四神戦隊メイデン・フォース

第18話 ソドム

「ククク・・・」
 邪淫皇は眼前の光景に、笑いを抑えることができなかった。
 その彼の視線の先には、淫靡なコスチュームに身を包んだ少女が4人、片膝をつき、服従の姿勢を見せている。

 やがて、漆黒の中に深紅を纏う少女が、口を開いた。
「・・・邪淫皇様、これまでの無礼、平にご容赦ください・・・これより我等メイデン・フォースは、邪界、邪淫皇様の奴隷として、この身と心の全てを捧げさ せて 頂きます・・・なんなりと、ご命令をお与えください」
 そう言うと朱美は再び、恭しく頭を垂れる。

 彼女達メイデン・フォースは言わば、『仇敵』と呼ぶに相応しい存在−
 しかしそれが今や、己の奴隷として全てを捧げる、と宣言したのだ。
 邪淫皇は、込み上げる笑いを、どうにか噛み殺しながら、
「・・・ククク、これまでの罪は全て許そう・・・皆、面を上げよ。そして我に貴様等の姿を見せてみよ」
 そう、鷹揚に構えてみせる。

 その命に朱美が、
「はっ」
 そう声を発すると、4人は立ち上がり、右腕を胸にあて最敬礼の姿勢を取ると、横一列に居並んだ。
 彼女達は皆、己のシンボル・カラーに縁取られた漆黒の衣装を、誇らしげに纏っている。
 しかし、メイデン・フォースのバトル・スーツに似せて作られたそれは、彼女達が性奴隷に堕したことを象徴的に示す、醜悪なものであった。
 
 剥き出しとなるばかりか強調する様にデザインされた胸の先−乳首には皆、金属製のリング・ピアスが貫かれ、仄暗い玉座の灯りを鈍く照り返してい る。
 そして、ミニよりも短い、フレア・スカートの裾から覗く股座には、申し訳程度の股当てが貼り付き、その脇からは、
 ヌチャリ
 女の淫らな滴が、内股をしとどに濡らしていた。
 更にレッドとブラックに至っては、醜い男性器をそそり立たせており、その亀頭から溢れ続ける雄汁が竿を伝って、淫靡なスカートの裾を濡らしている。

 邪水晶の調教により、妖魔の瘴気を浴びるだけで股を濡らす性奴隷と化した彼女達にとって、瘴気の塊とも言える邪淫皇は存在そのものが、『媚薬』に等し いのだ。
 見れば、それを裏打ちする様に彼女達の内股は、
 ブルブルッ
 歓喜を顕すが如く小刻みに震え、頬には林檎の如き紅が差している。

 邪淫皇は、その様子に、メイデン・フォースの4人が調教され尽くされているのを感じ取ると、
 『クククッ、邪水晶め・・・遂に、こ奴等を手の内へ入れおったわ・・・』
 邪悪な笑みを浮かべたまま、その『主』が侍る先へと、視線を滑らせた。

「ふふふ・・・」
 彼女達の主である淫魔は、妖艶な微笑を浮かべつつ、邪淫皇の視線を受けとめる。
 彼女が各将を抑え立つ場所−そこはつい最近まで、邪漢が列していた場所だ。
 しかしその様な場所に列していようとも今や、彼女を咎めるに及ばず、非難がましい視線を送る者さえその中には居ない。
 邪漢派が一掃され、名実共に邪界のNO.2となった彼女へ刃向かう者など、最早この邪界には存在しないのだった。

 チャリ
 だが、邪水晶はこれまでと同じく、首輪を填め乳房と秘所を晒す、卑しき性奴隷の装束のままでいる。
 邪漢を廃し、邪淫皇に次ぐ地位を得てもなお邪水晶は、玉座の間で邪淫皇に謁する時のみ、この装束を貫き通していた。
 彼女を恣にできる存在は、邪淫皇を置いて他にない−
 それは邪淫皇への絶対的な忠誠と、彼を除いて己に命を下すことのできる存在がないことを暗黙のうちに示している。

 それが打算によるものなのか、本心によるのものなのかは窺い知るところではない。
 しかし、
「ククク・・・」
 その潔いまでの『狡猾な』態度が邪淫皇には、愉快にさえ思える。
 
 邪淫皇は邪水晶の『意気』に応えるべく、正面から彼女の視線を受けとめながら、
「・・・邪水晶、よくぞここまで仕上げた・・・これで貴様が宣言したとおり、メイデン・フォースは我等のものとなったな」
 そう、労いの言葉を掛けた。

 だが邪水晶はその言葉に、
「・・・うふふ・・・」
 悦びとは別の妖しい笑みを浮かべると、
「・・・邪淫皇様、お褒めの言葉を頂くのは、些か早う御座います・・・お約束通り、貴奴等の『全て』を献上してはおりませぬが?」
 そう、瞳に自信に満ちた光を湛えながら、邪淫皇を挑発する。

 邪淫皇は、その挑発的な態度に思わず相好を崩すと、
「クククッ、そうであったな・・・」
 それだけ言い、目線で邪水晶に先を促した。 

 それに邪水晶は、 
「左様に御座います・・・貴奴等の全て・・・人間共の『矛』と『盾』、その全てを、献上致します・・・」
 そう言上すると、頭を垂れ、跪く。
 するとそのタイミングを見計らったかの如く、邪水晶の許へ、
「邪水晶様・・・」
 伝令役の淫魔−涼子が現れ、何やら耳打ちをした。

 邪水晶は一瞬、眉を顰めたが一転、面を上げる。
 そして、
「・・・邪淫皇様、時が満ちたようで御座います・・・ご出陣のご用意を」
 そう言上する彼女の顔には、これまで誰にも見せた事の無い、邪な笑みが浮かんでいたのだった。 



 数時間前−

 パカッ
 古田美紀(ふるたみき)は軽快な音を立て、官給品の携帯を開くと、
「マズッ!・・・もうこんな時間・・・」
 カチッ
 焦燥感に音色を変えた開閉音を残し、廊下へと駆け出す。
 『新人』としてメイデン・フォース本部に派遣された美紀には午後から、新任研修が課されているのだ。

 美紀は、
「はぁっ、やんなっちゃう・・・」
 走りながら、そう己に悪態をつく。
 午前中に、書庫の整理を命じられていた美紀はその作業に没頭してしまい、集合時間に30分も遅刻していた。
 上司から、
『切りの良いところで、お終いにしていいから』
 と、言われたのにも拘わらず、だ。

 ガラガラガラ
「きゃっ!・・・済みませんっ!」
 途中、大きなスチールのボックスを載せた台車にぶつかりそうになりながらも器用に、美紀はコンクリートの辻をスピードを殺しながら曲がりつつ、
「こんなんじゃ、スパイ失格だよね・・・」
 そう、肩を落とす。

 美紀は、防衛省から派遣された『スパイ』だ。
 しかし『スパイ』と言っても、全くもって実績があるわけではない。
 教育課程を修了し、情報本部に配属された彼女の初仕事が、このメイデン・フォース本部への『潜入』だった。
 尤も『潜入』と言っても、他の職員が集めた情報を取り纏め、情報本部に送るのが彼女の任務である。

 −龍蔵の指示は確実に伝達され、劣化して実現されていた。
 防衛省や、警察庁、その他各省庁から、メイデン・フォース本部へは確かに、数多くの『スパイ』が送り込まれている。
 しかし、既に多くの職員が送り込まれ、情報の入手ルートが確立されているメイデン・フォース本部はどの機関からも、『脅威度が低い』、と判断されてい た。
 人材が決して豊富とは言えない各機関からしてみればこのような場所に、エース級の人材を送り込むはずなどない。
 美紀の所属機関も例外なく、『新人』である美紀と、監督役の中堅職員を送り込むに止まっていた。
 彼女の『上司』にしてみれば、新人に経験を積ませるトレーニングの場、程度の認識でしかなかったのだろう。
 
 やがて美紀は、
「・・・あ、ここだ」
 『第5会議室』
 と書かれた、金属製の扉の前に辿り着いた。
 反射的に、腕時計の時間を見る。
「・・・32分遅れ・・・」
 会議室のわりにかなり奥まった場所にあったため、予想以上に時間がかかってしまった。

 美紀は懐からハンカチを取り出すと、疾走によるものだけではない汗を拭き、
「・・・ふぅ」
 呼吸を整える。
 これだけ遅刻してしまったのだ。
 どんな叱責が飛んできてもおかしくはない。

 美紀は、
 ゴクリ 
 と唾を飲むと、
 キィ 
 恐る恐る扉を開ける。
 その扉は、彼女の心境を反映する様に、重い。

 しかし、
「・・・あれ?」
 手に重みを感じながら漸く辿り着いた会議室の中は、美紀が想像したものとは異なり、薄暗くて窓もない、寒々しいただの空間であった。
 加えて『会議室』には場違いな、配膳車様の台車が、部屋の奥に並んでいる。
 それは、先程彼女がぶつかりそうになったものと同じものだった。

 一瞬、場所を間違えたのかと踵を返そうとするが、
「・・・古田、さん?」
「えっ!?」
 突如掛けられた声に、慌てて首を巡らせる。
 その視線の先には、スーツをビシリと着こなした女性の姿があった。

「・・・え、あ、はい、古田・・・です」
 誰も居ないと思いこんでいたため、若干泡を食いながらも辛うじて、美紀はそう答える。
 それにスーツの女性は、
「貴女、30分以上の遅刻よ。一体どうしたの?」
 やや眉根を吊り上げながらそう、美紀を詰問した。

 或る意味、予想通りの反応だが、
「済みません・・・書庫の整理に没頭してしまって・・・それで・・・遅れました・・・」
 美紀は、その小さな体を更に縮こまらせながら、謝罪する。
 しかし、
「あの・・・他の人はどうしたんですか?」
 込み上げる疑問を、抑えることはできなかった。
 確か自分の記憶では、他に数人受講者が居たはずだ。
 それに研修にしては、講師の姿もない。

 その美紀の問いにスーツの女は、
「・・・みんな、別の場所で研修を始めているわ・・・貴女も直ぐに合流なさい」
 そう言うと、懐から何かを取り出し、口許に当てる。

 その奇怪な行動に美紀は、
「あ・・・」
 詰問の言葉を吐こうとするがそれは、
 ブシュゥッ
 天井から聞こえてきた噴出音に遮られた。
 そして、言葉を紡ぐことなく美紀は、
『・・・あ、れ?』
 ただ、己の意識を暗転させる。
 ガタンッ
 カメラが倒れるかの如く、視界を直角に転回させた彼女が最後に見たのは、スーツ女の、黒いヒール先だった。



 シュゥゥ
 ファンによって部屋から催眠ガスが完全に除去されたのを、腕に填めた検知器で確かめた佳代は、
「・・・ふぅっ」
 防毒マスクを口から離し、一つ息をつく。

 固いヒールの先で、倒れた美紀の腹をつついてみるが、
 ゴロッ
 ただ力なく、仰向けに転がった。

 佳代は、無慈悲な表情で美紀を見下ろすと、
「・・・全く、余計な手間を掛けさせないでほしいわ」
 そう、一人ごちて再び、爪先で美紀を突く。

 そして、部屋の後方にある台車に歩み寄り、ハンドルに手を掛けると、
 ガラガラガラ
 それを押し、美紀の横まで持ってきた。
 更に、
 キィッ
 台車と一体化したボックスの扉を開ける。
 その大きさは丁度、人が一人入ることのできるものだった。
 ぽっかり開いた空間は、金属特有の光沢を放ち、地獄の釜の様にも見える。

 佳代は、その空間と、意識を失う美紀を見比べながら、
「『研修』へようこそ、古田美紀さん」
 そう言うと、美紀をボックスの中へと押し込んだ。



「う・・・」
 美紀は背と腿に感じる冷たい感覚に、目を覚ました。
 それと同時に、
「う、あ・・・」
 頭に殴られた様な鈍痛が走る。
 反射的に美紀は、頭に手をやろうとするがそれは、
 ギシッ
 不快な軋む音に阻まれた。

 その生々しい感覚に、美紀の意識は覚醒する。
 音と痛みの元に視線を遣ると、
「!!」
 彼女は全裸で、金属製の椅子に手足をベルトで固定されていた。 
 余りに現実味がない光景に、彼女の理性はそれを認められず、
「・・・何よ、コレ・・・」
 そう呟くと、その『現実』を否定する材料を探すかの如く、反射的に首を巡らせる。

 だが彼女の視線に入ってきたのは、
「あ゛っ、あ゛あ゛ーっっ!!」
 自分と同様に椅子へ括り付けられ、頭に奇っ怪なヘッドセットを被り、乳房や股間に妖しい器具を填められた女達の姿だった。

 彼女達は、
 ビクビクビクンッ
 時折肢体を震わせ、涎を垂らしながら、
「おほぉっ、ほぉっっ!」
 意味のなさぬ『喘ぎ』を絶叫する。
 それは一定周期ごとに繰り返されるコーラスの如く、その空間一面に響いていた。
 彼女達の姿は美紀に、
「・・・非道い・・・」
 『家畜』、を想起させる。
 更にその姿は、己の未来を映しているようにも感じられ、美紀の不安は増すばかりだった。

 その不安が極限まで達しようかという頃、
「・・・あら、お目覚め?」
 場違いなほど軽い声に美紀は、その主の方へ首を巡らせる。

「蘇我・・・部長?・・・それに・・・藤崎部長?」
 美紀の言葉どおり、彼女の視線の先には、白衣に身を包み、バインダーを持った、皐月と礼菜の姿があった。

 礼菜は、美紀の感情など構いもせずただ事務的に、
「気分はどうかしら・・・古田、さん?」
 健康診断の問診の如く、そう美紀に言葉を掛ける。

 その人を食った問い方に、怒りにも近い感情を得た美紀は答えることなく、
「・・・これは、どういう事なんですか?・・・早く、このベルトを外してくださいっ!」
 そう訴え、
 ギシッ、ギシッ
 腕を拘束するベルトを震わせた。

 しかし礼菜は、腕ではなく、美紀の股間に顔を遣りながら、
「・・・うふふ、その様子じゃ大丈夫ね・・・」
 そう言うと、
 クチャ
 美紀の秘裂を指先で割り広げる。

 美紀は突如の陵虐に、
「・・・んぁっ!・・・何をするんですかっ!」
 抗議の声を上げるが、礼菜は一顧だにせず、
「んふふ、それにここも綺麗なピンク色・・・食べちゃいたい位だわ・・・」
 そう言うと、美紀を挑発するかの如く、
 グチャッ、グチャッ
 膣口の周りを、乱雑に捏ね回した。

 その僚友の様子に、皐月は、
「礼菜・・・遊ぶのもいい加減になさい・・・『彼女』が来たわ」
 礼菜を窘める。

 礼菜は、それに、
 グチャッ・・・ヌルッ
 美紀の秘所から指を引き抜くと、
「・・・解ったわよ・・・んふっ」
 指先にまとわりついた美紀の愛液を味わいながら、不満そうな表情を浮かべた。

