 女妖魔はやがて、琴美の傍らまで近づくと、優しく琴美を抱き上げ、
 チュッ
 軽い口づけをする。

 そして一度唇を離すと今度は、
 チュッ・・・チュルゥッ
 琴美を抱き抱え、濃厚なディープ・キスで口内をねっとりと責め始めた。
「んっ、んふぅっ・・・」
 琴美は反射的にその女妖魔を抱き返すと、舌そ押し返し絡めて、その愛撫に応える。
 チュッ、チュブッ
 いつしか周りに居た仲間の姿が消えているのにも気付かず琴美は、妖魔との逢瀬に夢中となるのだった。

 暫くディープ・キスを愉しんだところで二人は、
 チュッ・・・チュヌッ
 どちらからともなく唇を離す。
 そして、女妖魔は再び微笑むと、
 チュッ
「あっ・・・」
 下魔の陵虐の跡に優しくキスをした。
 それを皮切りに、
 チュッ、チュッ
 琴美の全身にキスの雨を降らしてゆく。

 琴美はそれに堪らず、
「・・・あっ、ふぁんっ!」
 嬌声を上げる。
 女妖魔は時折琴美の肢体から顔を上げて微笑み、
「・・・」
 何事かを囁きかけるが、琴美にはそれを聞き取ることができない。
『ワタシニシタガエ』
 ヘッドフォンからは確かにそう声音が響いていたが、夢幻の世界に在る彼女が、それを知覚することはなかった。



 ビクンッ、ビクンッ
 『培養槽』に漂う琴美は、時折痙攣したかのように体を震わせる。
 その股間では、
 ヴヴヴ
 バイブが妖しく蠢き、琴美を苛んでいた。
 だが、その口元はだらしなく開き、頬には喜悦の表情が浮かんでいる。
 その緩みは時間を追う毎に、大きくなっているようであった。

 その様子を眺めていた邪水晶は、
「・・・ふふふ、『教育』は順調のようね・・・それにしてもお前達、よくやったわ」
 そう言って振り返ると、皐月と礼菜にそう、労いの笑みを零した。

「勿体なきお言葉・・・」
「邪水晶様のお役に立てることが何よりの幸せに御座います・・・」
 皐月と礼菜は邪水晶の言葉に恭しく頭を垂れ、片膝をついて服従の姿勢を示す。
 邪水晶はその姿に目を細めながらも、
「ふふふ、殊勝なことね・・・でもお前達、本音は別のとこにあるのではなくて?・・・さっきからキツイ雌の臭いで、鼻が曲がりそうだわ」
 そう言うと、
 グチュ
 ヒールの爪先で皐月の股間をまさぐるのだった。

 皐月はそれに、
「・・・んっ、はぁぁっ・・・申し訳御座いません、邪水晶様・・・仰せの通り、浅ましくも、邪水晶様のお情けを想像して・・・はあぁんっ!」
 そう嬌声を上げながらも、辛うじて服従の姿勢を崩さずにいる。
 邪水晶はその姿に満足しながら、
「ふふふ、仕方のない雌犬ね・・・礼菜、お前もそうなの?」
 礼菜に視線を移すと、
 グチュ
 今度は礼菜の股間を、ヒールの爪先で嬲る。

 礼菜は、皐月と同じく、服従の姿勢を崩さないままでいたが、
「・・・ああっ、左様に御座います、邪水晶様っ・・・どうか、お慈悲を、お慈悲をくださいませ・・・」
 そう言うと、縋るような視線を邪水晶に送るのだった。

 邪水晶は、
「ふふふ、本当に仕方のない雌犬達ね・・・解ったわ、褒美を呉れてやりましょう・・・お前達、服を脱いでそこへ手を突きなさい」
 そう言って、琴美の漂う『培養槽』を指し示した。
「「畏まりました」」
 皐月と礼菜はもどかしげに白衣を脱ぎ捨てると、『培養槽』に手を突き、差し出すように尻を邪水晶に向ける。
 白衣の下にビスチェのみ纏った彼女達の肌は、興奮のためかうっすらと汗が浮かび、股間は小便を漏らしたかの如く、しとどに濡れていた。

 邪水晶はその景色に、邪な笑みを浮かべながらも、傍らに立つ余人に視線を遣った。
 桜子は、
「はぁっ、琴美ぃ・・・」
 コシュッ、コシュッ
 親友が己と同じ、肉人形となる姿に興奮したのか、股間に出現させた触手を扱いては胸を揉み、自慰に耽っている。