 美紀は、漸く終わった陵虐の時に、
「はぁ、はぁ・・・」
 安堵の息をつく。 
 
 だがその安息は、
「・・・『研修生』D-105、参りました」
 そう言って、皐月と礼菜に敬礼する、
「山本さんっ!?」
 山本みずほ2尉−美紀の相棒によって、終わりを告げた。

 驚く美紀を尻目に皐月は、
「遅かったわね・・・貴女の相棒がお待ちかねよ・・・早く、『研修服』に着替えなさい」
 みずほにそう、命じる。

 みずほは、その命に、
「申し訳ありません・・・直ちに着替えます」
 再び敬礼し、迷い無く、その場で『制服』を脱ぎ始めた。

 そして、
 ファサリ
 衣擦れの音とともに彼女の服の下から現れたのは、群青の、競泳水着によく似た『研修服』−だが、その胸と局部は大きく切り取られ、女が秘めるべき場所を 余すことなく晒して いる−であった。
 しかし、みずほは、
「D-105、『研修準備』完了しました」
 そう、皐月に申告し再び敬礼すると、羞恥心を微塵も見せることなく直立する。

 皐月は、そんなみずほに、
「ふふっ、それでいいわ・・・D-105、良いニュースよ・・・お前は『研修結果』が良好なうえに、素体としても優秀・・・『ドールズ』への改造を決定し たわ」
 どこか嘲笑ともとれる微笑を浮かべそう宣告したが、当のみずほは、その皐月の言葉に、
「・・・っ!・・・本当ですか!?・・・光栄です!!」
 目尻を潤ませ、余りある栄誉に咽ぶのだった。

 邪界の肉奴隷として完全に洗脳・調教され、価値観を歪められたみずほにとって『ドールズ』に改造されることは、妖魔の道具となる、最高の栄誉−美紀より 先に潜入 したみずほは、『研修』によって洗脳され、邪水晶達の忠実な僕となっていたのだ。
 『初任研修』でスパイであることを自白したみずほには、徹底した洗脳が施され、情報が全て引き出されるとともに、今度は『逆スパイ』として『仲間』を燻 り 出す道具として使役されている。
 美紀の『潜入』も邪界側には筒抜けであり、彼女の行動は全て、監視下に置かれていたのだった。

 そんな事情など露とも知らぬ当の美紀は、
「・・・山、本・・・さん?」
 『同僚』の変容に怯えながらも、そう声を掛ける。

 だが美紀の問いには応えることはなく、皐月が、
「改造決定のお祝いよ・・・今日はお前に『教官』役をさせてあげる・・・ふふっ、しっかりその娘を『教育』するのよ」
 そう命じると、
「有り難う御座いますっ!・・・古田さん、しっかり『学習』してね」
 喜々として、
 ガチャッ
 妖しげな器具を持ち、美紀の許へ歩み寄ってきた。
 みずほが持つ『器具』は、
「おほぉっ、ほぉっっ!」
 嬌声を上げる女達に填められたものと、全く同じものだ。

 美紀は、己の近しい未来を何よりも雄弁に語る道具の、視覚的恐怖に怯え、
「いやぁ、やめてぇ・・・近寄らないでっ!」
 そう拒絶の言葉を吐いては、
 ギシッ、ギシッ
 力の限りその身を震わせる。

 皐月は美紀の反応に、悪戯を思いついた女児の様な表情を浮かべるとみずほに、
「・・・そうね、遅刻した罰に、貴女は思いっきり淫乱度を上げてあげる・・・ふふっ、出来上がりが楽しみねぇ、間抜けな『スパイ』さん・・・それじゃ、D-105・・・この女 に『研修器具』を付けなさい・・・」
 そう命じると彼女は、
「はい、わかりました・・・」
 躊躇うことなく、
 パチン
 ヘッド・セットのベルトを、美紀の頭に填めた。

 視界が塞がれたことで、
「い、嫌っ・・・お願い、外してぇっ!」
 美紀の恐怖心は一層高まり、半狂乱となって抵抗する。

 しかし、みずほは、
 ギュッ
 美紀の頭をヘッド・セットごと、露出した胸に抱きとめると、
「んふ、大丈夫よ、古田さん・・・直ぐに、気持ち良いことしか考えられなくなるわ・・・全てを私に委ねなさい」 
 そう言って、美紀の後頭部を撫でる。

 だが、固く痼った乳首の感触と、母性の徴の甘い香りが却って、
「・・・い、嫌ぁっ・・・お願い、離してぇっ!!」
 美紀の恐怖心を、更に煽り立てた。

 その美紀の反応にみずほは、
「仕方ないわね・・・んふ、やっぱり、体で解ってもらうのが一番みたいね・・・」
 そう言うと、ラバー様の、ジェルが内側に塗られたパッドを、美紀の胸に当てる。
 すると、
 ピチャッ・・・キュウゥゥッ
 パッドは美紀の肌に密着し、締め上げる様に、収縮した。
 それにみずほは、ファイバー製の『針』を、
 ズブリ
 と、突き刺す。

 正体の分からぬ痛みに美紀は、
「ぎひぃっ!?」
 短い悲鳴を上げ悶絶するがみずほは構わず、
 パチンッ、パチンッ
 ただ機械的に、チューブやコード類を器具の先に付けていった。

 そして最後には、
 トプンッ・・・ヌゥルゥッ
 培養液に浸された肉蛞蝓を透明な瓶から取り出し、
 ビチャッ
 己の下腹部にそれを落とす。

 だがその顔には、
「んふ・・・」
 期待に満ちた、『雌』の表情が浮かんでいた。
 果たして、肉蛞蝓は、
 ズッ、ズルルッ
 みずほの待ち望む先へ這い出すと、
 ズヌッ・・・ズヌヌヌッ
 その頭を、新たなる宿主の中へ進んでゆく。

 ビュクッ、ビュクッ
 肉蛞蝓は、催淫液を吐きだし、
「おほぉっ!」
 みずほを発情させながらやがて、
 ビュルルッ・・・ミチィッ
 胴から触手を放ち、みずほの腰に固定させる。

 そして、
 ズクンッ
「あひぃっ!?」
 みずほの子宮口に頭を潜り込ませ、侵入を止めると、
 ビクンッ、ビクンッ
 『男性器』として屹立した。

 明日香が産む肉蛞蝓は寄生することによって、一時的に人を支配下に置くことはできるが、継続的に支配できるかは個人の『適性』−『宿主』になれるか否か による。
 それに、無理に寄生させただけではやがて、肉蛞蝓の吐き出す催淫液で快楽中毒となり、『人材』として使えなくなってしまうため、『組織の支配手段』とす るには使い勝手が悪いのだ。
 よって、肉蛞蝓の『適性』がない人間には、簡易な『研修』を施して邪界への忠誠を優先的に刷り込み、更に『研修』を重ねることで、奴隷化を進める、とい う戦術を取っている。
 しかし、快楽を覚え込ませる『器材』として肉蛞蝓は極めて『優秀』であるため、『教育』の場では十二分に活用されていた。

 みずほは、
「ふぅーっ、ふぅーっ・・・」
 呼吸を整え、辛うじて理性を回復させると、お預けを食った犬の如き表情で、皐月と礼菜の様子を覗う。

 それに皐月は軽く頷くと、正に『雌犬』の風体でみずほは、
「・・・んっ、んふぅっっ!」
 ズッ、ズッブウッ
 美紀の中へ、己の『分身』を突き入れた。

「ああっ!」
 ブウンッ
 みずほの挿入と同時に、ヘッド・セット内に、情報を圧縮した特殊映像が流れ出す。
 そしてそれとともに、
 ビクンッ、ビクンッ
 胸のパッドが低周波治療機の様に伸縮し、更に、
 乳首に突き刺さった『針』からは、
 ドプッ、ドプッ
 毒々しい紫色の粘液が、大量に注入され始めた。

 『研修』の第1段階では、『忠誠心の刷り込み』と『自白』が強制的に行われる。
 まずは『忠誠』の対価として得られる『肉の悦び』が徹底して教え込みそして、心が緩んだところで『自白』をさせるのだ。
 『初任研修』は『外部』に疑念を持たれぬよう、就業時間の半分−4時間・1コマ−を基本として行われるため、1回の『研修』で完全な奴隷に洗脳すること はできない。
 だが、『外部』に情報が漏洩することを防ぐ『枷』を与え、簡単な情報を引き出す程度の洗脳は十分に行うことができる。

 グジュッ、グジュッ、グジュッ
 盛りのついた犬の如く、腰を振り、
「んあっ、イイっ!・・・妖魔チンポ、すごぉいっ!」
 肉の味に耽溺するみずほと、
「おほぉっ、ほぉっっ!」
 いつしか、他の『研修生』と同じ声を上げるだけになった美紀の姿に皐月は、
「・・・それじゃ、後は任せたわ」
「わかったわ」
 礼菜に後を任せると、次の『研修室』へと向かうのだった。



 ウィーン
 鋼製の自動ドアが開くと、
「んふっ、もっと腰を振りなさいっ!」
 みずほと同じ、『群青』のコスチュームを纏った女が矢張り同じ肉蛞蝓を寄生させ、『深紅』の女を犯している光景が、皐月の視界に飛び込んできた。

 『群青』には、奴隷としての『教育』に加え、『支配する悦び』を教え込むために、『深紅』を犯し抜く『教育』が施される。
 そうすることによって、より『完全な』奴隷として洗脳された者のうち、素体としても優秀な『群青』には、『ドールズ』に改造される栄誉が与えられるの だ。
 『群青』の彼女達はその栄に浴するため、懸命に『深紅』を犯し、邪界への忠誠心をアピールする。
 その過程で、人間としてのモラルを失ってゆくのにも関わらず、だ。

 彼女達の他にも、ヘッド・セットを被り、木馬様の器具を揺らしては、
「お゛ー、お゛お゛っーー」
 グチャッ、ヌチャッ
 嬌声を上げ続ける、『深紅』の女達も居た。

 みずほの様に、邪界の奴隷となる洗脳が完了し更に、『ドールズ』となれる可能性を有した者は『群青』のコスチュームを、『初任研修』を『修了』し、邪界 や妖魔に 対する抵抗心を失って、快楽の虜となった者は『深紅』のコス チュームを纏っている。
 彼女達が纏う淫猥なコスチューム−『研修』に必要な器具を取り付けたり、自ら愉しむべき箇所から『邪魔な』布を切り取ったもの−が、『研修 服』なのだ。

 部屋の片隅では、『初任研修』を『修了』した『研修生』が2人、『深紅』のコスチュームに脚を通そうとしている。
 隷従の証である『研修服』ではあるが、当人達の顔には喜色のみが浮かんでいた。
 『着衣』を待つその背後でも、『深紅』となるべく連れられてきた女が、同様の表情を浮かべている。
 彼女達にとって『研修服』を纏うことは、より深い悦楽を得る手段を得ることに等しい。
 
 そうして、
 グチュリ
 歓喜の淫液に濡れた奴隷がまた一人また一人と、誕生してゆく。

 −結果として、龍蔵の指示は、メイデン・フォース本部を崩壊させる推進剤として作用している。
 邪水晶達が『ルーチン的』に『本部職員』の洗脳を進めていたところへ、複数の機関が『スパイ』を送り込んだ結果、捕獲・洗脳された『本部職員』から、神 凪本家が本部の『監察』に動いたことが露見したのだ。

 このため邪水晶は、『本部職員の完全掌握』よりも、『本部掌握』に傾斜した洗脳・教育システムを構築することにし、この『研修』システムを整えた。
 洗脳度合いに応じた『研修プログラム』を施すことにより、『敵対勢力』としては8割方、『無力化』することに成功している。
 本部の職員全てが、邪界の奴隷となる日はそう遠いことではない−

「ふふ・・・」
 皐月は、成果が着実に得られていることに、満足そうな笑みを浮かべると、この部屋を管理させている部下に任せ再び、礼菜達の許へ戻るのだった。
 


「この間抜けっ!・・・なんてヘマをしてくれたのっ!!」
 『初任研修室』に戻った皐月を迎えたのは、みずほの怒声であった。

 みずほは、
「・・・このっ!」
 ドガッ
 『研修席』に括り付けられた美紀の腹を蹴り、
「このクズがぁっ!」
 肩を掴んで尚も、罵声を浴びせ続けるが、
「うー、あー・・・」
 自白剤を大量投与され、痛覚すら無くしてしまった彼女の口から漏れるのは、意味をなさぬ呻き声だけだ。

 彼女達『スパイ』は、安否確認を常に行うため、官給品の携帯から『信号』を2時間に1回、本省へ発信する必要がある。
 ただ、今回の『研修』の様に長時間、送信できない可能性がある時は事前に、用務のコードと送信できない時間を本省へ送信しておくのだ。
 後者のシステムは、安定的な『教育』を可能にするため、みずほが本省に進言してできたものである。
 ところが美紀は、『スパイ』としては当然過ぎるこの手続きをあろうことか、怠ってしまったのだ。
 『初任研修』の第2段階である『自白』で、『簡単な質問』の一つとして確認する積もりだけであったものが、予想だにしなかった『自白』の内容に、みずほ は動揺を隠せな いでいる。

 −『研修』が始まって約3時間。
 発信がないと5分後に再確認のメールが来ることになっているが、それも最早手遅れだ。
 それを裏付けるように、みずほ達『スパイ』の許に、『S1ロスト。ALS』(スパイ1名行方不明。警戒態勢Sを意味する)と、ショート・メールが来てい る。
 教本どおりのメールが来ていることから考えても今頃本省は、『所定の手続き』に基づき、何らかの手筈を講じているに違いないだろう。

 皐月は、
「う、あ・・・」
 自白剤の度重なる注射で腕が腫れ上がり、口の端から吐瀉物すら零し始めた美紀へ、
「このっ!・・・」
 更なる痛撃を与えようとするみずほの肩に手を置くと、
「もういいわ。それ以上やっても、何も有益な情報は出てこないでしょう?・・・それよりも、連中は直ぐに手を打ってくるの?」
 そう問い質した。

 みずほは、なおも紅潮する顔を皐月に向けながら、
「申し訳ありません・・・無能な連中のこと、今頃情報の再確認と、対策の決定に手間取っているはずです・・・しかし、長く見積もっても1時間半・・・恐ら く1時間以内には何らかのアクションがあると思われます」
 そう応えると、
「ふぅ・・・」
 次の言の葉を紡ぐため、息を深く吸った。
 
 メイデン・フォース本部に潜入したスパイは、優秀な人材から洗脳を進めている。
 本省から、ショート・メールによる情報提供以外に何も連絡がないことから考えると、愚直なまでに『所定の手続き』どおり、本省の偵察要員を複数、こちら へ寄越 す筈だ。
 それに加えて、『一般職員』への接触を図り、内部から騒動が生じる可能性もある。
 防諜に対して万全の備えをしているとは言え、この美紀のケースの様に、『万が一』が生じない可能性は否定できない。

 みずほの推論を顎に手を当て、思案顔で聞いていた皐月は、
「・・・そう、わかったわ・・・不本意だけど、『コード01』を遂行しなくてはならないわね・・・まずは、邪水晶様に報告しなくては・・・」
 そう、一人ごちると、礼菜と2,3言葉を交わす。
 礼菜はその言葉に頷くと、部下の許へ歩み去っていった。

 皐月はその後ろ姿を見送りながら再び思案顔になると、
「・・・」
 自身の判断を反芻する。

 『外部に漏れないよう、内部支配を進める』のと、『内部から漏れないよう、内部支配を進める』のでは勝手が違う。
 だが、組織を支配するためのシステムを張り巡らした今となっては、後者の難易度が低いことは明らかだ。
 更に情報保持にかかるリスクの確実な判定ができない以上、目的達成の可能性が高い手段を選択すべきである。

 皐月は、
「・・・お前も、準備なさい・・・『時』が来たわ・・・」
 自分に言い聞かせるように、みずほへそう命じると、自身も『研修室』から歩み去るのだった。



 『緊急の幹部会なんて、どういうことなのかしら・・・』
 総務部長である青木文香(あおきふみか)は、訝しげな表情を浮かべながらも、明日香に一礼し、席に着く。
 周囲を見渡すと、既に着席している、調査部長の石川律子(いしかわりつこ)と装備部長の本郷聡美(ほんごうさとみ)も、どこか不安げな表情を浮かべてい た。
 それも無理はない。
 この様な事態は、初めてのことなのだ。

 着席した文香は、眼鏡を人差し指で上げながら微かに首を巡らせ、明日香の様子を探る。
 しかし、俯き加減に秘書の佳代から何か報告を受けている明日香の表情は、覗い知ることはできなかった。
 だがその美しい黒髪から覗く項は僅かに、紅がさしているように感じられる。

 『それにしても−』と、微かな疑念を含みながら文香は、冷たいガラス越しの『観察』を続けた。
 タイトな服装を好んでいた明日香は近頃、ゆったりとした服装をすることが多くなっている。
 そして何よりも、彼女が醸し出す雰囲気に、大きな変化−もっと端的な言い方をすれば、『女の臭い』を、文香は感じ取っていた。

 『でも−』
 文香はそう思い直し、己自身に苦笑する。
 警察庁の公安畑を歩んできた文香にとって人物観察は半ば、『癖』の様なものだ。

 明日香は『社長』と雖もまだ自分と同じ、30代半ば。
 『妙齢』、ではないかもしれないが、『女盛り』の年代だ。
 何かしら私生活で変化があったとしても可笑しくはない。
 妖魔の侵攻も激減し、限りなく『平時』に近い今、『女』の権利を行使することに何の咎があろうか−
 文香は己の『悪癖』に再び苦笑すると、流麗な所作で、配布資料に目を落とした。



 暫くして、琴美の『代理』である奥村が、
 ギシッ
 不機嫌そうな顔で着席すると、全ての部長が揃う。

 その刹那、
「・・・んっ」
 誰かが呻く様な声がした。
 そして同時に、
 ビチャッ、ビチャッ
 微かにではあるが湿った何かが複数、床に落ちる様な音がする。

 その音に思わず文香は、
「?」
 周囲を見渡した。

 しかし文香以外でその音に気付いたのは、
「・・・」
 彼女同様、周囲を覗う様子を見せる、奥村だけであった。
 他の面々は、書類から顔を上げることもない。
 文香は僅かな間だけ視線を巡らせ続けたが、変化を生じない風景に自らを溶け込ませるかの如く、再び書類に目を落とした。

 やがて、
「・・・皆さんに、重大なお知らせがあります・・・本日はそのために集まって頂きました」
 重い沈黙を破るように、明日香がそう切り出す。

 その一言に、
「・・・」
 一同は皆、息を飲んだ。
 当然、この瞬間を待っていたわけではあるが、その段となれば嫌がおうにも緊張は増す。

 そんな皆の反応に、明日香は穏やかな笑みを浮かべながら、
「・・・本日只今より、我等メイデン・フォース本部は・・・邪界の僕−走狗として、隷属いたします」
 その表情とは相反する、驚愕の宣言を放った。

 それに、
「「「・・・え?」」」
 複数の、空気が抜けた様な声のみが返ってくる。
 しかし、余りに現実感のない発言であったためか、その後の言葉は続かない。
 緊張感の中に、予想外の静寂が訪れる。
 
 だが、
 ダンッ
 言葉を成すより体が先に動いた奥村が、その緊張を破った。
「・・・こんなくだらない冗談を言うためにわざわざ、我々を集めたっていうのか!・・・社長、どういう積もりなんだっ!!」
 奥村はそう怒鳴ると、
 ダンッ
 今度は怒りをぶつける音が、会議室に響く。

 しかし明日香は、
「いいえ、冗談ではありませんよ、奥村『代理』」
 奥村を挑発するかの如くそう、『代理』を強調し、静かな笑みを返すのみだ。

 それに奥村は、
「・・・!」
 怒気の籠もった険しい表情で、明日香を睨み返す。
 だが、彼女の表情や雰囲気からはその言葉通り、冗談を言っているようには見えない。

 奥村の怒気を、正面から受け流しながら明日香は、
「・・・ふふっ、奥村さん、何を怒ってらっしゃるの?・・・人間など所詮、妖魔の家畜・・・その本来の姿に戻るだけではなくて?」
 俄に信じられぬ言葉を吐いた。
 その明日香の表情には相変わらず、揺らぎらしいものすら浮かばない。

 そして、再び、
 ビチャッ
 湿った音が、奥村の耳に入った。
 
 奥村は音の在処に反応するよりも、
「・・・っ!」
 感情が勝り、明日香の言葉に対して再び、怒りの拳を振り上げようとする。

 しかし、
「きゃぁっ!・・・嫌ぁっ、何これぇっ!?」
 その拳は、甲高い悲鳴によって遮られた。

「!!」 
 今度は軍人特有の反射が勝り奥村は、声の主へと視線を流す。
 見れば、調査部長の律子が、
「・・・やだっ、入ってこないでぇっ!」
 そう叫びながら机の下で、『何か』と『格闘』している。

 やがてその『格闘』は、
「は、入ってるぅ・・・んふぅ・・・」 
 その言葉とともに終結し、律子はどこか陶酔した表情を浮かべ始めた。

「・・・」
 その顛末を呆然と眺めていた文香の脳裏に、
 『逃げろ』
 と、本能が警告する。
 だがその刹那、
 ビチャッ
 右の足首辺りに、湿った感触が走った。

 文香は、
「え・・・?」
 思わず机の下を覗き見る。
 すると、
 ビチャ、ニチャァ・・・ズルルルッ
 肉色の蛞蝓の様なものが、
 ジュワァァ
 黒いストッキングを溶かしながら、自分の脚を『駆け上って』来るのが見えた。

 余りに現実感のない光景に、
「・・・っ!?」
 声を出す事も適わず、文香は硬直してしまう。
 しかしその反応は、彼女に致命的な結果をもたらす事になる。

 ズルルッルゥ・・・
 文香の腿の付け根までやって来た肉蛞蝓は、
 ジュワァ
 ストッキングの付け根を溶かすと、
 ヌルッ・・・ズルルゥルゥウ
 その姿からは想像できぬ俊敏な動きで、黒い下着と白い肌の隙間へ潜りこんでいった。

 そこで漸く文香は、
「・・・い、嫌っ!・・・」
 術を解かれた様に、手を肉蛞蝓へと伸ばす。
 だが、
 ズルッ
 粘液で滑るそれを掴むことはできず、
 ズッ・・・ズヌヌヌッ
 肉蛞蝓は彼女の最も大切な部分へ進んでゆく。

 肉蛞蝓は、
 ブビュルッ
 侵入を容易くするためか、文香の膣内で体液を吐き出しては、
 ズルズルッ
 単純作業とも言える動きで、彼女の肉体を侵していった。

 文香はその生理的嫌悪感と、文字通り肉体を『侵される』恐怖に、
「ひぃぃっ!?」
 半ばパニックを起こしながらも、どうにか『防衛本能』が働き、僅かに覗いていた肉蛞蝓の『尻尾』を掴むべく、
 グチュッ
 愛液と肉蛞蝓の粘液で濡れそぼる秘所に、手を遣る。

 しかし、彼女の最後の希望は、
 ズルンッ
 どこか間抜けな手応えを残し、消え去ってしまった。
 更に、それを切欠にしたかの如く、
 ビクンッ
「・・・い、ひゃぁぁっ、何これへぇえっ!?」
 文香の肉体に劇的な変化が訪れる。
 
 肉蛞蝓の吐き出す『粘液』は、寄生する対象の抵抗を弱め更には、侵入を容易にするために、強力な媚薬成分が含まれる。
 邪水晶達の『改良』により、一層その即効性を増したそれに、人の身が敵うはずなどなかった。

 加えて、
 ズルッ
 止めを刺す様にもう1匹の肉蛞蝓が、文香の『中』へ侵入する。
 グプッ・・・ズヌルルッ
 既に子宮にまで潜り込んだ1匹と協調するかの如くそれは、
 グプッ、グプッ、グプッ
 膣肉を扱き、
「・・・ひぃあああぁぁっ!」
 文香の理性を刮ぎ取っていった。

 忽ちの内に、
「あっ、ああっ、はぁぁっっ!」
「・・・イイっ!もっと、もっとぉぉっ!」
 グチュッ、グチュゥッ
 会議室の中は女達の喘ぎ声と、肉の湿った音に支配される。

 その中で只一人、奥村だけは、
「クソッ、一体何が・・・」
 悪態をつきながらも、ベルトに収めていたコンバット・ナイフを手に、警戒態勢を取っていた。

 そんな奥村の前に、
「・・・うふふっ、流石は奥村『隊長』ですね・・・」
 そう言いながら、明日香が歩み出る。

 奥村は、眼前に現れた明日香の姿に、
「・・・社長・・・!!」
 明確な『戦闘態勢』を取った。

 ボゴッ、ボゴッ
 妊婦の如く膨らんだ腹が萎み、
 ビチャッ、ビチャッ
 汚らしい肉の化け物が床に落ちる音がする度に、
「・・・んっ、ふぅっ・・・ああんっ・・・」
 明日香は至福の笑みを浮かべ、『出産』の悦楽に耽る。
 そして彼女が『産んだ』肉蛞蝓が会議机の下へ這ってゆくと、
「きゃ・・・ひぃぃんっ!!」
 女達から、一層高い嬌声が上がるのだ。
 
 奥村はその凄惨な光景に、
「この、化け、物め・・・」
 絞り出す様にそう、呻くと、ナイフを構えたまま、明日香から視線を逸らさず、2,3歩と後方へ退く。
 歴戦の士である彼には、眼前の『上司だったもの』が『敵』であることは、本能的にも感じ取ることができた。
 だがそれと同時に、『敵』の実力は、こんな『鈍ら刀』では到底太刀打ちできないことも、直感的に感じている。
 本部内では安全上の理由から、警備要員以外は装弾した銃を持つことができないのだが、今はそのルールが恨めしい。

 明日香は、股下から、
 ビチャッ、ビチャッ
 汚らしい生物と粘液を撒き散らし、不気味な笑みを浮かべながら、
「あら、『化け物』なんて、上司に向かって失礼ではありませんか、奥村さん・・・うふふっ・・・」
 そう、奥村へとにじり寄る。

「くっ・・・」
 圧倒的に不利な状況を、若干にでも改善するためには、この場からの逃走しかない。
 奥村は後退を続け、漸くドア近くまで辿り着いた。
「・・・!」
 そして、意を決しドアノブを掴もうとした瞬間、
 ドンッ
 ドアを蹴破り、何者かが侵入してくる。

 奥村は、
「・・・ぐっ!」
 脇腹に、衝撃とドアの破片を受けながらもどうにか、室内へ飛び退いた。
 痛みに顔を歪めながらも戦士の矜持か、ナイフを構える。

 ジャリッ
 砕けたドアの破片を踏みしめ、未だ宙を舞う防音材の中から姿を現したのは、
「・・・おっ、奥村の旦那、流石だねぇ」
「伊集、院・・・」
 桜子であった。

 桜子は、対妖魔戦の時と同じく、漆黒のボディー・スーツを纏いつつもその闘気の対象は、
「うふふ・・・」
 明確な『敵』である明日香ではなく、奥村へ向いている。

 奥村は、そんな桜子に、
「・・・伊集院、お前も・・・化け物、なのか?」
 無駄だとは解りつつもそう、問い掛けた。

 果たして、桜子は、
「ああ、そうさ、化け物さね・・・」
 そう答えると、拳を構え、ファイティング・ポーズを取る。

 その桜子の様子に奥村は全てを悟り、
 チャッ
 ナイフを握り締め直した。
 最早、脱出の可能性はゼロに等しいがこのまま座していても、その可能性すらなくなる。
  
 奥村は、絶望的ながらも全ての希望を託し、
「・・・どりゃぁぁっっ!」
 雄叫びをあげながら桜子へ突進した。

 桜子は、一瞬、
 ニヤリ
 と笑うと、
 ヒュンッ
 その巨体に似合わぬ俊敏さで、奥村に猛進する。

 勝負は、
 ガンッ
 鈍い音が一つ響く間で決した。
「ぐわぁっ・・・」
 桜子の膝蹴りで肋骨を折られた奥村が、無様に床へ転がる。

 桜子は、そんな奥村に馬乗りになりながら、
「ふふっ・・・久しぶりに昂ぶらせてもらったよ・・・有り難う、奥村の旦那」
 そう言って、徐に、
 チュッ・・・ヌロォッ
 奥村にキスをし、唾液を流し込むと、戦闘のものとも性のものともつかぬ、興奮で紅潮した顔を離す。

 奥村は、血に混ざり合う口内の粘液を吐き出そうと、
「・・・ごぼっ、ごほぉっ」
 激しく咳き込むが、
 ゴクッ
 その一部は反射的に、嚥下されてしまった。

 奥村は、胸に激痛を感じながらも、
「・・・伊集院・・・離せっ・・・」
 そう言って、体を振ろうとするが、
 ギリッ
 まるで万力で締められた様に、体が動くことはない。
 その『常人』ではあり得ぬ力の発露に奥村は、桜子が『化け物』であることを実感した。

 桜子は奥村を押さえ付けながら、
「まあ、そんなに嫌がることないじゃないか・・・ほら、ココは嫌がってないぜ」
 サワッ
 彼の股間をまさぐる。
 その嫌悪感を呼び起こし、『男』であることを侮辱する仕儀に奥村は、
 『どこがだ』
 そう言おうとしたが、
「ひ、あ・・・」
 麻酔を掛けられたかの如く、頬の筋肉が動かない。
 それに反比例する様に、
 ビクンッ、ビクンッ
 下半身の1点が、異様な熱を帯びる。

 桜子は、奥村のズボンをずり下ろすと、
 ビンッ
 塔の如くせり立った肉棒を、うっとりとした表情で眺めた。
 そして、
「はぁっ、雄の・・・獣の臭いがする・・・はむっ・・・んふっ」
 我慢できぬ、とばかりに、雄の象徴へむしゃぶりつく。