 邪水晶はその姿に邪な笑みを浮かべながら、
「・・・ふふ、親友が改造されるのを見て興奮するなんて、浅ましい娘ね・・・ふふふ、面白いわ・・・『1号』、まずはお前がこの二人を犯してやりなさい」
 そう桜子に命じた。
 桜子はその命に頬を緩ませ、喜悦の表情を浮かべると、
「・・・んんっ・・・承知致しました、邪水晶様・・・」
 ビュルルッ
 己の身から、肉色の触手を伸ばす。
 そして浅ましくも褒美をねだる二匹の牝を、
 シュルルッ
「「ああっ!?」」」
 その生きた蔦で拘束し、
 ギリッ
 上手に縛り上げた。

 ギリッ、ギリッ
 桜子の触手に緊縛された皐月と礼菜は尻を突き出した姿勢のまま、ボンレス・ハムのようにきつく、絞り上げられる。
 その痛みに礼菜が、
「・・・うっ、ううっ・・・」
 そう呻き声を上げたところで桜子は、
「うふふ・・・」
 ズブズブズブ
 男根状に膨らませた触手を、皐月と礼菜へ挿入した。

 苦痛と快楽、相反する感覚に苛まれながらも、
 グプッグプッ・・・ズチュッ、ズチュゥッ
 孔内で伸縮し、巧みに性感帯を抉る触手の動きに皐月の感覚の天秤は、 
「・・・あっ、はぁっ・・・んはぁっ!」
 後者へと大きく傾き始める。

 他方、礼菜は、
 ギリッ、ギリッ
 その柔肌を締め付ける肉の感覚の中に、
「ん゛あ゛っ・・・ん゛あ゛あ゛っ!」
 悦楽への灯火を感じ始めていた。

 だが、人外となって初めて、人間の牝を蹂躙する悦びを感じながらも、桜子の目には、
「・・・ん・・・はぁっ・・・気持ち良い、気持ち良いよぉ、琴美ぃ・・・」
 『培養槽』に浮かぶ、琴美の姿しか映っていない。
「・・・琴美ぃ、琴美ぃ・・・」
 『ドールズ』に改造され人としての倫理観を放棄したことにより、心の奥底に封じられていた感情−同性である琴美への愛情が、止めどなく溢れてくる。
 その『禁じられた』感情の裏返しとして感じていた『劣情』を桜子は、ガラス越しにぶつけているのだった。

 邪水晶は奴隷達の狂宴を眺めながら、
『ふふふ・・・これで人間側の戦力を取り込むことができるわ・・・』
 培養槽の向こうに浮かぶ、琴美の姿に目を細めた。

 基本的に利己主義である妖魔は集団戦が不得手である。
 上級の妖魔が下級の妖魔を力で押さえつけ督戦させることがほぼ、妖魔の『集団戦』の意味に等しい。
 そして、底辺が大きく広がったピラミッド構造の邪界において、戦闘を指揮し、統御できる知能を持った者の数は極めて限られる。
 人間を改造し手駒にする手段を得る、ということは彼女にとって大きな意味を持つのだ。

「ふふふ・・・」
 邪水晶は、徐々に変化する琴美の表情を見遣りながら、満足気な笑みを零した−



「ふんっ!」
 ザシュッ
 女の突きだした腕が下魔の胸を突き、心臓を抉り出す。
「・・・ふふ、死になさい」
 そしてその女はそう冷徹に言い放つと、
 ブシュゥッ、ゴキィッ
 下魔の心臓を握り潰し背骨を砕きながら、握り拳を貫通させ、引き抜いた。

 下魔は、
「グエェェッ!」
 甲高い悲鳴を上げると、よろめき、 
 ビュプルッ
 汚らしい体液を撒き散らしつつ、
 ドサッ
 女の足下に転がった。
 
「ふふふ・・・」
 その女は酷薄な笑みを浮かべながら、下魔の鮮血がこびり付いた己の右腕を、
 ペロリ
 と舐めながら、
 ドカッ
 足下に転がる醜い骸を蹴り飛ばした。
 その表情に憐憫の情など一欠片もない。

 幾度もの『現実』を見せられ、『教育』された琴美の精神は、妖魔と変わらぬ価値観を持つまでに変容していた。
 今では人間の特質を残しながらも、中魔とほぼ同格の肉体を得て、下魔共相手ならば徒手空拳でも対抗できるまでになっている。
 力が全て。
 弱者は強者に従属するのみ−
 その邪界の価値観が今の琴美には心地良く、人間であったことすら愚かしいことに思えてくる。

「ふふ、うふふ・・・んっ、あっ・・・」
 下魔を虐殺した事に性的興奮を覚えた琴美は、未だ血のこびり付く手で、自慰を始める。
 欲望のままに生きること、その素晴らしさを噛みしめながら琴美は、その手を蜜壺の中へ突き入れようとした。
 その刹那、 
 ギュッ
 その淫らな手は、琴美の後ろから伸びた別の手に遮られる。
 悦楽の時間を遮られた琴美ではあったが、
「ああっ・・・」
 その顔には喜色が浮かんでいた。