 レロッ、ヌロォン
 亀頭をほじり、裏筋を舐め、唇で棹を愛撫する。
 熟練の娼婦でさえ遙かに及ばぬ口淫に奥村は堪らず、
「・・・ん゛っ、ん゛ん゛っっ!」
 ビュクッ、ビュクッ
 桜子の口内へ盛大に射精した。

 桜子は、
「んくっ、んくっ」
 それを美味そうに、嚥下すると、
「・・・ぷはぁっ」
 口の端から雄汁を垂らしつつ、奥村のモノから口を離す。

 ビュルッ、ビュルッ
 未だ射精を止めることができない奥村の肉棒を見下ろしながら桜子は、
「奥村の旦那、中々美味かったよ・・・人間でなくなってしまうのが勿体ない位にね・・・」
 そう言うと、
 ニチャァ
 秘肉を両手で開くようにして、奥村の上へゆっくり腰を下してゆく。

 桜子を包むボディー・スーツは、
 ピィィィ
 秘肉の周囲だけ、彼女の意志に従うかの如く、裂けていった。
 そこから覗く、サーモン・ピンクの肉孔は、
 パクッ、パクッ
 奥村には獲物を狙い顎を開く『口』にしか見えない。

 奥村は、桜子の言葉と、本能的な恐れに、
「ん゛っ、ん゛ーっ!」
 懸命に逃れようとするが、
 グニッ
 捕食動物の如く、彼の亀頭を咥え込んだ桜子は、
「無駄だよ」
 そう言うやいなや、
 ズッ、ズンッ
 腰を一気に落とし、自分自身を貫かさせた。

 桜子は、
「おっ、ほぉっ!」
 子宮口まで一気に抉る奥村の逞しさを、涎を垂らし、白痴の様な表情で堪能する。
 数瞬の間、
 ビクンッ、ビクンッ
 体を震わせるのみの桜子であったが、
「んんっ・・・はぁぁっ・・・凄いよ、奥村の旦那・・・」
 そう言うと、淫蕩な笑みを奥村に向けた。

 股間からは、
 グッ、グッ
 締め付け、肉棒を扱く、極上の快楽が感じられるが、
「・・・!!」
 それを上回る恐怖に奥村は、頬を引きつらせる。

 そんな奥村に桜子は、
「んふふ、そんなに怖がりなさんな・・・旦那も、私と同じ『化け物』になるんだからさ・・・んっ、んんっ」
 そう言うと、下腹部に力を込め、息み始めた。
 それとともに、
 ググッ・・・ツプッ
 桜子の子宮内に生じた、繊毛様の触手が奥村の尿道へ突き刺さる。

 そして桜子は、
「じゃあな、『奥村の旦那』」
 そう言うと、触手を一気に、
 ズッ、ズブブッ!
 尿道の奥へと侵入させ始めた。
 更に、
 プリッ・・・ドプッ、ドプッ
 ゼラチン状の『卵』と粘液を、奥村の体内へ吐き出してゆく。

 それに奥村の肉体は、
「ぐっ、ぎっ!?」
 明らかな異物感を得るまでもなく、
 ボゴッ
「ぶぎっ!?」
 激烈な変化を迎えた。

 『雄制圧用』の『ドールズ』として再改造された桜子には、人間の男性を『魔獣』に『孵化』させる『卵』と、その反応を促進させるための『促進剤』を生成 する機能が付与されている。
 桜子が魔薬を、 
 ドプッ、ドプッ
 奥村の中へ送り込む度、
 ボゴンッ、ボゴンッ
 彼の肉体は波打ち、歪に変形してゆく。

 桜子は、『同僚』の変容に、
「あははっ、どうだい?アンタが忌み嫌う『化け物』になる感覚は?・・・せめて、『今際の際』は気持ち良くさせてやるよっ!」
 そう、半ば嘲りの混じった言葉を浴びせると、
 グヌッ、グヌッ、グヌッ
 腰を振り、奥村の中をより一層、『侵して』ゆく。

 その効果は、
「ぎっ、ひぎっ!?」
 ボゴボゴボゴォッ!!
 『奥村兵衛』という人間の『終わり』をもって実証されていった。

 ビキビキビキッ
 元々『筋肉質』だった肉体は『筋肉の塊』へ、
 ビリッ・・・ギリギリギリッ
 無骨な顔は、獰猛な『猟犬』へと変じてゆく。

 ボゴンッ・・・シュゥゥ
 やがて、完全なる『魔犬』と化した『奥村だったモノ』は、
「・・・グッ・・・ワオォォッンッ!」
 産声の如く、雄叫びをあげた。

「んふ・・・」
 ズルルルッ・・・ヌ、ヌプンッ
 『魔犬』の肉棒から触手を引き抜き、魔の孵卵器から解放した桜子は、
「グルルルルッ・・・」
 漆黒の毛を持ち、狼の様な獰猛さを見せる『魔犬』を撫でながら、
「・・・ふふっ、これからは私がお前を飼ってあげるよ・・・いい子にしていたら、ご褒美をあげるからね」
 そう言って、
 クチュリ
 見せつけるように、己の秘所をくつろげる。

 それに『魔犬』は、
「フゥゥウッ!」
 ビキッ、ビキッ
 ペニスを子供の腕ほどに怒張させ、応える。
 もう『彼』の中に『ヒト』は存在せず、『魔獣』としての本能があるだけだ。

 桜子はその様子に、
「ふふっ・・・」
 思わず笑みを零しながら、
「・・・こっちは終わったよ・・・『雌』の始末はどうだい?」
 そう、明日香に尋ねる。

 それに明日香が、
「・・・ええ、こちらも上々よ・・・ねぇ、皆さん?」
 そう答えると、
 ユラリ
 と女達が立ち上がり、夢遊病者の様な足取りで、明日香の方へ歩み寄ってきた。

 その女達の股間には、
 グチュ
 寄生した肉蛞蝓が、
 ビキィッ
 痛い程に屹立している。
 更には、子宮の奥深くまで潜り込んだもう一匹が、
 ボゴッ
 下腹を膨らませ、時折、
 グヌッ、ズヌッ
 蠢いては、
「・・・んっ、はぁあっ!」
 女達を嬲り抜くのだった。

 しかし、肉蛞蝓によって肉体を支配された彼女達は、
「・・・んっ、ふぅっ!」
 魔悦に侵されながらも、膝を折ることすらできずに、
 ガクッ、ガクッ
 不出来な仕掛け人形の如く無様に、肢体を揺らすばかりである。

 全ての『子』を『出産』し、『通常』の『胎』となった明日香は、
「んふ・・・」
 ニチャ、ニチャ
 内股を淫液とも羊水ともつかぬ液体で粘つかせながら、聡美の許へ歩み寄ると、
 ギュッ
 彼女のそそり立つ『肉棒』を握り締め、
 グチュッ・・・コシュッ、グシュッ
 乱暴に『手淫』を始めた。

「いひぃっ!?」
 それに聡美は堪らず、
 ドピュッ、ドピュルッ
 放物線を描きながら射精する。

 その様子を、既に肉奴隷と化している皐月と礼菜以外の2人は、
「んはぁ・・・」
 肉蛞蝓の毒で淫欲に侵され、半ば惚けた表情を浮かべつつ、羨望の眼差しで見つめた。

 ニチャ
 明日香は粘つく、聡美の肉棒から手を離すと、
「・・・皆さんは優秀ですからきっと、優れた『宿主』になれますよ・・・もし、適性がなくとも、しっかり改造してあげますから、心配しないでください ね・・・うふふ、まずはそのイヤラシイ体を愉しんでください」
 そう、嘯き、
 パチン
 指を鳴らして、彼女達の拘束を解く。

 その言葉に、哀れな『宿主』候補達は目を輝かせると、
「んっ、んんっっ゛゛!!」
 散々に『お預け』を食った犬の如く、狂った様に、
 ズチュッ、ズチュッ
「くひぃぃっ!?・・・チンポ、チンポ気持ち良いよぉっ!」
 自慰に耽る。

「おほぉっ!」
 ゴシュゴシュゴシュッ
 文香は無様なアヘ顔を晒しながら、未知の悦楽に溺れていた。
 バチッ、バチッ
 彼女の眼中に火花が走る度、大切な何かを焼き切ってゆくが、
「チンポ、チンポイイッ!」
 そんなことは今の彼女にとって、どうでも良いことだ。

 やがて、
 ゴブッ
 肉棒の根元に迸りを感じた文香は、
「おおぉっ!!」
 理知的な顔を眼鏡ごと、
 ブビュビュビュッ!
 己の吐き出した白濁に染めてゆく。

 青臭い粘液に包まれながら文香は、
「あはぁ・・・」
 ただ、至福の表情を浮かべるのみであった。



 ビーッ、ビーッ
 けたたましい警報音とともに、
『コード01を発令します・・・本部職員はマニュアルに従い、速やかに指定場所へ移動してください・・・コード01を発令します・・・』
 自動音声の機械的な声が繰り返し、メイデン・フォース本部の館内に鳴り響いていた。
 それへ音色を加える様に、
 ガシャンッ、ガシャンッ、ガシャンッ
 防爆シャッターが金属音をたて、全ての窓を塞いでゆく。

「木崎さん、こっちへ」
「あ、はい・・・」
 木崎愛(きざきあい)は、先輩職員である近藤紗英(こんどうさえ)の指示に従い、同じ課員達と館内の廊下を、右へ左へと進んでいた。
『コード01』
 と言われても、愛にその内容は解らない。
 不安に苛まれながらもただ、紗英の指示に従うだけだ。

 紗英の話では、緊急事態にかかる研修を受ければ、『コード』の内容がわかるとのことだが、愛はまだその研修を受講していない。
 その証拠に、身分証の端のカラーリング−愛は赤色、紗英は青色−が皆と異なっている。
 それは日頃からどことない疎外感を愛に得させていたのだが、この様な形でそれが結実するとは、思いもしなかった。
『・・・なんだか、な』
 愛は心中でそう、独りごちると、
「・・・木崎さん、何をボッとしているの」
「済みません・・・」
 紗英に置いていかれないよう、歩みを早めた。

「あ・・・」 
 2フロアほど階を降ると、通路を曲がる度に、『赤い色』の職員の姿が目立って増え始める。
 見れば、どの『赤色』も、自分と同じ様に不安の色を浮かべていた。
 それは却って、愛に安堵感を与える。
 『私だけじゃないんだ』
 当然と言えば当然の事ではあるが、『仲間』が具体的な形で、視界の中に居るのは心強い。
 いつしか、愛の足取りも力強いものへと変じていた。

 更に数分ほど進み、長い通路へと辿り着くと、インカムを付け、ハンド・スピーカーを持った女性職員が、
「・・・身分証が赤色の職員はこちらで待機してください。青色の職員は、研修で予め指示された場所へ移動してください」
 そう、人の群に指示を出した。

 それに紗英は、
「それじゃあね、木崎さん・・・がんばって」
 そう言って、
 ポン
 と愛の肩を叩くと、手を振りながら通路の先へと去ってゆく。

 愛は、思わず紗英に手を伸ばそうとしたが、
「あ、はい・・・」
 そう言うと、伸ばしかけた手を引いた。
 いくら不安と雖も、これも『仕事』の一部。
 彼女とて、子供ではないのだ。

 周囲を見渡すと、自分と同じ様な『別離』がそこかしこで行われている。
 愛は、
「・・・がんばる、か」
 そう呟くと、その言葉どおり、己を奮い立たせるかの如く視線を上げた。

 すると、その視界の隅に、インカムの女性職員が、何か頷きながら、集団から離れるのが見える。
 愛は、その不自然な動きに、
「・・・?」
 そう首をかしげ、職員が去った方角を視線で追うがやがて、『別離』の声が聞こえなくなったかと思うと、
 ガタンッ、ガタンッ
「え?」 
 『赤色』の職員が集まる一角が、防火シャッターで閉じられた。

 『赤色』達から、
「え、何?」
「どうして、シャッタ−が閉まったの?」
 そう不安の声が上がる間もなく、
 ボゴンッ
 天井に、何か重い物が当たる音がする。

「!?」
 皆の視線がその音源へと向かった瞬間、
 ボトボトボトォッ・・・ビチャビチャビチャァッ!
 換気用のダクト口から、細かい肉の塊が落ちてきた。

「ぎゃぁぁあっ!」
 運悪く、ダクト口の下に居た女は、あっという間に『肉』に飲まれ、人型の『肉柱』へと変わる。
「い・・・キャァァッ!」
 誰からともなく発せられた悲鳴が号砲となって、
 ダダッ
 その場に居た者は皆、シャッターの方へと殺到する。

 幸いにもシャッター寄りに立っていた愛は、
「嫌ぁっ、開けてっ、開けてぇっ!!」
 シャッターに取り付くと、
 ガシャンッ、ガシャンッ
 力の限り、鉄の牢を揺さぶった。
   
 その間にも、
「きゃぁぁっ!!」
「い、嫌ぁっ・・・入って、中に入ってくるよぉっ!」
 背後の不吉な叫び声が、シャッターに反響し続ける。

 だが、その中に、
「んぁぁふぅ・・・」
 音調の異なる声が混じり始めた。
 それは直ぐに、
「んっ、くぅっ!・・・」
「あっ、ああっ・・・!」
 『叫び声』を駆逐してゆく。

 愛は背中に感じる空気の激変に、
「っ・・・!」
 些かの恐怖を感じつつも、勇気を振り絞り、振り返った。

 するとそこには、
 グチュッ、グチュッ
「・・・んほぉっ、チンポ、チンポいいよぉっ!」
 『自慰』に耽る女、
 ズプッ、ズプッ
「いひぃっ、おほぉっ!」
 『同僚』を犯す女、そしてそれを、
「イイっ、もっと、もっとぉっ!」
 無様なアヘ顔を晒しながら感涙に咽ぶ女−いずれも、肉の塊に塗れながら、性の饗宴に狂喜する女達の姿があった。
 そしてどの女も、肉の塊−肉蛞蝓が這った部分の着衣は溶け、ぼろ布を纏っている。

「何、これ・・・」 
 愛は、信じられぬ光景に思わず、手を口に当て、後ずさった。
 すると冷たい感覚とともに、
 ガシャン
 と、シャッターが揺れる。

 その瞬間、
「・・・!!」
 惚けた表情で『肉棒』を扱いていた女と目が合った。
 その女は、
「あはぁ・・・」
 病んだ微笑を浮かべると、股間に肉の塔をそそり立たせながら、夢遊病者の如く、
 ヒタ
 愛の方へ向かってくる。

 すると、その女に率いられる様に、
 ヒタ、ヒタ
 一人、また一人と立ち上がり、愛へ淫蕩な笑みを向けてきた。
 しかも女達の腹は皆、
 ボゴッ
 歪に膨らみ、更には時折、
 ボゴッ・・・ボゴゴッ
 寄生虫が蠢くが如く、局所的に変形している。

 愛はその光景に、
「ひっ・・・」
 一瞬後ずさったが、シャッターに慌てて向き直ると、
「いっ・・・嫌っ・・・開けてっ、開けてよぉっ!!」
 ガシャガシャガシャッ!
 狂った様に、シャッターを揺さぶった。
 しかし、シャッターは乾いた音を立てるだけで、開く気配はない。

 そして愛は、
 ピタ
「・・・え?」
 狂乱とシャッターを揺らす音で、『彼女達』の気配も消してしまっていた事を、
 ズッ、ズブブゥッ
「ぎひぃぃっ!?」
 身をもって知ることとなってしまったのだった。

 愛の背へ覆い被さった女は、
 グプッ、グプッ、グプッ
 腰を振り、愛のアナルへ挿入した『肉棒』を激しく前後させる。
 涎が垂れ、舌をだらしなく伸ばした女の口からは最早、
「おっ、ほっ・・・うはぁっ!」
 人が解することのできる言葉は零れない。
 ただ、股間から感じる悦楽を貪るだけだ。

 一方、犯される側の愛も、
 ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ
 リズミカルにシャッターを揺らしながら、
「・・・い、ひゃっ、何コレぇっ!」
 アナルから感じる未知の悦楽に、その肢体を震わせている。
 
 ピュッ、ビュッ
 肉蛞蝓から吐き出される催淫液は確実に、
「・・・おっ、ほぉっ!」
 愛の理性を刮ぎ取ってゆく。
 
 そして、
「・・・おおおぉぉっっ!!」
 ドプッ、ドプッ、ドプッ
 愛を犯す女が絶頂に達すると、
 ズルッ・・・ヌルルゥンッ
「いひぃっ!?」
 女の股間にそそり立っていた『モノ』が、愛の肛内へ潜り込んだ。
 それを切欠に、
 ドボッ、ドッボッ
 女の胎内から小さな肉蛞蝓が、射精液の如く、愛の肛内へ注ぎこまれてゆく。

 肛内へ潜り込んだ肉蛞蝓は、  
 ボゴッ、ボゴッ
 愛の腹を腸の形に歪めながら、奥へ奥へと進んでいった。

 愛はその呵責ない侵略に、
「ひぁっぁぁぁっっ!!」
 ブシャァァッ!
 小便を漏らし、絶叫する。
 そして、
 ブツン
 愛の『理性』は、そこで途切れた。

 ズルッ
 床へ倒れ落ちた愛に、
「うふふ・・・」
「・・・あははぁっ」
 腹を膨らませた女達が、重なり合って襲い掛かる。
 直ぐに、愛の姿は女達の中に溶け込み、消えていった。



「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
 舟木進(ふなきすすむ)は銃を手に、息を切らせながら疾走している。
 しかし、その物騒な獲物とは相反して、エプロンを纏ったその姿は、彼の童顔も相まって、どこかコケティッシュだ。
 進は、
「どうしてこんなことに・・・クソっ!」
 そう、悪態をついてみるが己の声が虚しく、広大な地下空間に反射するだけで、問いに答える者はない。

 十数分前−

「はぁっ・・・」
 進は、今日15回目の溜息をついた。
 だが、
 トントントン
 それでも止まらぬ包丁さばきは、彼の律儀な性格を現しているかの如く着実に、葱を刻んでゆく。

 チームの中で最年少、かつ最近着任したばかりの彼は、『新兵』扱いをされ、チームの雑用係となっていた。
 当然、食事の用意も彼の仕事であり、口うるさい『先任』達の仕打ち(まずい、と皿をひっくり返される)を逃れるためにはそれなりのものを、訓練後の僅 かな時間内で出す必要があるのだ。
 前任の部隊では、レンジャーとして周囲の尊敬を集めていた彼だが、ここでは、家政婦以下の扱いである。
 そんな扱いに、不満が生じぬはずもない。
 
 進が、
「はぁっ・・・」
 16回目の溜息とともに、刻んだ葱を味噌汁用の鍋に放り込んだ時、
 ブシュゥゥゥッ
 奥の待機ルームから、気体が漏れる様な音がした。
 それと同時に、
「「何だっ!?」」
 『先任』達の怒声と、
 ガチャッ
 各々が銃を取る重い音がする。

 進は、
 ガチャンッ
 握っていた包丁をシンクに放り投げると、奥の待機ルームへと走り出した。

 しかし、待機ルームに入る直前、そこから聞こえてきた声は、
「お前らっ・・・うわぁぁあっっ!」
 闖入者を誰何するものと、悲鳴が入り混じったもの−
「・・・!!」
 進は、反射的に、柱の陰にしゃがみ込む。

 空気の流れに乗って、刺激臭が鼻をついた。
 催涙ガス−訓練で嗅ぎ慣れた臭い−に進は、慌てて口許を抑える。
 白煙で視界が取れないが、相手が素人でないことは確かだ。

 その証拠に、
 パンッ
 乾いた音が室内に響く。
「!!」
 コンクリートに囲まれた部屋の中で、跳弾を恐れず発砲するなど、手練れの『先任』達が追い込まれている証に他ならない。

 だが、発砲音に対して、見えぬ『敵』が倒れる音の代わりに、
「ぐわぁぁっ・・・!!」
 野太い悲鳴と、
 ガキッ、ボキィッ
 不気味な音が木霊した。

 恐怖心よりも兵士としての本能が勝り、進は思わず状況確認をしようとし、柱の陰から顔を出す。
 すると、霞の向こうに朧気ながら、
「グルルゥッ・・・」
 巨大な黒犬と、その毛と同じほどの、漆黒の装束に身を包んだ人影が見えた。
 人影はその滑らかな曲線から、女、であることがわかる。

 その『女』は、床に転がる戦闘服姿の男に跨ると、
「んふふ・・・」
 股を更に開き、男の股間に己の中心を近づけた。
 極めて場違いではあるものの、男を誘う女−進にはそう見える。
 
 しかし、『誘われた』男は、
「・・・や、やめろおぉっ!!」
 恐怖に上擦った絶叫を上げた。
 その瞬間、
 ニヤリ
 そう、女の頬が動く。
 そして、
 ズンッ
 女は一気に腰を落とした。


 それに男は、
「ひっ!・・・ひゅぅうっ」
 過度の恐怖に悲鳴を上げることすら適わず、ただ息を吸い込むと、
 ボゴッ
 車にでも跳ねられたかの如く、体を『く』の字に曲げる。

 更に、
「んあぁっ、いいわぁっ!」
 ヌプッ、ヌプッ
 女の腰が揺れる度、男の体は、
 ボゴンッ、ボゴンッ
 不自然に跳ね続けた。
 
 進は、
「・・・っ!」
 仲間への陵虐に憤りを感じながらも、どうにか感情を抑えつつ、腰のホルスターに収められた銃と、ベルトに装填されたマガジンへ手を遣りながら、状況を 良く観察しようと 目を凝らし続ける。
 ボゴッ、ボゴンッ
 男の体は変わらず、女の動きに合わせ、『跳ね』続けているように見える。
 だが、良く見れば『跳ねる』男の『体型』が、明確に変化し始めていることに気付いた。
『嘘・・・だろ?』
 進の言葉を嘲笑うかの様に、
「うぎゃぁぁっっ!」
 バキッ、ゴキンッ
 男の体は人ならざるものへと変化してゆく。

 脚は獣じみ、顔も鋭角となって、体全体を漆黒の体毛が覆ってゆく−それは丁度、彼の横に居る、
「グルルゥッ・・・」
 黒犬と同じものだ。

 『跳ねて』いた男が動きを止め、完全に黒犬へと変化した頃、
 カツン
「!!」
 部屋の中に間抜けな音が響く。
 無意識のうちに、後ずさってしまっていた進の、ベルトの金具が柱に当たってしまったのだ。

「グルルッ・・・!」
 その音に気付いたのか、黒犬が進の方へ向き直る。
 いつの間にか、催涙ガスの霞は晴れ、視界はクリアになっていた。
 進の視界に入ったのは、漆黒のボディー・スーツに身を包み、股から白濁した粘液を垂らすαチームの女達と、異様に大きなペニスをぶら下げる黒犬の群−
 そのいずれもが同じ目−獲物を狩る獣の目で、進を見つめている。
 
 進は、
「ひっ、ぁっ・・・!」
 悲鳴とも言えぬ情けない声を上げると、
 ダッ
 厨房の奥へ走り出す。
 振り返ることなくただ前を向いて走り出した進であったが、
 ダダダッ
 背後から殺到する気配は、痛い程に感じ取ることができた。
 進は、
「ひっ、ひゅぅっ」
 悲鳴を飲み込み、ただ、その能力の限り、走り続ける−



「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
 どこをどう走ったかは解らない。
 だが気がつけば、武装車両を駐車してある、地下駐車場まで辿り着いていた。 
 天井の薄暗い灯りを受け鈍く光る車両の姿が、これほどまでに頼もしく思えたことはない。
 『先程』までは準待機態勢だったから、車のキーはさしたままのはずだ。

『これで脱出すれば−』
 進は、希望と期待に胸を膨らませながらも、周囲を警戒し銃を構えつつ、車両へと近づく。
 すると、
 サッ
 車両の間から、一つの影が進の眼前に現れた。

 進は反射的に、
 チャッ
 銃をその影に向ける。

 しかしその影は、
「・・・石井、さん・・・」
 彼が思いを寄せる、女性の姿であった。

「・・・んふふ、ダメよ舟木君・・・そんな物騒なモノ、人に向けちゃぁ・・・」
 石井恵子(いしいけいこ)は、待機ルームで見た女達と同じ漆黒のボディー・スーツに身を包み、手を広げながら進の許へゆっくりと歩いてくる。
 進より2つ上の彼女は、
「うふふ・・」
 切れ長の目から艶っぽい視線を進に送りつつ、その引き締まった体のラインを余すことなく晒していた。
 見れば、胸の頂は痛いほど自己主張し、股間の肉もぷっくりと膨れている。

 憧れの女性のあられもない姿ではあるが、彼女が身に付ける漆黒のスーツと相まって、黒豹の如き獰猛さを進に感じさせた。
「く、来るなぁっ!」
 進は手許を震わせながらも、恵子から銃口を外すことはない。
 今は恋慕の情よりも、防衛本能が優先していた。

 恵子は、進の反応に、
「あらぁ、つれないじゃない・・・私は貴男のために、ココを開けて待っていたと言うのに・・・んふぅ」
 そう言うと、右手で、
 グチュリ
 秘裂を開く。
 顔を覗かせた秘所は、蜜を垂らしながら、
 バクッ、バクッ
 進を誘うように、その淫らな口を喘がせていた。
  
 だがそれは、進に劣情ではなく、
「ひ、あ・・・」
 生物としての恐怖を想起させる。
 今の進にとって蜜の滴る恵子の秘所は、獲物を前に涎を垂らす、猛禽類の口と同じなのだ。

 恵子は、そんな進の感情を逆撫でするように、
「うふぅ・・・私、貴男の気持ちは知っていたのよ・・・いつも、いやらしい目で、私のスーツを見ていたでしょう?・・・うふっ、だから今日は、貴男の思い を叶えてあげる・・・」
 そう言うと、進と指呼の間に距離を縮めてくる。

 その恵子の姿に進は、
「う・・・わ・・・わぁぁぁっ!!」
 パンッ、パンッ、パンッ
 狙いなど定めず、滅茶苦茶に銃を乱射した。
 
 しかし、恐怖の中にあっても『恋慕』の情がそうさせているのか、恵子の至近に弾が飛ぶことはない。
 恵子は、進むの印象どおり、猛禽の如く目を『殺気』で光らせると、
 ダッ
 一気に進との間合いを詰め、
 ドガッ
 肘鉄で進の鳩尾を付く。

「ぐはぁっ!?」
 進は、その激烈な一撃に一溜まりもなく、
 ドザッ
 背からコンクリートの床へと倒れ込んだ。

「・・・痛っっっ!・・・・」
 猛烈な痛みに、進の視界は青白くスパークする。
 だが、
 ニュロン
 下半身に、痛覚とは異なる強い感覚が、彼を襲う。
 直ぐにその感覚は、
 チュブッ、チュブッ
 強い波となって、進を覆い始めた。

「う・・・あ・・・」
 漸く像を結んだ視界の中に進が捕らえたのは、
 グプッ、グプッ
 彼の肉棒を咥え、上下に頭を揺らす恵子の姿であった。

 恵子は、
「・・・んぱぁっ・・・やっと起きたわね・・・んふふ、気持ち良い?」
 進の肉棒から口を離し、そう嘯くと、
「んふふ・・・」
 ギュッ・・・レロォンッ
 進の肉棒を握り直し、裏筋を舐める。

 それに進は、
「うはぁっ・・・!」
 堪らず、背を仰け反らした。
 それと時を同じくして、
 ビクンッ
 『熱い』
 進の肉体に、明らかな変調が訪れる。
 恵子の唾液−強力な媚薬が、進の肉体を急速に侵し始めているのだ。
 その侵攻に進はただ、
「・・・うっ、あっっ!」
 流されるままとなる。

 恵子は、
 ヌルンッ
 天を突くまでに勃起した進の肉棒から手を離すと、
「・・・んふふ、ビクビクしちゃって可愛い・・・お姉さんが、食べてあげる・・・」
 そう言って、進の上に跨った。

 ヌトォッ
 恵子の秘所からは、獲物を前にした垂涎が、糸を引きながらしとどに零れ落ちる。
 それを受けとめた進の亀頭から、
 ビュクッ
 『捕食』を待ち望むかの如く、カウパー液が飛び散った。

 恵子は、
 グイッ
 腰を下ろし、
 グニィッ・・・ヌプッ
 進の亀頭を飲み込む様に、秘裂を軽く押しつけると、
「んはぁっ・・・それじゃあね、『舟木君』・・・これからは他の仲間と同じ・・・ペットとして飼ってあげるからねっ!」
 そう叫び、
 ズブブブブッ
 まだ人間である進のモノを、奥深くまで『頬張る』。

 その直後、
「い、ぎゃぁぁあぁっっっ!!」
 『舟木進』として最期の絶叫が、地下空間に響き、それから間もなく、『人』の声は聞こえなくなった。



「うっ、えぐっ・・・」
 久保はるなは、思わず漏れる嗚咽を堪えようと、口を手で押さえる。
 その動きにあわせて、
 ガサッ
「ひぃっ!?」
 はるなの右腕に、何かが触れた。

 首を巡らせて見ると、淡い青のブラウスが、肩にまとわりつく様に触れている。
 はるなは、敵でも払うかの如く、
 ガシャッ
 乱暴に、ブラウスを脇へ退けた。
 ロッカーの中であれば、誰かの服があるのは当然ではあるが、今のはるなにはそれすらも恐怖の対象となり得る。

 はるはな、
「・・・すぅっ」
 深呼吸をして幾分、気持ちを落ち着けると、
「希美・・・」
 親友の名を呟いた。
 自分とともに逃げていた君島希美(きみじまのぞみ)は、本部内を駆けるうちに、はぐれてしまったのだ。
 今どこにいるのかも、無事でいるのかすらもわからない。