「・・・ふふふ、ペットが一人で愉しんでいては駄目でしょう?」
 琴美の手を止めた女妖魔はそう言って、もう一方の手で琴美の胸を揉みしだく。
 琴美は、
「はぁんっ!・・・申し訳御座いません、邪水晶様・・・」
 そう詫びながら捧げるように、己の体を主に委ねた。

 いつ、どのようにして、邪水晶が己の主となったかは判然としない。
 元より、偽りの『現実』に連続性などないのだ。
 だが琴美は、己の価値観と同様に、それが当然の事であると認識している。
 己より絶対上位の存在−
 その尊き存在に全てを委ねることは今の琴美にとって、至上の喜びですらあった。

「・・・ふふふ、行儀の悪いペットには躾けが必要ね・・・」
 邪水晶はそう言うと、琴美を組み敷き、ゆっくりと
 ズヌッ、ズヌヌッ
 琴美の中へ侵入を始める。
「・・・ああっ、邪水晶様ぁっ!」
 琴美はそれだけで、軽いアクメに達してしまった。
 彼女には戦闘能力だけでなく、妖魔の性処理人形としての能力も付与されている。

 ギチッ、ギチッ
 邪水晶の巨根を肉穴一杯に頬張りながら琴美は、
「・・・んっ、はぁぁっ・・・」
 至福の時を味わっていた。
 強き者に従属すればこの様に、最上の快楽を与えられる。
 邪水晶の奴隷人形になれたことの悦びに震えながら琴美は、主の背に手を伸ばし、全てを委ねるようにきつく抱擁した。



 ヴヴヴッ 
 コポッ、コポポッ
 琴美に填め込まれたバイブが激しく振動し、僅かに空気が残った気道から、気泡が吐き出される。
 それとともに琴美の肢体は、
 ビクンッ、ビクンッ
 電気ショックを受けたかの如く、痙攣した。
 ブブブ・・・ブン
 やがて、バイブが停止し、琴美は脱力した様に、だらりと肢体を弛緩させる。

 モニターを見つめていた皐月が、
「・・・邪水晶様、『調整』が終了しました」
 そう告げると邪水晶は、
「そう・・・ふふふ、流禍、お前の『娘』が産まれたそうよ」
 培養槽から目を逸らさず、傍らに控える流禍と淫龍にそう語りかけた。

「・・・うふふ、嬉しいですわぁ、邪水晶様・・・ねぇ、淫龍ちゃんもそう思うでしょぉ?」
「ええ、そうね、流禍・・・んふぅ」
 二人は、お互いの悦びを分かち合うように、
 グチュッ、グチュッ
 肛悦に耽る。

 その会話を聞き流しながら邪水晶は、
「ふふふ・・・」
 新たなる下僕の誕生を愛おしむかのように、『培養槽』の壁面を撫でつけた。
 それに呼応したかの如く、培養槽のガラス部分が開くと、 
 ザバァー
 充填液が流れ出し、
 バチンッ
 コード類をパージされた琴美は、台座へ膝をつくように崩れ落ちる。

「・・・」
 培養液で濡れ、深く瞳を閉じる顔に生気は無い。
 死んでいるのかとすら思わせる様子であったが、邪水晶が、
「・・・ふふふ、『0号』、起きなさい」
 そう語りかけると、
 ピクッ
 琴美の体が僅かに反応する。

 そして、深呼吸するように胸が大きく動くと、
「・・・畏まりました、邪水晶様・・・」
 そう、言葉を口にしてゆっくりと立ち上がる。
「うふふふ・・・」
 その琴美の口の端には、淫靡な笑みが浮かんでいた−

 

 「総員、整列!」
 琴美の号令のもと、戦闘隊員達が一糸乱れず、
 ザッ
 一列に整列する。
 彼女達は、漆黒の薄い生地に、空色のラインが紋様状に描かれたボディー・スーツに身を包み、ボディー・ラインを余すことなく晒していた。

 そして、
 「敬礼!」
 琴美の命を受け、
 バッ
 胸に左腕を当てる形の敬礼をする。

 彼女達の視線の先には、一人の女性の姿がある。
 だが彼女達を閲兵するのは、所属組織の長ではない。
 その人物は淫らな装束に身を包み、人外の肉体を持つ妖魔−
 本来『敵』の首領であるはずの、邪水晶であった。

「ふふふ・・・」
 邪水晶は、不動の姿勢で己に忠誠の意を示す、新たな玩具達を見回すと、愉快そうに、
「・・・0号、お前達の存在は何かしら?」
 『0号』と成り果てた琴美へ、そう尋ねる。
 それに琴美は姿勢を崩さず、
「ハッ・・・我等『ドールズ』は邪水晶様と邪界の忠実な僕であり、妖魔の皆様の肉人形です」
 淀みない、確信に満ちた声でそう応えるのだった。

 邪水晶はそれに笑みを浮かべるが、
「・・・」
 無言のまま、再び『ドールズ』達の表情に視線を流した。
 桜子以下誰一人として、不服そうな表情を浮かべる者はおらず寧ろ、誇らしげにさえ見える。
 邪水晶はそれに満足し、
「ふふふ、自分達の立場をしっかり理解しているようね・・・それでは初仕事よ」
 そう言うと、右手を軽く挙げる。
 すると、
「グヘヘ・・・」
「ジュルルッ・・・」
 邪水晶の傍らに、数多の妖魔が姿を現した。
 彼等は、貴族階級に属さない上魔や、実力のある中魔達。
 普段は、堕落した四神の戦士や邪水晶の奴隷を犯す、『おこぼれ』に与れない者達だ。

 邪水晶は『ドールズ』達を見つめながら、
「・・・ふふふ、『ドールズ』よ、この者達に奉仕なさい・・・誠心誠意仕えるのよ」
 そう命じた。
 かつてのメイデン・フォースの精鋭達はそれに、
「「「ハッ」」」
 そう返礼すると、妖魔達の元へゆっくり歩み寄る。
 だが、しびれを切らした一体が、
「・・・ギヘヘッ、待ちきれねぇっ!」
 そう叫びながら『一体』の『ドールズ』に襲い掛かると、
 ドワッ
 雪崩のように妖魔が『ドールズ』に押し寄せた。

 ある者は、
「・・・んぼっ、ぼえぇぇっ!」
 口内深に男根をねじ込まれ、またある者は、
「!?」
 ズブッ、ズブッ
 言葉を発する間もなく、全ての孔が触手に満たされる。
 凄惨、とも言うべき陵虐の狂宴ではあったが、
「・・・ちゅっ、ぷはっ・・・んふふ、皆様のザーメン、美味しいですわ・・・」
 両の手に肉棒を握り締め、突き出された巨根をしゃぶる桜子の様に誰しも、歓喜に満ちた表情でそれを迎えている。
 琴美が宣誓したように彼女達は、心の底から、肉人形へと成り果てていたのだった。

 肉の海に溺れる牝達を傍観する邪水晶は、腕を組みながら視線を変えることなく、
「・・・ふふふ、隊員への『教育』は行き渡ってようね、『0号』」
 傍らに侍る琴美にそう、語りかける。
 それに琴美は敬礼の姿勢を取りつつ、
「ハッ、有り難う御座います、邪水晶様・・・『ドールズ』の隊員には妖魔の皆様に悦んで頂けるよう、訓練を徹底しております」
 そう胸を張り、誇らしげに答えた。
 それに邪水晶は、
『ふふふ・・・この娘も完璧に堕ちたようね・・・手駒として申し分ないわ』
 心中でそうほくそ笑んだ。

 邪水晶は『誇り高き』肉人形に、
「ふふふ、『0号』・・・お前も私に奉仕なさい」
 そう命じると、己の賜物を突き出す。
「畏まりました、邪水晶様・・・」
 完全に『0号』と成り果てた琴美は、その命に目を輝かせ、口の端から涎を零しながら、
「はぁぁあ・・・ちゅっ・・・ちゅぶっ」
 熱き肉塊を、味わうように含む。
 そして、
「れろっ・・・ちゅぶぅっ・・・」
 裏筋を優しく撫でるように舐め上げては、先走り液を美味そうに啜り続けるのだった。

 皐月の『授業』により、邪水晶を悦ばすための性技と、性奴隷としての価値観が、琴美の脳には焼き付けられていた。
 忠実な『生徒』である琴美は、主である邪水晶を悦ばせようと、
「んっ・・・はぁっ・・・むっ、むぶふぅっ・・・」
 亀頭を喉奥まで飲み込み、深いストロークで奉仕する。

「うふふ・・・」
 懸命に奉仕する琴美を眼下に納めながら邪水晶は、満足気に琴美の髪を撫でた。
 彼女達の周囲からは、獣のような唸り声と、肉と肉が貪り合う音が、噎せ返るような性臭とともに流れてくる。

 その音と臭気に身を浸しながら邪水晶は、
「ふふふ・・・それではこちらも宴を始めましょうか・・」
 そう独りごちると、熱を帯びた琴美の口内に、滾りを放つのだった。

 第13話 肉人形 おわり

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