「希美・・・」
 はるなは、再び親友の名を呟くと、突如彼女達を襲った惨劇を思い出す。



「ちょっと、はるな、大丈夫?」
 はるなは希美のその言葉に、
「うん、ごめん、ちょっとダメかも・・・」
 そう応えると、口許を抑えた。
 ビル内に警報が流れ、先輩職員達に誘導されるまま移動していたはるなだったが、昨日の飲み会での深酒が祟り、途中で吐き気を催してしまったのだ。
 久しぶりの合コンだったとは言え、調子に乗りすぎた−だが、そんな事は後の祭り。
 容赦ない吐き気が、のぞみを苛み続けている。

 希美はそんなはるなの姿に、
「もう、仕方ないわね・・・」
 そう言うと、はるなを介添えするためにこっそり彼女の手を取り、人の群を離れた。
 
 そして、
「ごめん、お待たせ・・・」
「本当に大丈夫?・・・早くみんなのところに戻りましょ」
 はるなが『用を済ませ』、再び2人で『群』に戻ろうとしたところに、あの悲鳴−
「いっ・・・嫌っ・・・開けてっ、開けてよぉっ!!」
 を聞いてしまったのだ。

 その声に、はるなと希美は、
「!!」
 トイレから声の方角へ向かって駆け出す。
 通路を走り、角を2つばかり曲がったところで、2人はその音源に辿り着いた。
 見れば、その声は、
 ガシャンッ、ガシャンッ
 揺れる防火シャッターの向こうから聞こえている。

「・・・」
 しかし、釈然としないことに、その前に居る複数の職員は微動だにしない。
 その余りに無責任な態度に、はるなは思わず、身を乗り出そうとしたが、
 ガシッ
 その腕を希美に掴まれた。
 そしてそのまま、角の手前に引き戻される。

「希美・・・!」
 はるなは希美に食ってかかろうとしたが、
「シッ!・・・なんだか、様子がおかしいよ」
 希美のその言葉に、
「えっ?」
 口をつぐんだ。

 角から首を出し、通路の先の様子を窺うと、シャッターの前に居る職員は、心配する素振りを見せるどころか、時折会話を交わしては微笑すら浮かべていた。
 するとやがて、絹を裂く様な悲鳴と、シャッターを揺らす音も小さくなってゆき、それが止んで暫くすると、
「・・・んっ、はぁっ・・・」
 どこかくぐもった声が、シャッターの向こうから聞こえてくる。

 そして、シャッター前の職員が頷き合うと、
 ガシャンッ・・・ギィィィッ
 緞帳の如く、シャッターが上っていった。

 果たしてその先には−
「い、きゃぁぁっ!」
 はるなは目に飛び込んできた光景に、思わず悲鳴を上げてしまう。
 それに、シャッター前に居た職員達ははるな達の方へ、一斉に振り返った。
 その瞳には、冷たくも獰猛な色が浮かんでいる。

 そして彼女達の後ろには、服、というよりはぼろ布を纏い、腹を膨らませ更には、男根を生やした女達の群が、
「んはぁ・・・気持ちイイっ」
 コシュコシュッ
 その醜い賜物を扱きながら、死者の群の如く、こちら側へと向かってきた。

 はるなは余りに非現実的な光景に、
「ひ、あ・・・」
 恐慌を来してしまい、ただ呆然と立ち尽くす。

 そんなはるなの腕を、
 ガシッ
 再び取ると希美は、
「・・・はるな、逃げるよっ!」
 『彼女達』から逃れるべく、駆け出したのだった。

 それからの事は、はるなの記憶に殆どない。
 ただ、希美と2人、通路をひたすら走り、角をいくつも曲がった事−それだけは朧気に覚えている。
 そしていつの間にか希美とはぐれたはるなは気がつくと、この更衣室の前に居たのだ。
 行き場と相棒を失ったはるなは狼狽したが、
『誰も信用できない』
 確かなその事実だけは理解できた彼女は、この異常事態をやり過ごすため、手近なロッカーに身を隠すことにして、今に至っている。

 しかし、身を隠す、と言っても、いつまでここに居れば良いのか、そして、ここから脱出する手段などあるのか-時間が経過するほど、はるなの心中には焦り が沸き上がってくる。
 もしかすると、ここではないどこかへ、移動した方が良いのかも−
 だが、その自問に、明確な答えなど出る筈もない。

「どうしよう・・・」
 そうして、ただ苛立ちを募らせていたはるなだったが、
 ガチャ
 更衣室のドアが開く音に、
「!!」
 その身を強張らせる。

 そして間もなく、
 ヒタ、ヒタ
 室内に誰かが歩く音が響いた。
 その音は、少しずつ、自分の方へ近づいてくる。
 はるなは、緊張の余りに思わず、
 ゴクッ
 息を飲んだ。

 しかし、
「・・・はるなぁ、どこぉ・・・」
 どこか間延びしているが、聞き慣れた声に、
「うっ・・・」
 一転、涙を零す。

 少なくとも希美は無事で、自分を迎えに来てくれた−
 その事実が、はるなには堪らなく嬉しい。
 はるなが喜びに咽んでいる間に、通気口のスリット越しで不鮮明ではあるが確かに、希美の顔が窺い見れるようになっていた。

 はるなは、ロッカーの中から思わず、
「希美っ!」
 親友の名を叫ぶ。

 それに希美は、
「・・・あ、はるな・・・そこにいるのぉ?」
 そう、嬉しそうな声を上げると、
 ヒタ、ヒタ
 はるなの方へ歩み寄ってきた。

 はるなは、
「希美っ!」
 再びそう叫ぶと、
 バンッ
 ロッカーの扉を開ける。
 きっと彼女も心配していただろう、ゴメンね、と目の端に涙すら浮かべながら−
 
 しかし、
「あははっ・・・さがしたよぉ、はるなぁ・・・」
 彼女の前に姿を現した友は、 
「ひぃっ!?」
 正に恐怖の対象でしかないものだった。

 希美の姿、それは、シャッターの向こうから現れた女達と全く同じ−
 醜い肉塊を股間にそそり立たせ、妊婦の様に腹を膨らませた彼女は、
 ヒタ・・・ヒタ
 一歩、また一歩とはるなへと近づいてくる。

 はるなは、
 ガタンッ
 逃げ場などないのに、ロッカーの奥へ後ずさろうとした。

 それに、希美は、
「はるなぁ・・・何を怖がっているの?・・・これぇ、とっても気持ちいいよぉ・・・はるなにもぉ、この気持ち、教えてあげる・・・」
 そう言って、淫蕩な笑みを浮かべると、
 グチュッ
 粘液に塗れた肉棒を握り、はるなに迫る。

 はるなは、
「・・・い、ひ、嫌ぁっ!!」
 手足をジタバタさせ、抵抗しようとするが、希美に、
 ダンッ
 ロッカーの壁へ組み伏せられ、
「んふっ、はるなぁ・・・ちゅっ・・・」
 キスをされると、直ぐに静かになり、やがて、
 グチュッ、グチュッ
 水音が室内を支配するのに、それ程の時間はかからなかった。



「うふふ・・・」
 邪水晶は、メイデン・フォース本部内の様子を、水晶球越しに眺めている。
 彼女の思惑通り、本部の制圧は順調に進んでいるようだ。

 邪水晶が、
「後は・・・」
 傍らに控える朱美に目配せをすると、朱美は、神器である『鏡』を捧げ持つ。
 だがその瞬間、
 ビリィッ!
「・・・痛っ!」
 鋭い雷撃が、彼女の体を襲った。

 ビリッ、ビリィッ!!
 それは止むことなく、
「くぅっ・・・」
 朱美を苛み続ける。
「ふふ・・・私を拒む、というのね・・・忌々しい・・・」
 それはまるで、『邪な存在』を祓うかのようであった。

 しかしそれは強ち、誤りではない。
 今朱美が纏うのは、神聖な巫女装束などではなく、神を冒涜するための装束−胸がはだけた衣に、ミニスカートの様に短い、漆黒の袴−である。
 短すぎる袴の下からは、秘所が覗くがそこは、これから起きる事を期待してか、
 ニチャァ
 粘液質な蜜で濡れそぼっていた。

 未だ『巫女』としての資格を持つとは言え、その本質は既に、淫魔に等しい。
 内面だけでは、『存在そのもの』を祓うことができない『鏡』にとって、朱美に苦痛を与えることが『細やか』にして『最大限』の反撃なのだ。
 
 朱美は、
「・・・っ!・・・」
 激痛に耐えながらも『鏡』を、
 コトリ
 小さな台座の上に置く。
 すると、その台座は、
 ゴゴゴ・・・
 漏斗状に窪み、銀板に刻まれた魔法陣の中心へと沈んでいった。
 朱美はそれを、敵を侮蔑するが如き、
「ふふ・・・」
 邪悪な微笑で見送る。
    
 そして、今度は、
「んふ・・・」
 淫蕩な笑みを浮かべると、『仲間』達の姿を見渡した。
 魔法陣の四隅には、己が守護する方角に『座した』巫女達の姿がある。
 彼女達は皆、朱美と同じ装束を纏い、
「ん・・・はぁっ・・・」
 分娩台の様な『椅子』に『座し』て、その穢れ無き女の秘めたる穴をさらけ出していた。
 彼女達の秘穴からは朱美と同じく、
 トロッ
 蜜が滴り落ち、分娩台から零れ落ちようとしている。
 彼女達が座す『分娩台』の下には、小さな溝が設えられておりその溝は、魔法陣の端へと続いていた。

 そしてその彼女達を『守護』するかの如く、邪水晶が控えている。
 邪水晶は、触手型妖魔を改造した触手を、
 ズヌリ
 己の逸物に寄生させ、それをさながら聖樹の如く、彼女達の下半身へと這わせている。
 邪水晶は、本来は神に仕えるべき巫女達の−最も穢れ無き者達の最悪の穢れ−破瓜の血で『鏡』を穢そうとしているのだ。

 神凪本家から霊脈を通じ、神気を得る『扉』としての『鏡』−
 この『鏡』を穢し、『魔具』に変じさせればその影響は当然、神凪本家へと及ぶ。
 それは鉄壁の結界で守られた本家と雖も、深刻な結果を招くだろう。

 その企みに抗う様に『鏡』は、
 ジジッ・・・ジュワッ
 己へ僅かに近づいた邪水晶の『肉体』を、破邪の力で灼く。
 邪気の塊とも言える彼女にとって、神器が及ぼす影響は朱美の比ではない。
 しかし、文字通り、『鏡』の『身を焦がす』猛烈な反撃に遭いながらも、
「うふふ・・・」
 寧ろ、その笑みは凄みさえ増してゆく。

 邪水晶が、
『瑠璃・・・これで、お前の全てを奪ってあげる・・・ふふっ、待っていなさい・・・』
 そう、心中で瑠璃に呪詛の言葉を浴びせると、それを察したかの如く朱美は、
 ピタ
 『分娩台』
 に『座す』と、他の巫女と同じく、
 グイッ
 股を開き、己の秘めやかな孔を、詳らかに晒した。

 すると、
 ニュルッ
 蛇の様に邪水晶の触手が、朱美の瑞々しい太腿に絡み付いてくる。
 朱美は、肉が灼ける臭いと、それが持つ熱の中に、これから彼女に訪れる『破局』の甘美な味を予感し、
「ああっ・・・」
 淫蕩な笑みを浮かべた。

 そして、邪水晶に一瞬視線を送ると黙って頷き、
 ギュッ
 亀頭様に括れた触手の『棹』を握ると、
 クチュリ
 迷わずそれを、秘裂へ当てた。

 それだけで、
「あふぅんっ・・・」
 軽い絶頂を感じるが、辛うじて、
「高天原に神留り坐す・・・」
 『祝詞』を、嬌声に代わって捻り出す。 

 それに倣うように、他の巫女達も、
「皇 吾親神漏岐神漏美の命以て・・・」
 朱美に続き、『祝詞』を唱え始めた。

 本来であれば神楽を舞い、神に罪を許し願う『祝詞』であるが彼女達は、
「んはぁっ・・・」
 グチュリ・・・ズヌッ
 濡れそぼった己が蜜壺に忌まわしき肉塊を突き入れ、神を貶めるべく、淫猥な『神楽』を舞い始める。
 やがて、
 ビチャッ・・・ヌルゥ
 掻き出されるようにして溢れ出た『先陣』の淫液は、『分娩台』の溝を伝い、
 ボトッ
 魔法陣へと零れ落ちた。

 その刹那、
 ボゥッ
 青白い炎が燃え上がる様に、魔法陣から燐光が溢れ出す。
「・・・はあぁっ・・・ああっ!」
 そしてその燐光と同じく、滾々と溢れ出し魔法陣を濡らす、巫女達の穢れは、
 コォオ
 野火の様に魔法陣を光らせながら、その中心へ辿り着くと、
 ツゥ・・・ツゥゥ
 糸を引いて、窪みの中、そしてその直下にある『鏡』を目指し、落ちてゆく。
 数瞬の後、その一滴が、
 ボトッ
 『鏡』の上端へ、零れ落ちた。

 すると『鏡』は、
 カタッ・・・
 悪寒にでも震えるかの如く、揺れ始める。
 そしてそれは、
 ボタッ、ボタッ
 間断なく零れ落ち続ける『穢れ』によって、
 ガタガタガタッ
 『拒絶反応』へと転化した。

 その『拒絶反応』は、祓いの神力となり、
 ジュワァア
「くっ・・・」
 邪水晶の触手を灼くが、邪悪な巫女達はそれを見計らった様に、
「天津罪、畦放ち・・・」
 そう、『呪詛』とも呼ぶべき『祝詞』をあげると、
「うふふ・・・」
 妖艶で、淫蕩な笑みを浮かべる。

 そして、
 ギュッ
 邪水晶の触手を一層強く握り締めると、
『・・・これで・・・』 
 決して破ることの無かった、『最後の扉』とも、己のアイデンティティーそのものとも言うべき『純潔』の証を、
「・・・はあぁんっ・・・ああっ!」
 ズブッ・・・ビリィッ
 穢れた肉塊で、砕く様に破った。

 醜い肉で埋められた膣内からは、押し出されるかの如く、
 ブチュッ・・・ツウゥ
 破瓜の証が『巫女』であった者達の、内股を伝い落ちる。

 しかし、彼女達に、悲嘆や後悔の色はなかった。
 寧ろ、
『うふふ・・・あははっ!・・・遂に・・・やった、やったわ!・・・これで私達も!』
 その顔には、狂気とも言うべき、喜色しかない。
 それは、
「ああっ・・・これが最も穢れ無き『処女地』の味・・・うふふっ・・・あははっ!・・・いい、いいわっ!」
 彼女達を穢した、邪水晶も同じである。

 ズヌッ、ズヌヌッ
 邪水晶の『肉棒』が彼女達の『処女地』−膣道から子宮へと侵してゆく程に、触手が、
 ドクン、ドクン
 吸精するが如く、膨大な『力』を彼女の中へ流し込んできた。
 『四神の巫女』は他の退魔師とは比較にならない程の『神力』を、その身に秘めている。
 彼女達と同様に、群を抜く『巫女』でもあった邪水晶にとってそれは、『受容』し得る『力』でもあった。

 『巫女』達の穢れた血はやがて、
 ポタッ
 滴となって魔法陣へと落ちる。

 その刹那、
 ボォッ
 魔法陣がこれまでとは異なり、伝い落ちたものと同じ、深紅の色へと『燃え上がる』。
 燎原の火の如く、魔法陣を『灼き尽くした』それは、直ぐに中心へ辿り着き、『鏡』そのものをも灼き尽くさんが如く、
 ゴオォッ
 紅蓮の炎に包みこんだ。

 それに思わず、
「・・・おおっ!」
 邪水晶は感嘆の声を上げる。

 『炎』に包まれた『鏡』は、
 バキッ、バキッ
 悲鳴にも聞こえる、不吉な音をたてながら、その滑らかな『鏡面』に皹を走らせ始めた。
 それを潮目にして、
 ヒュオォ
 『鏡』から漏れる『力』に、変化が訪れる。

 聖なる燐光を放っていた『鏡』は、
 バキッ、バキッ
 鍍金を剥がす様にその色を、どす黒い色へ染めてゆく。
 そして、己から放つ光も、
 ゴォォ
 邪悪さに満ちた、禍々しいものへ変じてゆき、それは魔法陣の底から、
 ゴォォ・・・ビュオォォ
 『実体』となって蛇の如く鎌首を、堕落した巫女達に、もたげかけた。

 朱美は、邪悪そのものである『蛇』の姿に、
「ああっ!・・・」
 神でも見たかの様な、歓喜の表情を浮かべる。

 その朱美の反応に応えるかの如く、邪悪な『蛇』は舌先で、
 ニタリ
 と笑う様に、その先を割り、尖らせると、
 ヒュンッ・・・ズルズルズルッ
 肉の塊が埋め尽くす以外の穴−アナル、口、耳、鼻の穴から、朱美の中へ、一気に潜り込み始めた。
 そして一拍の間を置いて他の巫女達にも、
 ズルズルズルッ
 その魔手を伸ばす。

 朱美は、
「ごっ!・・・ふごごっ!」
 蛙の潰れた様な間抜けな叫び声を上げ、
 ビクッ、ビクッ
 と肢体を震わせながらもただ、闇の侵入を受け容れた。

 邪水晶は、それを、
「ああんっ、いいわぁ・・・お前達の肉体、魂が闇に穢されてゆくのがわかる・・・ふふっ、お前達の全てを、私色に染めてあげるわ」
 朱美達の奥深くへ潜り込ませた触手越しに感じながら、
 ズヌッ・・・ズゴッ、ズゴッ、ヌゴォッ
 彼女達の『神性』を刮ぎ取らんばかりに、陵虐の手を強める。

 朱美は、体の中から文字通り、己の全てを吸い取られる感覚に、
「ひぃぃっ!?・・・じゃ、邪水晶様ぁっ!」
 そう叫び、救いを求めるように、股間深くに突き刺さる触手へと、手を伸ばした。
 だが、邪水晶は、
「うふふ、大丈夫よ・・・お前は、私の眷属になるの・・・だから、お前の全てを私に捧げなさい」
 そう、朱美に命じると、
 ゴズッ、ゴリュッ、ゴリィッ
 己の言葉通り、朱美の全てを得んが如く、触手を蠢かせる。
 
 侵入する闇の力と、それを全て吸収しようとする力−それが朱美の体内で鬩ぎ合う。
 朱美はそれに、
「ひぎぃいっ!?」
 鼻水と涎を垂らし、苦悶の表情を浮かべるが、
 ドプッ
 何かが己に注ぎ込まれる様な感覚を感じた刹那、
「い、ひぃぃっ!?・・・何、これぇへぇっ!?」
 ドプッ、ドプッ、ドプッ
 全身の感覚が反転した。

 それは、
「あひぃっ!?・・・何かが、何かが入ってくりゅぅっ!?」
「・・・こ、これ凄いっ!!」
「ぎひぃぃっ!?」
 蒼乃、雪、沙夜子の3人も同じである。

 ドクン
 4人の巫女に注ぎ込まれた闇の『力』は大きさを増し、彼女達の『器』ですら収めきれないその『力』は、
 ゾワリ
 皮膚を通し、体外へと漏れ始めた。
 それを認めた邪水晶は、
「うふふ・・・もう頃合いのようね・・・ふふっ、喜びなさい・・・お前達は、淫魔に生まれ変わるのよっ!」
 そう宣告すると、
 ドクッ、ドクッ、ドクッ
 触手の先から、『力』の『方向性』を決する、大量の精を放つ。

 神・魔いずれの『力』も、それだけではそれぞれの『属性』のみを有する、純粋な『力』でしかない。
 法術や魔術は、その『力』を『効果』に転化させるための『道具』−邪水晶の精にはその『道具』たる魔術−『呪詛』が込められている。
 巫女達に魔の『力』が存分に注がれた今、『効果』を決定づけるための『道具』が直接、その肉体に放たれれば、その結果は火を見るより明らかだ。

 果たして、邪水晶の射精と同時に、
 ドクンッ
「「「「ぎいぃぃぃっ!?」」」」
 巫女達の肉体へ破滅的な、変容が訪れた。

 ビキッ、ビキッ
 肩口の辺りは醜く変形し、やがて、
 ビキィッ、ビリィィッ・・・バサァッ
 蝙蝠様の、漆黒の翼が姿を現す。

 更には、
 ビキッ
 頭部からは角が、
 ビュルルッ
 尾てい骨からは翼と同じ色−漆黒の尻尾が、そのしなやかさを誇示する様に、
 ビシィッ
 力強く床を叩いた。

 更には、皆の乳房が、頂きにリング・ピアスを抱きながらも、
 ムクッ、ムクッ
 『雌』であることを嫌らしいまでに主張するかの如く、水風船の様に肥大する。

 そして、『雌』であることと相反する矛盾を抱えながら、
 ビクッ・・・ビキビキビィッ!
「「あひぃっっ!?」」
 雪と蒼乃の肥大化したクリトリスが、雄々しき肉柱へと変化し始めた。
 それに合わせる様に、
 ビキッ、ビキッ
「「おほぅっ!?」」
 朱美と沙夜子の肉棒も、大きさと硬度を増してゆく。

 これらの変容は、完全なる淫魔−邪水晶の眷属への『零落』に他ならない。
 しかし、闇に墜ちた巫女達は、己の肉体の変容を、
『 『 『 『ああっ・・・!!』』』』
 最大の歓喜をもって迎える。

 その至福感は、
 ブルッ
 爆発的な肉体的表現となって、
「「「「・・・イ、イクぅっ!!!」」」」
 ビュルッ、ビュルッ、ビュルッ、ビュルゥゥウッ!
 邪気に満ちた空間を、純白に染めた。

 その激烈な迸りと同じくして、
 ドクドクドクッ!
 邪水晶の体内へも、『力』の奔流が流れ込む。
 それは『巫女だった』者達が吐き出した、最期の『神性』とも呼ぶべきもの−かつて『巫女』であり、それを『受容』する『因子』を持つ邪水晶にとっては、 最上級の快楽を送り込み、
「はあんっ・・・素敵ぃ・・・魂が砕け散る、なんて甘美な味・・・ああんっ、私も・・・イクぅっ!」
 極白色の世界へ更に色を添えるかの如く、
 ドプッ、ドプッ、ドビュルゥウッ!
 粘液質な精を放った。

 『5』匹の淫魔から放たれた精は直ぐに、
 ビチャッ、ビチャッ、ビチャッ
 粘液質な音を立て、魔法陣へ落下する。
 魔法陣の全てを白く塗り潰したそれは、
 ドロォッ・・・ヌロオォォ
 水飴の様に流れ落ちると、『死装束』を施すかの如く、『鏡』を包み込んだ。

 本来、魔を祓い、穢れを拒むはずの『鏡』は一瞬、
 キィィン
 どす黒い光を放ったかと思うと、
 ゴポッ・・・ブチュッ・・・グチュルッ
 まるで甘露でも得たかの様に、淫魔達が放った汚液をその中へ『飲み込んで』ゆく。

 やがて、
 ジュルッ
 最後の一滴を『飲み込んだ』『鏡』は、
 ドクン
 鼓動を打つが如く震えると、
 ジワリ・・・ジュワァァ
 染み出させるかの様にではあるが格別に、濃い瘴気を放ち始めたのだった。

 邪水晶は『鏡』と『眷属』達の様子に、
「うふふ・・・」
 満足そうな笑みを浮かべると、
 ズッ・・・ズヌヌッ
「あふぅ・・・」
 『眷属』達から触手を引き抜き更に、
 ヌヌッ・・・ヌプッ
 己の肉槍を咥え込んでいた触手を抜き去る。

 巫女達を堕落させ、淫魔へと変容させる『役割』を終えた触手は、
 ベチャッ
 湿った音を立て、床に落ちると、
 ジュワァァ
 雪が溶けるように消え去っていった。

 邪水晶は、魔法陣の四隅で半ば放心状態にある『眷属』達を見下ろしながら、
「・・・ふふっ、お前達・・・真に生まれ変わった姿を、私に見せて頂戴・・・」
 そう、命じた。

 『眷属』達は、その命に、
「「「「はい、邪水晶様・・・」」」」
 そう応じると、ゆっくりとではあるが確かな足取りで、邪水晶の前に居並ぶ。

 彼女達が恥ずかし気もなく晒す肉体−翼、角、尻尾、男根−それらは、邪水晶と同じ、淫魔そのものであった。
 その肢体へ貼り付くようにまとわりつく千切れた巫女服は、抜け殻の様にも見える。
 それを裏付けるように、淫魔へと『脱皮』した彼女達の肉棒は、
 ビクッ、ビクンッ
 悦楽を期待するかの如くいきり起ち、その先からは、
 ヌロォ
 浅ましくも、垂涎の糸を零していた。

 邪水晶は、
「うふふ・・・淫魔に生まれ変わった気分はどうかしら?」
 そう言うと、
 ギュムッ
 朱美の肉棒を握り、
 グチュゥッ
 悪戯するかの様に二、三度、擦り上げる。

 朱美は、人間よりも遙かに高められた性感に耐えながら、辛うじて、
「・・・んんっ・・・は、はい、最高の気分です・・・人間などであったことが、愚かしく思える位に・・・邪水晶様、私達を淫魔にして頂き、誠に有り難う御 座 います・・・」
 そう、感謝の言葉を述べた。

 邪水晶はそれに、
「ふふっ・・・そう・・・」
 そう微笑むと、
 スッ
 と、朱美の肉棒から手を離す。

 しかし朱美は、
「あ・・・」
 腰を浮かせて、悦楽の口火を放すまいとした。
 
 邪水晶は、朱美のその反応に、
「・・・ふふっ、本当に浅ましくなったものね・・・その体を愉しむのは、ほんの少しだけ待ちなさい・・・まだお前達には、してもらう事が二つあるわ」
 そう、言うと一転、真顔になる。

 朱美達は邪水晶の変化に、
「・・・!」
 淫悦に緩みきっていた顔を引き締める。

 邪水晶は眷属達の反応に、
「ふふっ、察しが良い娘は好きよ・・・まず一つ・・・」
 そう頬を緩めると、
 パチン
 指を鳴らす。

 すると、
 ゴゴゴ・・・
 魔法陣の中心がせり出し、『鏡』が再び姿を現した。

 ヒュォォ
 瘴気が自然と溢れ出す、完全なる『魔具』と化した『魔鏡』の外周には、
 ビクンッ、ビクンッ
 醜い肉塊様の物体が脈打ち、それが咥え込むかの如く『鏡面』が、黒曜石の様な輝きを放っている。

 邪水晶はその『魔鏡』に触れると、
「うふふ・・・」
 思わず笑みを零した。
 本来『鏡』はその『神力』をもって、闇を照らし、魔を祓う神器であるがこの『魔鏡』は、『神力』を吸い上げ闇に変換し、邪悪な力を撒き散らす魔具と化し ている。
 その証拠に、
 シュワァァ
 『魔鏡』へ触れるだけで膨大な『魔力』が彼女の中へ流れ込んで来た。

 邪水晶は、『魔鏡』を愛おしそうに撫でると、
「・・・ЭлойБог・・・」
 そう、呪詛を唱え、『魔鏡』をその胸にかい抱く。

 すると、
 キィィン
 『魔鏡』は一瞬輝いたかかと思うと、
 ズルリ
 邪水晶の胸の中へ沈み始めた。
 それは、
「・・・んああぁぁっ!!」
 邪水晶へ例えようの無い快楽を送り込む。

 邪水晶の肉棒は、悦楽の強さを『体現』するかの如く、
 ビュルッ、ビュルッ、ビュルッ!
 体液の全てを搾り出す様な、激しい射精を続ける。
 『魔鏡』を魔術で取り込み、『力』の『道』を直接繋げた彼女には、『魔鏡』を通じて、膨大な量の魔力が注ぎ込まれるのだ。

 やがて『魔鏡』は、
 キィンッ
 一際強く輝いたかと思うと、
 シュゥン
 邪水晶の胸中へ姿を没する。
 そして、鏡を取り込んだ邪水晶の胸の中央には、
 シュゥゥ
 『魔鏡』を完全に取り込んだことに呼応する様に、紫色の妖しい紋様が浮かんだ。
 
 邪水晶は、
 ビュクッ、ビュクッ
 『魔鏡』から溢れ続ける魔力に悦楽を感じ、精を放ちながらも、紋様の浮かんだ己の胸を撫で、
「うふふ、素晴らしい『力』だわ・・・お前達、まずは一つ目の仕事よ−うふっ、お前達のその穢らわしいモノで、私を犯しなさい・・・」
 そう、朱美達を誘う。

 その命に、朱美達は、
「「「「はい、邪水晶様・・・」」」」
 陶酔した表情でそう応えると、彼女達が体位を得やすいよう、魔術を使い虚空に浮かんだ邪水晶を取り囲んだ。

 邪水晶は、己に突き出された4本の肉棒を前に、
「んふふ・・・なんてキツイ、雄の臭いなの・・・」
 濡れた舌で、唇を舐め回すと、
 グチュッ、ヌチュッ
 固く、そしてぬめりきった、朱美と沙夜子の肉棒を扱く。

 既に昂ぶりきっていた朱美と沙夜子の肉棒はそれだけで、
「ダメぇっ、でちゃうっ!」 
「はぁんっ、邪水晶様ぁっ!」
 ビュッ、ビュッ、ビュッ
 迸りを抑えることができず、
 ビチャッ、ビチャッ
 青臭い粘液が、邪水晶の秀麗な顔に降り注いだ。

「うふふ・・・」
 グチュ
 邪水晶は、胸に落ちた精を、人差し指で紋様へ塗り広げる様に弄ぶ。
 すると、それに応えるかの如く、
 ボウ
 胸の紋様が、仄暗い光を放った。

 その反応に、邪水晶は、
「うふふ、これで準備は良いわね・・・」
 口の端を歪める。

 今、邪水晶は朱美達と『魔鏡』を使い、神凪本家の結界を破ろうとしていた。
 開闢以来、神凪家の神官達によって錬られてきた本家の結界−それは、邪水晶と雖も、簡単に破ることはできない。
 しかし、神凪家の霊脈と接続されたこの『魔鏡』があれば、開祖の血を引く己を媒介・増幅器として、結界そのものに負荷が与えることができる。
 しかも、今己の手の内には、最も穢れた『巫女』達−『最凶』の『穢れ』があるのだ。
 この『巫女』達の『穢れ』を、己の肉体で増幅し、『最凶』の『災厄』として結界に注ぎ込めば如何に本家の結界と雖も、ただでは済むまい。
 
 邪水晶は妖艶に微笑むと、
「さあ、いらっしゃい・・・」
 文字通りの『確信』を胸に抱きながらそう、破滅への『口火』である眷属達に促した。

 初めに邪水晶に『触れた』のは、
「・・・邪水晶様・・・ああっ・・・」
 沙夜子である。

 ズプリ
「んふぅっ!?」
 潤みきった邪水晶の膣肉は、マグマの様に熱い。
 肉体改造を受けてから、邪水晶とは幾度となく体を重ねてきたが、
「んああっ・・・と、溶けるぅっ!?」
 淫魔となって遙かに性感が高められたうえに、『眷属』となった彼女にとって『主』である邪水晶とは文字通り、感覚が『融け合う』のだ。

 『激痛』とも呼ぶべき悦楽の波に翻弄される沙夜子に、邪水晶は笑みを浮かべながらも、
「・・・うふふ、まだまだよ・・・『沙夜』ちゃん」
 グニッ、グニィッ
 上級淫魔としてすら、絶世の名器である己の膣肉で、沙夜子の賜物を絶妙に扱き上げる。

 沙夜子は、
「ひぃああぁぁっ!?」
 『激痛』など歯牙にも掛からぬ、『致命的』とも言うべき『酷楽』にただ、悲鳴を上げるしかなかった。

 雪は、今にも泣き出す幼児の如き表情を浮かべながら、
「邪水晶様ぁ・・・」
 ブピュッ、ピュッ
 破裂しそうにまで腫れた雄の象徴を、『主』の眼前に突きつける。

 ビチャッ、ビチャッ
 邪水晶は汚液の迸りを頬に受けながらも、
「・・・うふふ、仕方の無い娘ねぇ・・・」
 そう言うと、
「・・・はむっ・・・じゅるぅっ」
 雪の肉槍を頬張り、啜り上げる。

 それだけで、初めての『精通』を得たばかりの肉槍は、
「・・・いやぁっ、はぁぁっ!」
 ドプッ、ドプッ
 泥火山の様な、粘っこい爆発を迎える。

 喉奥にこびり付く様な、濃く、粘り気の強い生殖液を、
「・・・んくっ、んくっ・・・」
 邪水晶は飲み干しながらも、
 ググッ・・・ヌッ・・・ズププッ
 男根様に先端を膨らませた己の尻尾を、 
「ひぃああぁっ!?」
 雪の不浄の孔へとねじ込んだ。

 ゴリッ、ゴリッ
 淫魔となったことで形成された『前立腺』を、邪水晶の淫らな『性器』で刺激された雪の肉棒は、
 グッ、ググッ
 一層硬度を増し、
 ドプゥッ、ドププゥッ
 チーズの様に濃厚で臭いのきつい精を、盛大に『主』の口内へと放ち続ける。

 雪は、
「おおっ・・・おふぉぅっ!」
 淫魔として生まれ変わった悦びを最大限に表すかの如く、呆けた表情を浮かべ、射精の美酒に酔いしれるのだった。

 蒼乃は、
「・・・邪水晶様・・・いつもは犯して頂いている孔・・・今日は私が、いただきますわ・・・」
 そう言うと、こちらも『精通』したばかりの『凶器』を、
 ズッ・・・ズププッ
 邪水晶の不浄の孔へ沈めていった。

 蒼乃はそれだけで、
「ああんっ!!」
 ビュクッ、ビュクッ
 軽い絶頂を迎えてしまう。

 最上級の淫魔のアナルは、膣もに劣らぬ『名器』である。
 上級淫魔とは言え、赤子にも等しき蒼乃にとって、その悦楽は暴力に近い。

 本来『犯す』側である筈の蒼乃は、
「い、はぁっ、ダメぇっ!・・・チンポが、私のチンポが持っていかれちゃうっっ!!」
 グチュッ、グチュッ
 熟れた肉壺へ挿入する度に、意識を飛ばしそうになりながらも、
「で、でもぉ・・・止まらないのほぉっ!」
 『淫魔』としての本能がそうさせるのか、
 パンッ、パンッ、パンッ
 邪水晶の尻に、腰骨を叩き付けることを止めることはできなかった。

 そして朱美は、
 バサッ
 生えたばかりの翼をはためかせると、
「はぁぁあ・・・」
 感極まったかの様な声をあげ、邪水晶の屹立する剛直の上に、
 ヌチュリ
 既に愛液で濡れそぼり、糸を引く腿を広げて『立つ』。

 処女を失ったばかりだというのに、酸欠の魚の如く、バクバクと緩慢な開閉を繰り返す秘所からは、
 ビチャッ、ビチャッ
 止めどなく、淫欲の滴が零れ、邪水晶の肉槍と腹を汚してゆく。

 朱美は、己の中を抉る凶器を見下ろしながら、
「はぁあ・・・邪水晶様のチンポぉ・・・やっと、ここに入れられるのね・・・」
 ニチャァ
 糸を引くまでに粘液に塗れた己の秘所を、両の手で開く。
 下の口と同じく、涎を垂らし、緩みきったその顔は、娼婦ですら見せることのできない、淫蕩なものであった。

 触手で処女を散らされたとは言え、朱美にとってそれはあくまで、『道具』に過ぎない。
 調教の過程で散々に『味わった』肉棒の味を、己の肉体で『直接味わう』のは、これが『初めて』なのだ。

 朱美は『憧憬』の対象とも言えるモノに、
 クチュ
 潤んだ花弁を当てる。
 ビリィッ
「んっ・・・ひぃぃっ!?」
 それだけで、電撃にも近い快楽が体中を駆け巡った。

 それに思わず朱美は、
 バサッ
 バランスを崩して落下し、
 ズッ・・・ズヌヌヌヌンッ
 邪水晶の肉塔で串刺しにされる。

 そして、
「・・・ぎっ、ひぃぃぃいっ!!」
 グボボボッ
 筋肉の限界を試す様に、朱美の腹が邪水晶の『形』に変形していった。

 しかし朱美は、
「おっ・・・ほぉぉっっ!!」
 口の端から盛大に涎を垂らし、無様なアヘ顔を晒しながらも、拷問とも言える肉の責めを、
 グリッ、グリッ
 恥骨を邪水晶の腹に押し付け『堪能』する。
 そして、痴呆病者の如き表情を浮かべながら、
「しゅごぉほぉぃっ・・・あははっ、私のお腹ぁ、邪水晶様のチンポの形してるぅ・・・えへっ、もっとジュポジュポしてへぇっ!!」
 そう叫ぶと、
 バサッ・・・グッ、ジュジュポッ
 羽ばたいて、肉竿を膣肉で扱きながら僅かに上昇するが、
「おほぉっ!?」
 肉を抉る悦楽に耐えられず、再び落下し、 
 ズボボッボッ
 より強い刺激を受けてしまった彼女は、
「あひゃひゃぁっ!!!」
 理性を失いながら、電気ショックを受けた蛙の如く、肢体を痙攣させる。
 
 僅か数分前まで処女だった者達とは思えぬ程の乱れ振り、そして浅ましさに、
「うふふ・・・」 
 邪水晶は思わずほくそ笑んだ。

 心身共に、完全なる淫魔と化した『巫女』達は、己の欲望−『穢れ』を最大限に満たすことのみ、忠実になっている。
 そんな彼女達こそ『闇の巫女』に相応しい−邪水晶は、その『巫女達』に貫かれながらも、
 パチン
 と、再び指を鳴らした。

 すると、既にぼろ切れとなった巫女装束が、
 シュゥゥ
 溶けるように霧散してゆく。
 そして、彼女達の肌を舐める様に、漆黒の光が包んでゆき、『闇の巫女』たる新たな装束が、顕現した。

 それは、邪水晶と同じ−邪界の肉奴隷が纏う装束をベースとしたものである。
 それが邪水晶のものと僅かに異なる点は、彼女達の、嘗てのイメージ・カラーがあしらわれている点のみだ。
 しかし纏う者の魔力を増幅し、性感を高める『魔布』で仕立てられたそれは、
「んっ・・・くひぃっ!?」
 確実に、装着者を追い詰める。

 更に、
 ファサッ
 肝要な部分を覆い隠すには短すぎる、これも嘗てのイメージ・カラーがあしらわれたフレア・スカートが、彼女達の艶やかな腰回りを覆う。

 邪水晶は、
『・・・うふふ・・・もう、そろそろね・・・』
 己と繋がる4人の『巫女』達から昂ぶりを感じつつ、
 ヌルッ
 彼女達の体液で滑る右手を、胸の紋様に滑らせ、妖しげな術式をそれに重ねる様に描いた。
 すると、
 キィン
 紋様が一層、暗い光を放ち始める。

 邪水晶はそれを見届けながら、
「んふふ・・・」
 ギチュッ、ギチュッ
 『闇の巫女』達の『穢れ』を絞り出すべく 己の肢体を振った。
 その『責め』は、『魔布』で性感を高められ、『初夜』を迎えたばかりの彼女達にとっては、致命的とも言える効果をもたらす。
 果たして、
「「「「ダ、ダメェ・・・イ、イクぅっ!!」」」」
 ドプンッ、ドクンッ
 射精とともに、4人の『巫女』から強大な『力』を注ぎ込まれた邪水晶の紋様が、
 キィィィンッ!
 眩く、暗い光りを放った。

 『闇の巫女』から発せられ、
『あははっ!・・・いいわぁ・・・私から、力が溢れちゃぅっ!!』
 邪水晶という『増幅器』で高められた『力』は、
 ドクン、ドクン、ドクンッ
 『魔鏡』を通し、『霊脈』で繋がった『先』へ、怒濤の如く押し寄せてゆく。

 『先』の様子を直接に見ることはできないが、
 ビリリイィッ
 邪水晶の体を引き裂かんばかりに襲う感覚が、その効果を如実に示していた。

 邪水晶は、それに、
『くくく・・・これで・・・これで全ての扉は開かれるっ!』
 強い狂気の色を含む笑みを浮かべつつ、そう、『狂喜』する。
 やがて、
 ビィィッ・・・バリィンッッ!!
 何かが引き裂かれ、割れる感覚とともに、
「「「「んひぃっっ!!」」」」
 ブビュルッ
 『巫女』達の『力』の放出が止んだ。

 邪水晶は、
 ニチャァ
 雪の肉棒から口を離し、
 バサッ・・・ヌプリ
 軽く羽ばたいて、蒼乃と沙夜子から己の体を引き抜くと、
「うふふ・・・」
 邪水晶の上で脱力して身を預ける朱美に、
 チュッ
 軽くキスをし、
 タンッ・・・ヌプッ
 魔法陣の上に、彼女の体をそっと横たえる。

 邪水晶を『解放』した闇の巫女達は皆、
 ドサリ
 脱力し、放心状態のまま、魔法陣の上に倒れた。
   
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
 邪水晶が、息も絶え絶えに性悦の余韻を貪る眷属達に、
「・・・お前達、まだ『一つ目』の仕事が終わっただけよ・・・早く立ちなさい」
 そう命じると、朱美は、
「・・・申し訳・・・御座いません・・・」
 ユラリ
 足を震わせ、ふらつきながらもどうにか、邪水晶の前に直立する。

 すると、他の眷属達も、
「んっ・・・うぅ・・・」 
 呻き声を上げながら幽鬼の如く立ち上がると、朱美に倣う様に、その傍らへと並び立った。

 邪水晶が、彼女達の従順な姿に微笑を浮かべ、
「・・・うふふ、それでいいわ・・・二つ目の仕事よ・・・お前達には『戦士』として、神凪本家と戦って貰うわ・・・」
 そう告げると、再び、
 シュゥゥ
 眷属達の体に、闇の気配が纏わり付く。

 それは、
 キュウゥ
 中央がファスナーとなった黒革の股当てに、更には、
 ギュゥ
 豊満な胸を一層強調する『胸あて』に、そして、
 ギュゥゥッ
 巨根を固定するペニス・バントへと変化した。

 加えて、
 キィィン
 堕落した主を象徴するかの如く、
 ドクンッ
 醜き肉塊が脈打つ『魔具』と化した『得物』−剣、弓、銃、小太刀−が、銘々の手中へ出現する。

 淫魔の『戦士』として、『戦支度』を終えた彼女達は、
「「「「全ては、仰せのままに・・・」」」」
 そう唱和し、胸に手をあてると、片膝をつく最敬礼で邪水晶に頭を垂れた。

 彼女達は皆、神妙な面持ちではあるが、
 ビクンッ、ビクンッ
 熱り起ち、
 ビュクッ、ビュクッ
 カウパー液を放つ肉棒は、かつての『仲間』と『剣』を交え、蹂躙する事への興奮を隠せずにいる。

 最早、淫魔としての本能に従うのみとなった眷属達の堕落ぶりに、 
「うふふ・・・」
 そう微笑む邪水晶の背後には、
 ザワッ
 いつしか姿を現した、数多の妖魔達が控えていた。
「グルルルッッ・・・」
 種族も、手にする得物も異なる彼等ではあるが等しく、瞳に獰猛な色を宿している。

 闇の軍勢を従えた邪水晶は振り向かず、
「・・・お前達、巫女は可能な限り、殺さず、生娘のまま捕らえなさい・・・」
 そう命じると、
「・・・Мы откроем ворота, прежде чем дьявол・・・」
 呪を唱え、足下の魔法陣へ翳す様に手を伸ばす。

 すると、魔法陣が、
 コォォォッ
 眩い燐光を放ち始め、その中心に、
 ゴゴゴォッ
 巨大な光の『門』が、像を結んだ。
 そしてそれは、
 ギギギィッ
 重い音をたてながら、『扉』を開き始めた。

 邪水晶が、その様子に、
 ニィッ
 口の端を歪めながら、
「・・・我が軍勢よ、神凪の小癪な巫女共を打ち倒し、我等の奴隷とす るのだ・・・今こそ、我等が宿願を果たそうぞ!!」
 そう宣言し、拳を天に突き上げると、
「「「「「オオオッッ!」」」」」
 闇の軍勢から、鬨の声があがる。
 
 その余韻を導くが如く、邪水晶が『門』の中へ、
 ザッ
 一歩を踏み出すと軍勢は、『門』に飲み込まれる様に、その姿を没していった。

  第18話 ソドム おわり

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